カテゴリ:多国合作映画( 35 )

シャトーブリアンからの手紙 (2013年) 真実の物語を記憶しよう

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 むかし、『ブリキの太鼓』という奇妙な傑作があった。そのフォルカー・シュレンドルフ監督の、10年ぶりの新作は、抑えた筆致で描いた戦争ドラマ。

1941年10月20日、ナチ占領下フランスで一人のドイツ将校が暗殺される。ヒトラーは即座に、報復として、収容所のフランス人150名の銃殺を命令する。人質は主に政治犯から選ばれ、シャトーブリアン郡の収容所でも、23人の人質が選ばれた。その中には、占領批判のビラを配って逮捕された、まだ17歳の少年ギィ・モケもいた―。

『ブリキの太鼓』のようなキッチュな奇怪さは無い。チラシにあるとおり、感傷の入る余地のない透徹した演出が潔い。ドイツ人であるシュレンドルフ監督が、フランスを舞台にフランス側の悲劇を綴ったことに意味がある。
彼らが残す遺書となった手紙の実物や、まだ存命の当事者たちが、ラストで登場してくるわけでもない。手の込んだ感傷には寄らず、真実を淡々と描くだけ。
ドイツとフランス、理不尽な命令に板ばさみとなる官と軍の面々と、人道的に動く事など不可能だった時代を通して、二度と命令の奴隷になってはならないと、強く現代に語りかける。

突然、死を宣告された23人の人質たちが、いかに不当な銃殺に立ち向かったか。感情移入すれば恐ろしい。ただ、それにもかかわらず、彼らの側にだけいるのではない。突然、銃殺する立場となった一介のドイツ兵の恐怖や、150人の死に煩悶する暗殺実行犯たち、馬鹿げているとわかりながら何もできない軍人らの苦しみを、ドイツとフランスの双方から達観する。

報復が報復を生むことは、いまでも変わらない。平和な世はなかなか訪れない。和解する難しさは深まるばかり。せめて、日本くらい、死ぬ気で平和主義を守り通してほしいけれど、戦争の記憶が世代ごと薄れていることは、戦争を知らないわたしにだって見ていてわかる。

終戦後、ナチ抵抗の悲劇の象徴となったギィ・モケの名前は、パリ地下鉄の駅の名前になったそうだ。 
(フランス=ドイツ合作/91min)
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by haru733 | 2015-02-11 16:20 | 多国合作映画 | Comments(0)

ゴーストライター (2010年) 知りすぎた男

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 国家を揺るがすスキャンダルの渦中にある大物政治家の回顧録を書くことになったゴーストライターが、巨大な陰謀に巻き込まれていく姿を見事な緊迫感で描き出す―

元英国首相アダム・ラング役にピアース・ブロスナン、ゴーストライター役にユアン・マクレガー。
サスペンスの名手・ポランスキーによる極上のエンタテイメントは、わかっていても気持ちよく騙されてしまった。
ナインスゲート』もそう、ポランスキー氏はきっと本好きに違いない。原稿用紙の無造作な束、ページをめくる音、名作へのオマージュとしかいいようのない素晴らしい紙ふぶきのラストカットなど、紙フェチにはたまらない作品。ポランスキーの絵面と音楽は、抗いようなくいつでも魅力的だ。
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舞台はイギリスからアメリカへ。米国で講演中のラングの元へ急遽飛んだゴーストライターは、高額の報酬と引き換えに、前任者が不慮の事故で未完となったままの自叙伝を、たった一ヶ月で完成させる命を帯びる。
やがて、ラングの容疑と過去に疑念を抱き始めたライターは、ラングの右腕だった前任者の不可解な死を追い、いつしか恐ろしい秘密に触れていくのだった。

キーとなる謎めいた女がふたり。ラングの美しくも情緒不安定な妻ルース(オリヴィア・ウィリアムズ)と、優秀な秘書のアメリア(キム・キャトラル)だ。不幸な影を抱く謎めいたルースは、アメリアが夫と不倫していることを知っている。
あれよと言う間に取り込まれて、ルースと一夜を共にする、THEハンサム・マクレガーこと、ゴーストライターの運命に手に汗握る。騒然となるマスコミとデモで、事態は悪化の一途を辿り、正体を知った大物政治家のバックに命を狙われ出すゴーストライターの目の前で、ラングもまた暗殺者の手にかかって死んでゆく....。

