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読書初め

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 この時期になると、年のはじめに読む本のことを考えます。
今年は遠藤周作氏のフランス滞在日記、去年は再読のアントニオ・タブッキ『インド夜想曲』、その前は須賀敦子全集1巻を読んだのでした。
ことしはこの2冊。行きつけの古書店で購ってきた本。どちらもおもしろそう。

来年こそは、いっぱい本を読むべく暮らしたいものです。一に映画、二に読書、まま登山でありたいものです。 
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by haru733 | 2014-12-31 16:45 | | Comments(0)

ヨコハマメリー (2005年) ドゥドゥビ ドゥビ ドゥビ ドゥビドゥバー

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 かつて横浜の街角に佇む、ひとりの老婆がいた。その名は”ハマのメリーさん”。白塗りの顔でゴージャスなドレスに身を包み、若い頃は米兵相手のパンパンだった。
1995年の冬、突如姿を消したメリーさんとは何者であったか。過去と、その後の消息を知るわずかな人々が証言した、凄まじい半生とその晩年に出会う、心揺さぶる旅路。思いもよらない切なさに襲われて涙腺が緩んでしかたなかった、珠玉のドキュメンタリー。

人が人目を憚らずに生きていくことはむずかしい。
路上で暮らしていても身繕いを欠かさず、生の施しは受け取らなかったメリーさんは、気味悪がられても排斥されても、気高くあり続けた稀有の人。
いつしか街の景観の一部となっていた彼女の真実の物語を知るのは、今は亡きシャンソン歌手の永登元次郎さんをはじめ、彼女を写した写真家や、かつて賑わったヨコハマに暮らす人たち。

メリーさんの人生を追いながら、戦後の猥雑とした日本の一時代に、男も女も奮闘してきた痕のようなものをみる。ひとりの娼婦の物語であり、日本の戦後史でもあった。中村高寛監督の構成の妙は、無二のものだった。

物語の終わりごろ。映し出される”その後”のメリーさんに、感慨深さがあふれ出る。横浜を離れ、田舎の老人ホームで暮らすメリーさんは、変わらない華奢な体つきで薄化粧。
慰問に訪れた、余命いくばくもない元次郎さんの歌声を、懐かしそうに聴き入る穏やかな表情を見つめていたらとめどなく泣けてきた。
年老いたメリーさんを田舎へ帰すべく尽力した元次郎さんは、撮影中ずっと末期がんを患っていて、彼の魂から湧き出るような名曲「マイ・ウェイ」は、メリーさんの奇妙な人生と合わせて、とてもとても忘れられない。
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(92min)
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by haru733 | 2014-12-31 13:35 | 日本映画 | Comments(0)

友よ、さらばと言おう (2014年) 命を張っても守りたい者がいる

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 職場からの帰りに自動車事故を起こし、幼い子どもを含む3人を死に追いやった過去を持つ刑事のシモン(ヴァンサン・ランドン)と、その車に同乗していた親友の刑事フランク(ジル・ルルーシュ)が、6年後、麻薬密売グループとマフィアの報復殺人を目撃してしまったシモンの息子テオの身を守るため、再びタッグを組む姿を、臨場感溢れるアクションで描き切る。

なんてカッコいい男の友情か。同時に息つく間もないスリルと、迫力満点なアクションが、狂ったみたいに突き抜けている。おもしろい!
出所後も、罪の意識から逃れられず、幼い息子テオや妻から離れていったシモンの苦悩を共に抱え、親友フランクはどうにか友を救いたいとおもう。そこには、冒頭から幾度も回想される、事故当日の断片的な記憶の伏線が張られており、真実を滲ませたまま、結末まで一気に走り抜けていく―
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マフィアのアジトに乗り込んだ2人は激しい銃撃戦に巻き込まれる。追ってきたボスの弟を殺し、見事逃げおおせた2人を、今度は怒りに狂ったボスと騒ぎを嗅ぎ付けた警察までが追い始めるのだった。身を案じたフランクは、シモンとテオ、妻のアリスを特急列車TGVに乗せて、パリに身を隠すよう手配するのだが。

ここから、手に汗握る展開にずっと釘付け。TGVにマフィアが乗り込んだと気づいたフランクは、何も知らぬ3人に迫る危機を覚り、圏外の携帯電話片手に、烈火のごとく車を飛ばし特急列車を追いかける!
TGV内の銃撃戦は文句なしにすごい!あのTGVがものすごいことになっていく。鉄道ファンも大喜びの様相と化す。

6年前のあの夜の過去に一物持ちながら、腹の底から信頼しあう中年男たちの哀愁と執念のパワーにしびれるばかり。逃避行の先の幸せを祈るように見つめながら、ふたりの友情のカッコ良さと男気に涙した。
明かされる過去の真実の重さに胸がふるえた。
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(監督 フレッド・カヴァイエ/90min)
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by haru733 | 2014-12-29 17:23 | フランス映画 | Comments(0)

