カテゴリ:フィンランド映画( 2 )

ル・アーヴルの靴みがき (2011年)

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  北フランスの港町ル・アーヴル。かつてパリでボヘミアン生活を送っていたマルセル(アンドレ・ウィルム)は、今ではこの街で靴みがきの仕事をしながら、愛する妻アルレッティ(カティ・オウティネン)とつましくも満たされた日々を送っていた。しかしある日、妻が倒れて入院、余命宣告を受けてしまう。その最中、アフリカからの密航者で警察に追われる少年イドリッサと出会い、彼をかくまうことになるマルセル。母がいるロンドンに行きたいという彼の願いを叶えるべく、近所の仲間たちの協力を得ながら密航費の工面に奔走するのだが―。
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いつになく"陽"のイメージのアキ・カウリスマキ監督最新作。しがない庶民たちが主人公なのは定石どおりなのだけれど、フィンランドからフランスへ舞台を移したことで、そこはかとない明るさを纏っていて、物語もどことなしか温かかった。哀愁、負け犬、寡黙、侘びしさ・・・そんなキーワードからやや離れたところで、人を愛し、助け、奇跡まで起こってしまう今度のカウリスマキワールドは、絵面の魅力そのままに、なんだか拍子抜けしてしまうほど楽天的だ。つまらなくないのに、劇場まで行って途中ウトウトしてしまったのだけれど。
移民問題という重いテーマを、こんな語り口で見せてくれる監督はそうはいない。シュールでユーモラスで、ファンでなくてもにんまりできる新作になっている。欠かせない音楽、名脇役のワンコ、共に最高。
カウリスマキ作品の顔といっていい名女優カティ・オウティネンは、相変わらずいい味。そして密告者を演じているのは、なんとジャン=ピエール・レオなのだった。


(93min/フィンランド=フランス=ドイツ合作)

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by haru733 | 2012-06-12 20:50 | フィンランド映画 | Comments(0)

4月の涙 (2009年)

d0235336_15435343.jpg  1918年4月、内戦末期のフィンランド。敗走を続ける赤衛軍の女性部隊は、捕らえられたあと、ほとんどが犯されて殺された。ただ一人生き延びた隊のリーダーのミーナは、公平な裁判を受けさせようとする理想主義の准士官アーロによって、裁判所へと護送される途中、逃げ出そうと舟から飛び降り、アーロもろとも無人島に漂着してしまう。やがて互いに特別な感情が芽生えた頃、助け出された二人は、人文主義者で有名なエーミル判事のもとに辿り着くのだったが――。

『ククーシュカ』に引き続き、フィンランドを舞台とする戦争もの。時代背景と語り口はまったく違うけれど、こちらもとても好きだ。
使われている音楽の魅力。大好きな『ヘヴン』を思い出す、過酷な状況下での純愛。
信念を貫く女兵士ミーナの生き様が潔いのだが、それ以上に、愛してしまった敵兵ミーナを、情欲を乗り越えて、ひたすらに献身的に救おうと奔走するひとりの若き准士官アーロの居住いに心打たれてしまう。
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戦場ではまともな精神を保つことさえ難しく、見識ある者として知られたエーミル判事さえ、例外ではなかった。有罪判決を下しては処刑を繰り返す毎日に、人間性は崩壊寸前だ。
ところが、アーロとミーナが現れてからというもの、判事はアーロに対して密かに男色家としての思いを募らせ、彼のためにミーナを生かしたまま拘束しておこうとする。
戦場にあっては、肉体を穢されるのは常に女であったけれど(実際前半はそういう展開だった)、本作では、愛する人の命を救うため、アーロが自ら判事に身を任せるという逆転した発想によって、新しい視点が生まれているように思う。異色な究極の愛の形――。それがたとえ、残酷な運命で幕を閉じるとしても・・・・。

フィンランド内戦を伝える良作。見ごたえあるラブストーリーとしても、とてもおすすめです。


 監督  アク・ロウヒミエス
 出演  サムリ・ヴァウラモ、ピヒラ・ヴィータラ、他
 (114min/フィンランド=ドイツ=ギリシャ合作)
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by haru733 | 2012-03-25 23:06 | フィンランド映画 | Comments(0)


映画,読書,山,古物をめぐる―日々のきろく


by haru733

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