ゴーストライターの存在を世間は誰も知らない。彼の身になにが起ころうと世界は回り続ける。
こうして名もなきゴーストライターはほんとうのゴーストとなり、物語は幕を閉じた。どんでん返しの見事さに拍手。

(128min/フランス=イギリス=ドイツ合作)
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by haru733 | 2014-12-24 09:50 | 多国合作映画 | Comments(0)

それでも夜は明ける (2013年) 人間の残虐性をとことん炙り出す

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 遅れてやってきた蠍座での上映を観てからずいぶん経ちますが、とても良かったのでなにか一言でも残しておきたい、衝撃の実話を元にしたドラマ。
19世紀半ば。アメリカでは、黒人奴隷の輸入が禁止され奴隷不足がおこり、北部の「自由黒人」たちを誘拐してくる事件が多発していた。主人公のソロモン(キウェテル・イジョフォー)は、ニューヨークで家族とともに暮らす自由黒人で音楽家だった。しかし、旅先で突如誘拐され、奴隷としてアメリカ南部のニューオーリンズへ売り飛ばされてしまう―
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過酷すぎる12年もの年月、身分を証明して再び自由になる日をひたすら求め続けた男の、壮絶な奴隷体験記。
買われていく先々で起こるあまりに非人道的で残酷な仕打ちは、見るに耐えない。良心ある人物の登場ははわずかで、おおくの白人たちは男女問わず、微塵の疑問も抱かないまま黒人を家畜扱いにする。
虐殺、暴力、凌辱。よくぞここまで人の残虐性はエスカレートするものかとゾッとはしても、ホロコーストにしても集団に入れば自分だってどう転ぶかわからない、人間心理の危うさに肌を粟立たせて観た。

スティーブ・マックイーン監督の『SHAME シェイム』からずっとタッグを組み続けているマイケル・ファスベンダーが、ドSの農場主を演じている。あえて言葉にするまでもなく、サイテー男が板につく、この方はほんとうに大好き、巧い!神経の細い農場主にはベネディクト・カンバーバッチ、その卑劣漢な使用人にはポール・ダノ。
そして、奴隷制度反対のカナダ人労働者役にはブラッド・ピッド。存在感あるバイプレイヤーとして脇をたしかに固めているブラピ氏が、後々主人公を救うことになる。
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絶望を前にして、足搔くことも生きることも諦めてしまった仲間たちがいるなかで、ソロモンは12年間希望を捨てなかった。家族との再会を夢見て、廃人になることを拒み続けた。
植物の茎でペンを作り、こっそり紙を手に入れて”字”を書こうとする冒頭のシーンが忘れられない。それは終盤につながる大事なエピソードで、人間的に生きる根源的な欲求を感じさせる名場面だった。

 (134min)
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by haru733 | 2014-11-11 10:32 | 多国合作映画 | Comments(0)

危険なメソッド (2011年) フロイトとユング、その妻と愛人

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 精神分析学の大家、フロイトとユング、ふたりの決別はあまりに有名。すべてにおいて性に結びつけるフロイトより、神秘主義や仏教や夢に向かっていったユングに引かれて、書籍を読み漁っていたころがいつかありました。
チューリッヒ湖畔に自ら石の塔を建て、自己の内面や見た夢を記録し続けたユングを、どこまでも内省的な好人物だと信じて疑わないけれど、そんなユングにも若いころがあって、愛人もいれば、悩み多き時代もあったのだなあと知ることになります。ふたりの交流が、こんな風に肩を並べて行われていたのかと、想像するだけでロマンがあって、ちょっとワクワクしてくる。
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ユングを演じているのは、いまや官能紳士の代表格、マイケル・ファスベンダー。患者であり愛人となるユダヤ人女性ザビーナとの関係が、反則技的に官能的になるのは、きっとD・クローネンバーグ監督の狙ったとおり。
まるでグロテスクなキーラは、性的トラウマを抱えたザビーナという女性の狂気を見事に演じる。しかも、彼女は治癒後、ユングと別れて自らも精神分析家となっていく。