一期一会

 きのうは仕事納め。半ドンの日はうれしくて、盛大に寄り道して帰りました。
大通TSU○AYAにて。ここへ来ると、近所のお店にはない作品がいっぱいです。ミニシアターのコーナーが監督別になっていて、ちょっと新鮮。
テオ・アンゲロプロス氏の棚には『こうのとり、たちずさんで』が! 夏にDVDが発売されたみたい。ほかには、伝記映画の『ニキフォル』と『ショートバス』。それから初めてのグザヴィエ・ドラン作品と、愛すべきジャームッシュ氏の新作『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』をレンタルしました。年末年始の自宅映画環境が充実するのでした。

蠍座さんで3時からの上映をみる前に、時計を気にしながらデパートへ。元日がバースデーの家族へプレゼントを探し歩くこと1時間。けっきょく疲た果てたすえに、自分好みの雑貨を見繕って終了。

午後3時。最後になるであろう蠍座に着きました。『友よ、さらばと言おう』、『ヨコハマメリー』の2本。どちらもここにきて私的五ツ星作品でした。2014年も終わりになって、こんなおもしろい映画に出会えるなんて。
とくに『ヨコハマメリー』は琴線に触れるすごいドキュメンタリーでした。愛すべき映画がまた一本増えました。DVDではなく蠍座のスクリーンで出会えたことが何よりうれしい。
すでに蠍座通信は刷ったものがなく、コピーが置かれてありました。満席に近いほどで、別れを惜しむお客さんが駆けつけているのがよくわかります。若い方も、少しだけれどちゃんといます。

外へ出ると、辺りはすっかり真っ暗で、自宅に着くころには夕飯の時刻もとうに過ぎているのでした。
書置きはしてきたものの、冬休みちゅうの家族放置プレイ...
急いでキッチンに入ると、寄り道して帰ったわたしに、塾で留守中の娘から、遅れてきたクリスマスプレゼントがありました。手作りフルーツポンチ、ノンアルコール。思いがけない思いやりに、涙が出そう。
この夜、映画館を出たところで、身近な知人の訃報を聞いたばかりで、人生の先の知れなさに余計切ないおもいがこみ上げてきた夜でした。

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by haru733 | 2014-12-27 14:30 | 日常 | Comments(0)

Silent Night

 きょうはお休み。なんだかとてもクリスマスぽい一日でした。
ラジオから流れる曲を聴きながら、ああ、クリスマスソング好きだなあと、おもうのでした。

買い物は午前中に済ませて、午後はゆっくり。
メインディッシュにはビーフストロガノフを作りました。みんながすきな定番メニューです。

いつの間にか、サンタクロースもこなくなり、小さい家人たちも成長したものだとしみじみかんじます。
穏やかにすぎる一日に、感謝します。

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by haru733 | 2014-12-24 23:11 | 日常 | Comments(2)

Merry Christmas

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by haru733 | 2014-12-24 15:36 | モノローグ | Comments(0)

昔々、アナトリアで (2011年) いつか話そう、この夜のことを―「昔々、アナトリアで....」

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トルコのとある田舎町。闇に包まれた草原で、容疑者と警察による遺体捜しがはじまる。同行するのは、検察官と検死医、それに発掘作業員たち。
容疑者の供述に振り回されながらの長い夜。まるで非現実の世界が幻想的に連なる。見つからない遺体にやり場のない怒りをぶつける者、この夜に所在無く存在する者。息子を殺めた容疑者の哀惜と後悔の涙。

だれにとってもこの夜は長く、長回しで映し出される光と闇のコントラストがリリックで美しい。
やがて、遺体が見つかり、果てしなくおもえた夜も終わりを告げる。彷徨の果てに発露しだす類稀な情感は、眠気も覚ますリアリティー。

数時間前の夜が嘘のように、検死医の元で開胸される死体は、やけにリアルな音を立てた。
夜と朝、光と闇、死者と生者。一個の死を前にして、一夜を共にしたそれぞれの人の人生が、思いがけない切なさを帯びて迫ってくる。
もう一個の死の物語がおもしろい。検察官が話す、死を予告して死んでいったという美しい人妻の逸話は、冒頭から検死医の心を捉えて離さない。検察官の妻らしい、その女の自死の真相が語られるとき、観るものの心まで巻き込んで余韻ある物思いに沈めてしまう。

劇場未公開の本編は、蠍座にて国内初上映されたもの。カンヌ審査員特別グランプリ受賞。
説明のない映画はほんとにおもしろい。
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(157min/トルコ=ボスニア・ヘルツェゴヴィナ合作/監督 ヌリ・ビルゲ・ジェイラン)
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by haru733 | 2014-12-24 15:27 | トルコ映画 | Comments(0)

