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ザ・レイド GOKUDO (2013年) エンドレス・バイオレンス!

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 ミニシアターの蠍座さんが、今年いっぱいで閉館してしまう。前作『ザ・レイド』との出会いが蠍座さんであったことを思い出して、いかにおもしろい映画の取りこぼしに気づかせてくれた映画館であったかと、つくづくおもう。これで札幌の単館映画館はシアターキノさんだけになってしまった。
キノさんの2スクリーンがあれば、北海道でも単館系の有名どころはたいてい観られるけれど、全国で初上映になるような異色作や、思いがけない佳作との出会いは、蠍座さんのようにとは望めない。
無類の信頼を置けた館主さん拘りの作品チョイスは、素敵な偏りがあったし、とくに、飾らない言葉で爽快痛烈であった「蠍座通信」がもう読めないことは、かなり寂しい。若者が映画を観ない時代なのだそうだ....
そんな、出会いは蠍座の『ザ・レイド』も続編はシネコンで。前作より、内容ができたぶん長く、単純明快な良さは減じる続編となっていた。
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インドネシアの伝統武術”シラッド”の使い手、イコ・ウワイスがなんといってもカッコいい!マフィアと汚職警官の繋がりを暴くため、命がけでマフィアに潜入させられる新人警官ラマを寡黙に演じる。
のっけから怒涛のアクション目白押し。信頼を得るため、マフィアの跡継ぎウチョ(アレックス・アッバド)と、おなじ刑務所に入所したラマ(イコ)は、のっけからR15指定のノンストップアクションをみせる。敵にはかならず止めを刺す!やりすぎなところが、『アクト・オブ・キリング』(まだ未見)を髣髴する、インドネシアおそるべし。

マフィアVS潜入捜査官VSヤクザ

日本から出演したのは、松田龍平氏、遠藤憲一氏、北村一輝氏。宣伝文句に騙された感のある存在感の薄さは、外国人目線の邦人という違和感で、世界共通そうなってしまうのは仕方がない。ただ、配給会社の誇張エゲツなく、がっかり。

本編の見所は、ヤクザではなくて、地元のマフィアと、新興マフィアの抗争劇。ボスで父親のバングンに反抗する若気の至りウチョが、新興マフィアに寝返って気狂いピエロになっていくドラマ、それに振り回される主人公のラマと、ドンの右腕エカなど、やはりGOKUDO以外のシーンに重厚な見ごたえがあった。
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ボスの右腕・エカ(オカ・アンタラ)が素敵だ。正体は、ラマとおなじく潜入で、脇役でありながら終盤へむけて存在感を増していく。
本命の”シラッド”よりもおもしろいのでは?とおもうほど、エカによるド派手なカーチェイス・アクションが最高にスリリングだ。

ずっと続編を楽しみにしていたくせ睡魔に襲われ、ところどころ記憶がないけれど面白かった。映画によく使われる偏愛クラシック「サラバンド」の響きに恍惚となったり。
ちなみに、前作で最強の敵マッド・マックスを演じていたヤヤン・ルヒアンは、プラコソという名前で再びラマと対決する。このヤヤン氏のビジュアルには、サブイボを立たせるような怖さがあって味わい深い。

驚異的な身体能力、潜入捜査、閉塞空間。近年ずば抜けておもしろかったアクション映画、『アルティメット』と『ザ・レイド』は似ていることに気づく。皮肉にもオーソドックスな一作目の方が面白かったところも同じ。

 (監督・脚本 ギャレス・エバンス/146min)
by haru733 | 2014-12-08 12:00 | インドネシア映画 | Comments(0)


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