3人とユングの妻、それにごく少ない出演者で、史実に基づいても異質な本編は、一部の観客にとってかなりツボかもしれない。冒頭でいったロマン、そして精神分析への興味。泰然としているフロイト(クローネンバーグ作品常連のヴィゴ・モーテンセンが秀逸)、心病めるザビーナ、もうひとりの心理学者オットー・グロス。オットー役のヴァン・サン・カッセルは、さらに挑発的で扇情的で、真面目な会話劇のなかに一石投じる言葉を放つ見事な存在感。

当然あって然るべきか、逆転移の罠か、患者と一線を越えたユングが、美人顔台無しで下顎を突き出したキーラの尻を何べんも鞭打ち、倒錯的行為に至るたび...えもいわれぬ悲壮感に見舞われる。それは、人生の師のひとりであるユングの、穏やかなイメージが崩壊してゆくからにほかならない。

  (99min/イギリス=ドイツ=カナダ=スイス合作)
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by haru733 | 2014-10-25 17:09 | 多国合作映画 | Comments(0)

大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院 (2005年) 

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 照明も音楽も使わない静謐な世界。俗世から切り離され清貧のうちに生きる修道士たちの生活を、監督自ら6ヶ月間そこに暮らして撮影したドキュメンタリー。
これまで一度も人の目に触れることのなかったグランド・シャルトルーズは、カトリック教会の中でも最も戒律の厳しい歴史ある修道院で、30人ほどの修道士たちが、いまも礼拝や瞑想の日々を送っているという。
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9時間祈って、7時間を学び働き、8時間の休息。アルプスの大自然に囲まれた、彼らのような持たない暮らしはステキだ。瞑想でじぶんと向き合いつづけていると、どんな心持になってくるのだろう。
日曜の昼食後にだけ許される会話に、ユーモアと遊び心があって、散歩や繕いものや食事の風景にはちょっとだけホッとさせられた。
ちなみに、淡々として、あまりに静かで、なんども意識を失いながらの劇場鑑賞でした。
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映画にはでてこないけれど、彼らの暮らしが成り立っているのは、支えてくれる助修道士たちがいるから。
あの大きな修道院を維持するため、肉体労働や物理的な暮らしにかかる手間を負ってくれる人の存在は、欠かせない。ひとは一人だけではそうそう生きていけない―そんな思いを意外にも強くする作品だった。
そう考えると、自然に囲まれた田舎で、自給自足に近い静かな暮らしをしている名もなき一市民の人生だって、なんて立派だろう。
たくさんは持たず、瞑想的に、充分を知り、丁寧な毎日を心がけたくなります。

(169min/フランス=スイス=ドイツ合作)
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by haru733 | 2014-10-07 22:16 | 多国合作映画 | Comments(2)

ジャッカルの日 (1973年) ドゴール暗殺計画を描く社会派サスペンス

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 F・ジンネマン監督による、ベストセラー小説の映画化。
ドゴール大統領暗殺のために保守過激派から雇われた暗号名”ジャッカル”の、謀略決行までの行動と公安当局との息詰まる攻防を描く傑作サスペンス。

ひとり淡々と計画をすすめる”ジャッカル(エドワード・フォックス)”の寡黙なカッコ良さ。風貌も仕事ぶりもじつにスマートで、彼の肩を持ちながら、つい暗殺の成功を願い見守ってしまう。
女と出会っても、ありがちな色恋に傾かない、プロフェッショナルぶりにしびれる。たいがい女と知り会ったあとは身を危機にさらすのが定石だが、一夜を共にした相手にもけして感情など抱かず、すべては計画のため。利用しては、迷いなく消していく、優男な見た目とは裏腹な冷血漢ぶりがいい。
ついに追い詰められても、飄々とホモを誘惑しては潜伏先を手に入れる件などガンときてしまう。凄腕ジェイソン・ボーンだって、そんなことまではできないさ。
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地味な緊迫感のなかに、往年の骨太さがあって、2時間超を飽きることがなかった。
それは、政府に抜擢されたやり手の警視ルベルが、ジャッカルに勝るとも劣らないキレっぷりで執念の捜査を繰り広げていく様にもある。精悍だった若き日のミシェル・ロンスダール氏が素敵だ。