ゴーストライター (2010年) 知りすぎた男

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 国家を揺るがすスキャンダルの渦中にある大物政治家の回顧録を書くことになったゴーストライターが、巨大な陰謀に巻き込まれていく姿を見事な緊迫感で描き出す―

元英国首相アダム・ラング役にピアース・ブロスナン、ゴーストライター役にユアン・マクレガー。
サスペンスの名手・ポランスキーによる極上のエンタテイメントは、わかっていても気持ちよく騙されてしまった。
ナインスゲート』もそう、ポランスキー氏はきっと本好きに違いない。原稿用紙の無造作な束、ページをめくる音、名作へのオマージュとしかいいようのない素晴らしい紙ふぶきのラストカットなど、紙フェチにはたまらない作品。ポランスキーの絵面と音楽は、抗いようなくいつでも魅力的だ。
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舞台はイギリスからアメリカへ。米国で講演中のラングの元へ急遽飛んだゴーストライターは、高額の報酬と引き換えに、前任者が不慮の事故で未完となったままの自叙伝を、たった一ヶ月で完成させる命を帯びる。
やがて、ラングの容疑と過去に疑念を抱き始めたライターは、ラングの右腕だった前任者の不可解な死を追い、いつしか恐ろしい秘密に触れていくのだった。

キーとなる謎めいた女がふたり。ラングの美しくも情緒不安定な妻ルース(オリヴィア・ウィリアムズ)と、優秀な秘書のアメリア(キム・キャトラル)だ。不幸な影を抱く謎めいたルースは、アメリアが夫と不倫していることを知っている。
あれよと言う間に取り込まれて、ルースと一夜を共にする、THEハンサム・マクレガーこと、ゴーストライターの運命に手に汗握る。騒然となるマスコミとデモで、事態は悪化の一途を辿り、正体を知った大物政治家のバックに命を狙われ出すゴーストライターの目の前で、ラングもまた暗殺者の手にかかって死んでゆく....。

ゴーストライターの存在を世間は誰も知らない。彼の身になにが起ころうと世界は回り続ける。
こうして名もなきゴーストライターはほんとうのゴーストとなり、物語は幕を閉じた。どんでん返しの見事さに拍手。

(128min/フランス=イギリス=ドイツ合作)
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by haru733 | 2014-12-24 09:50 | 多国合作映画 | Comments(0)

愛の予感 (2007年) あなたなしでは生きられない 

d0235336_2214034.jpg 事件や事故が起こったあと、人はどうやって罪と罰を赦し、乗り越えていくのだろう―
主演も務める小林政広監督は、日常場面のシーケンスを徹底して反復させたその先に、驚くほどリアルに心の機微を浮かび上がらせた。
ダルデンヌ作品を彷彿するけど、あのくどさはなく、根源的な物語は、複雑な人間心理を穿って目を逸らすことができなくなる。

 (あらすじ) 中学生の娘を同級生に殺害された父親(小林政広)と、その加害者の母親(渡辺真起子)が、希望をなくして移り住んだ北海道の小さな町で偶然再会して、やがて再生の予感が生まれるのだが―

冒頭とエンディングのみ台詞があり、あとは一切なんの説明も音楽もない。ただひたすら日常描写の繰り返し。
男が寝泊りする旅館の食堂に、女は働いている。鉄工所から帰り、風呂に入り、食堂にやってくる男は、来る日も来る日も、女の作った料理に手をつけることはない。
それでも男は、贖罪の日々を暮らす孤独な女を見捨てておけず、自らもつながりを求めて、不器用に彼女の日常に介入していくのだった。

死んだように孤独な男と女が、償う、赦す、赦さないの次元から離れ、互いの苦しみを分かちながら、かろうじて生きていられるだけの一握りの希望を与え合う姿に胸がふるえる。男が言った「一緒に生きていく資格」なんか、なくていいとおもえるほどに。
説明を一切排除した潔い小品は、深い傷を知っている、大人の胸にこそ、より重く響くだろうか。

 (102min)
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by haru733 | 2014-12-23 00:00 | 日本映画 | Comments(0)

年越し支度

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 大荒れの休日になるつもりが、札幌はいたって快晴なのでした。
酷いのはこれからで、明日は学校が臨時休校だそう。

朝から、蠍座さんで『愛の予感』を観ました。
蠍座思い出の一本と称する、ラスト企画。着々と終わりの足音が聞こえてきます。
『愛の予感』は、2007年製作、日本映画の部にて上映。
実験的な反復の果てに、すごいものを見せられて、ちゃんと感想を残しておきたい作品でした。

夕方からは、消しゴム判子を彫ってポチ袋をつくりました。週末は年賀状にも取りかからなければ。
クリスマスより、年越しの支度がたのしい近年です。
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by haru733 | 2014-12-17 20:39 | 日常 | Comments(0)


映画,読書,山,古物をめぐる―日々のきろく


by haru733

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