タグ:アクション ( 16 ) タグの人気記事

地獄でなぜ悪い (2012年) 史上最も命がけの映画クランクイン

d0235336_15485266.jpg

 構想から15年、新たに加筆して完成された園子温監督によるコミカルな極道アクション。
「なぜ悪い」ではなく、「なにが悪い!!」と聞こえてきそうな、血飛沫、肉片が乱舞する、ハチャメチャすぎる内容。しかし、映画愛を前面に出す事すことで批判は回避。どんな映画でも撮らせてもらえる、大物ぶりが窺える一本。

ヤクザの武藤組組長・武藤(國村隼)は、娘のミツコ(二階堂ふみ)を主演にした映画製作を決意する。組を守るため殺人を犯し刑務所に入った妻しずえ(友近)の夢を叶えるためだ。映画の神様を信じるうだつのあがらない映画青年(長谷川博己)と仲間たち、拉致してきた青年(星野源)を監督に迎え、スタッフ&キャストは全員ヤクザで構成。対立する池上組(堤真一、他)を巻き込んで、事態はとんでもない方向に展開してゆく―。

ハミガキ粉のCMで子役デビューした過去を持つミツコ。「ギリギリ歯軋りLet´s go♪」とかいう、キテレツなCMソングが脳裏に焼きつく。二階堂ふみちゃんの極道娘っぷりがカッコよくもセクシー。
池田組の城に乗りこんだ武藤組は、己を貫く映画バカたちと協力し合い、生涯最高で最後の傑作を撮る。皆殺しの大殺戮の大盛宴と化していく。すべては、出所間近の愛する極妻・しずえのために―。

これまでほとんど出演作を観ていない長谷川博己という役者さんの弾けっぷりに驚く。舞台で培ったらしい、発声と滑舌をフルに使い、台詞をまくし立てる。育ちのよさそうなこの人は、お父上が著名な建築家で大学教授なのだそうだ。
どこに出ていたかわからない岩下志麻さんなど、キャスティングは豪華絢爛。
遊びすぎているといえ、近頃はク○映画ばかりだぜ!そんなメッセージの色濃いパワフルな園様映画だった。

 (130min)
[PR]
by haru733 | 2015-02-01 17:42 | 日本映画 | Comments(0)

殺人の告白 (2012年) 真犯人を炙り出す真実

d0235336_17585140.png

 目のつけ所にハッとさせられる設定と、冒頭の掴みの良いどぎついアクションがいい。
しかし、だんだんそのあくどさに気づいてくると、またしても萎えてしまう、お国柄出るサスペンス。

世間を騒がせた連続殺人事件から15年。犯人だと名乗り出た男イ・ドゥソク(パク・シフ)は、自分の犯した殺人事件について詳細に記した本を出版する。その衝撃的な内容と美しいルックスが相まって、一躍人気者となったイ・ドゥソク。だが、犯人を探し続けてきた刑事チェ・ヒョング(チョン・ジェヨン)や、恨みを抱く遺族たちが、ただ黙って見ているはずもなかった。最後の未解決失踪事件については触れられておらず、疑念が残るそんな中、さらに自分こそが真犯人だと主張する男が現れるのだが―

逮捕寸前で連続殺人魔を取り逃がした過去のあるチェ刑事は、最後の事件で婚約者を連れ去られ、未だにその生死も消息もわからぬまま悶々と15年を過してきた。
果たしてイ・ドゥソクは本物なのか....。犯人を暗殺しようと企む遺族たち面々に命を狙われながらも、イ・ドゥソクはメディアを利用した挑発的な態度をとり続けていく。その裏には、思いもよらない真実が隠されているのだった。

この騒動に一枚噛んでいる執念の刑事を演じた、チョン・ジェヨンの男気がいい。反面、サプライズな思惑を隠し持つ犯人役には、アイドル扱いされるイケメンが必要だったのだろうが、韓流への拒絶反応起こさせるパク・シフの風貌がどうしても苦手だった。
彼の立ち位置が大いに崩れていく終盤から、すました表情もすっかり崩れてゆくのだけど。

あざとい。どうしてこうもやりすぎるのだろう。未解決事件を扱ったサスペンスでは、ポン・ジュノ監督の『殺人の追憶』のが、よい。
韓国の男優スターは、美形よりも、ソン・ガンホ氏はじめ無骨な演技派がより強大に魅力的だ。
[PR]
by haru733 | 2015-01-24 14:38 | 韓国映画 | Comments(0)

友よ、さらばと言おう (2014年) 命を張っても守りたい者がいる

d0235336_1941668.jpg

 職場からの帰りに自動車事故を起こし、幼い子どもを含む3人を死に追いやった過去を持つ刑事のシモン(ヴァンサン・ランドン)と、その車に同乗していた親友の刑事フランク(ジル・ルルーシュ)が、6年後、麻薬密売グループとマフィアの報復殺人を目撃してしまったシモンの息子テオの身を守るため、再びタッグを組む姿を、臨場感溢れるアクションで描き切る。

なんてカッコいい男の友情か。同時に息つく間もないスリルと、迫力満点なアクションが、狂ったみたいに突き抜けている。おもしろい!
出所後も、罪の意識から逃れられず、幼い息子テオや妻から離れていったシモンの苦悩を共に抱え、親友フランクはどうにか友を救いたいとおもう。そこには、冒頭から幾度も回想される、事故当日の断片的な記憶の伏線が張られており、真実を滲ませたまま、結末まで一気に走り抜けていく―
d0235336_1942659.jpg
d0235336_1943551.jpg