ジャッカルに感情移入しているぶん、結末にショックを隠しきれなかった。史実に逆らっても、殺しの成功を祈りたくさせる作品は、きっとそうそうはないのだ。

(142min/イギリス=フランス合作)
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by haru733 | 2014-10-02 23:24 | 多国合作映画 | Comments(0)

天使の分け前 (2012年) 人生の大逆転

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 このごろ、”スコットランド”という名をよく耳にする。独立反対で幕を下ろした国民総選挙、ミュージカル映画『サンシャイン 歌声が響く街』、今週はじまった朝ドラの『マッサン』など。社会派ケン・ローチ監督が、不況のスコットランドを舞台に描いた本編はとってもおもしろかった。
ウイスキーとの出会いをきっかけに成長していく若者たちの姿を描くヒューマン・コメディ。

主人公のロビー(ポール・ブラニガン)は、もうすぐ父親になるというのに、トラブルばかり繰り返しているゴロツキ。逮捕され社会奉仕活動を言い渡された彼は、そこで立派な指導者のハリーと出会い、ウイスキーの奥深さを知ることになる。次第にテイスティングの才能を目覚めさせていったロビーは、ある時、北ハイランドで樽入り最高級ウイスキーが見つかり高値でオークションにかけられることを知る。自らの人生を変えるチャンスをものにするため、作業仲間とともに入念な計画を練って乗り込んでいくのだが……。
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こんなにもユーモアのあるローチ作品ははじめて。小気味良く風刺する、視線の温かさにほっとする、いままでにない良さをかんじる。
主演のポール・ブラニガンは演技未経験。自らもグラスゴーで生まれ育った、憎めない、だけど近づき難い繊細なあぶなさが印象的な、小柄でやんちゃな存在がなんといっても魅力だ。彼は、スコットランドを舞台にしたミュージカル『サンシャイン 歌声が響く街』にも出演していて、本編のエンディング曲も、その『サンシャイン』で使われたプロクレイマーズによる楽曲だった。
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一発逆転、一億円を越すお宝スコッチ樽の中身をちょっとだけ手に入れるべく、キルトに身を包んだ前科ものたちの運命はいかに―
さらなる犯罪に手を染めていく構図は『この自由な世界で』とおなじなのに、あのやりきれない痛切さは皆無。始終笑いがあり、愛がある。
スマート犯罪の戦利品は、親身になって社会復帰を支えてくれたハリーの元へもちゃんと届く。ほろ酔いのように体がポッと赤く篤くなる、こころ温まる再生のドラマだった。

(101min/イギリス= フランス= ベルギー= イタリア合作)
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by haru733 | 2014-09-30 10:15 | 多国合作映画 | Comments(0)

グランド・イリュージョン (2013年) 犯罪は復讐の香り

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 予告が魅力的だったミステリーは仕掛けがいっぱい。手放しでたのしめる小気味良さに、素直に騙されたい。

 鮮やかなトリックで銀行強盗を成功させるイリュージョニスト・チーム“フォー・ホースメン”の謎に満ちた真の目的と、強盗犯として彼らの逮捕に乗り出す捜査当局との攻防を描いたエンタテインメント・クライム・サスペンス―

FBIとインターポールの合同捜査チームには、マーク・ラファロと、メラニー・ロラン(写真/下)。ふたりの仄かな恋模様は見所の一つ。ジェシー・アイゼンバーグといい、モーガン・フリーマンといい、配役が好みなのもうれしい。
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いつか同じくイリュージョンをテーマにした作品に、『幻影師アイゼンハイム』というのがあったけれど、目くるめくイリュージョンをあからさまなCGで描いて興を削ぎ、私的にはかなりがっかりしたものでした。しかし本編は、見事にリアリティがあって、画が刺激的。
“フォー・ホースメン”の真の目的が明らかになるまで、結末は読めず、軽妙な語り口が心地いい。
微笑ましい小洒落たオチは、流石フランス人監督というべきか。

(フランス=アメリカ合作/116min)
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by haru733 | 2014-07-14 11:32 | 多国合作映画 | Comments(0)

クロワッサンで朝食を (2012年) はじめてのパリ、もうひとつの人生に出逢う

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  エストニア、老いた母を看取った独り身のアンヌ(ライネ・マギ)は、得意のフランス語を活かし、パリで家政婦の仕事に就く。エストニアから憧れのパリへとやってきた彼女だが、待ち受けていたのは毒舌で気むずかしいエストニア移民の老婦人フリーダ(ジャンヌ・モロー)だった。高級アパルトマンに一人で暮らす彼女は、徹底してアンヌを追い返そうとするのだが....雇い主であり、かつてフリーダの愛人だったステファンは、留まってくれるよう懇願するのだった―。

初の長編となるエストニアの俊英イルマル・ラーグ監督が、母親の実話をもとに描いたヒューマンドラマ。
生まれも育ちもまったく異なる二人の女性が、反発し合いながらも互いの人生を変えていく様をシニカルに見つめる。

ヨーロッパ(とくにフランス)の男女はすごい。艶のある老女のある風景と合わせて、日本人の感性との違いをまざまざと見せつけられた気がします。齢80を越えたジャンヌ・モローが、50男を愛撫する。老齢による醜ささえ旨みに換える女優魂は圧倒的。
所詮、人はみんな孤独で、アンヌも老女も愛人も、選択の余地は少ない。3人で円満に愛人関係を続けていくとしたら―それは程よい解決策であるといえる。けれども、アンヌの表情は複雑に曇って幕を閉じる。解釈は観るものに委ねられているけれど、私的にはハッピーエンディングだと信じます。

原題は『パリのエストニア人女性』。往年の名作にかけた邦題は、なんだかちょっと軽い。
移民としてフランスで生きることの意味を考えながら、アンヌにとってのパリを想う。憧れの国や土地で、人生の後ろ半分を生きられる幸せ、それはとても羨ましいことだと。そして、ときにハッとするほどアンヌの後ろ姿は美しくて、うまく歳を重ねていきたいなあと切におもった。

(95min/フランス=エストニア=ベルギー合作)
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by haru733 | 2013-11-20 22:06 | 多国合作映画 | Comments(0)

トランス (2013年) 記憶のその先へ

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 新作ができればとりあえず観ておきたい敬愛監督のひとり、ダニー・ボイル氏によるクライム・サスペンス。

 
 (あらすじ) 競売人のサイモン(ジェームズ・マカヴォイ)は、ギャング一味と手を組み、競売にかけられたゴヤの傑作『魔女たちの飛翔』を盗む。ところが彼は、なぜかギャングのリーダー、フランク(ヴァンサン・カッセル)を出し抜き殴り倒されてしまう。その拍子に、記憶の一部を失った彼は、名画の隠し場所もなぜそんな行動をとったかも思い出せなくなってしまうのだった。一味に脅されたサイモンは、催眠療法士エリザベス(ロザリオ・ドーソン)の力を借りて、当日の記憶を探るのだが―。

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じつに゛らしい″、スタイリッシュなボイル節壮健。のっけから先の読めないスリルと、息つく間のないめまぐるしい展開で、かくじつに予測不可能なトランス・トリックに嵌められてしまう。
曰くありげな催眠療法士エリザベスがすべてを操っていた―そんな定石通りの結末だってよかったのに!
そもそものテーマがなんでも可能なばっかりに、伏線を楽しむ節操さえ揺らいで、どこまでも騙しに徹してしまう。オチの失速だけが心残りかも。
ジェームズ・マカヴォイ演じる主人公サイモンが好人物だっただけに、ラストは劇場一帯に溜息が漏れたような気がした。

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名画目当てに絵画ファンが観るには、いまいち趣旨がちがうのでおすすめできません。敬意などはなく、あくまでも素材のひとつとしてのゴヤ。だけれども、よくよく『魔女たちの飛翔』を眺めれば、深い闇のかんじとか、知恵を吹き込む魔女のニュアンスなんかが、本編のダークさと相まみえて似合うのです。

容赦ない暴力のある、R‐15指定の色とトランスは、紛れもなくボイル氏の感性が生んだ蠱惑の世界。
ただし、いちファンとしての希望的観測をひっそり認めるならば、めくるめくミシェル・ゴンドリーの夢世界的トランスであったなら....もっと楽しめたかもしれない。

 (102min/アメリカ=イギリス合作)
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by haru733 | 2013-10-23 20:31 | 多国合作映画 | Comments(0)


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by haru733

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