マフィアのアジトに乗り込んだ2人は激しい銃撃戦に巻き込まれる。追ってきたボスの弟を殺し、見事逃げおおせた2人を、今度は怒りに狂ったボスと騒ぎを嗅ぎ付けた警察までが追い始めるのだった。身を案じたフランクは、シモンとテオ、妻のアリスを特急列車TGVに乗せて、パリに身を隠すよう手配するのだが。

ここから、手に汗握る展開にずっと釘付け。TGVにマフィアが乗り込んだと気づいたフランクは、何も知らぬ3人に迫る危機を覚り、圏外の携帯電話片手に、烈火のごとく車を飛ばし特急列車を追いかける!
TGV内の銃撃戦は文句なしにすごい!あのTGVがものすごいことになっていく。鉄道ファンも大喜びの様相と化す。

6年前のあの夜の過去に一物持ちながら、腹の底から信頼しあう中年男たちの哀愁と執念のパワーにしびれるばかり。逃避行の先の幸せを祈るように見つめながら、ふたりの友情のカッコ良さと男気に涙した。
明かされる過去の真実の重さに胸がふるえた。
d0235336_1945682.jpg

(監督 フレッド・カヴァイエ/90min)
[PR]
by haru733 | 2014-12-29 17:23 | フランス映画 | Comments(0)

ザ・レイド GOKUDO (2013年) エンドレス・バイオレンス!

d0235336_9482943.jpg

 ミニシアターの蠍座さんが、今年いっぱいで閉館してしまう。前作『ザ・レイド』との出会いが蠍座さんであったことを思い出して、いかにおもしろい映画の取りこぼしに気づかせてくれた映画館であったかと、つくづくおもう。これで札幌の単館映画館はシアターキノさんだけになってしまった。
キノさんの2スクリーンがあれば、北海道でも単館系の有名どころはたいてい観られるけれど、全国で初上映になるような異色作や、思いがけない佳作との出会いは、蠍座さんのようにとは望めない。
無類の信頼を置けた館主さん拘りの作品チョイスは、素敵な偏りがあったし、とくに、飾らない言葉で爽快痛烈であった「蠍座通信」がもう読めないことは、かなり寂しい。若者が映画を観ない時代なのだそうだ....
そんな、出会いは蠍座の『ザ・レイド』も続編はシネコンで。前作より、内容ができたぶん長く、単純明快な良さは減じる続編となっていた。
d0235336_9483548.jpg

インドネシアの伝統武術”シラッド”の使い手、イコ・ウワイスがなんといってもカッコいい!マフィアと汚職警官の繋がりを暴くため、命がけでマフィアに潜入させられる新人警官ラマを寡黙に演じる。
のっけから怒涛のアクション目白押し。信頼を得るため、マフィアの跡継ぎウチョ(アレックス・アッバド)と、おなじ刑務所に入所したラマ(イコ)は、のっけからR15指定のノンストップアクションをみせる。敵にはかならず止めを刺す!やりすぎなところが、『アクト・オブ・キリング』(まだ未見)を髣髴する、インドネシアおそるべし。

マフィアVS潜入捜査官VSヤクザ

日本から出演したのは、松田龍平氏、遠藤憲一氏、北村一輝氏。宣伝文句に騙された感のある存在感の薄さは、外国人目線の邦人という違和感で、世界共通そうなってしまうのは仕方がない。ただ、配給会社の誇張エゲツなく、がっかり。

本編の見所は、ヤクザではなくて、地元のマフィアと、新興マフィアの抗争劇。ボスで父親のバングンに反抗する若気の至りウチョが、新興マフィアに寝返って気狂いピエロになっていくドラマ、それに振り回される主人公のラマと、ドンの右腕エカなど、やはりGOKUDO以外のシーンに重厚な見ごたえがあった。
d0235336_94843100.jpg

ボスの右腕・エカ(オカ・アンタラ)が素敵だ。正体は、ラマとおなじく潜入で、脇役でありながら終盤へむけて存在感を増していく。
本命の”シラッド”よりもおもしろいのでは?とおもうほど、エカによるド派手なカーチェイス・アクションが最高にスリリングだ。

ずっと続編を楽しみにしていたくせ睡魔に襲われ、ところどころ記憶がないけれど面白かった。映画によく使われる偏愛クラシック「サラバンド」の響きに恍惚となったり。
ちなみに、前作で最強の敵マッド・マックスを演じていたヤヤン・ルヒアンは、プラコソという名前で再びラマと対決する。このヤヤン氏のビジュアルには、サブイボを立たせるような怖さがあって味わい深い。

驚異的な身体能力、潜入捜査、閉塞空間。近年ずば抜けておもしろかったアクション映画、『アルティメット』と『ザ・レイド』は似ていることに気づく。皮肉にもオーソドックスな一作目の方が面白かったところも同じ。

 (監督・脚本 ギャレス・エバンス/146min)
[PR]
by haru733 | 2014-12-08 12:00 | インドネシア映画 | Comments(0)

アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ (2009年) 跳べ!洋製カンフー・ムービー

d0235336_21254163.jpg

 あの名コンビが戻ってきた!潜入捜査官と地元民の凸凹ナイスコンビの活躍にわくわくする。
パルクールのレイトと、カンフー使いのダミアンが、無法者たちを巻き込んで、バンリュー13地区を抹殺しようと画策する秘密保安局らの陰謀に立ち向かう―。

むかし夢中になっていたカンフー映画を思い出す。ジャッキー・チェンが、ユン・ピョウが、サモ・ハン・キンポーが輝いていたころ、脅威の肉体業にユーモアを交えた香港映画が大好きだった。いつか香港映画にも新たな風が吹き、ジャッキー人気も衰え、カンフー映画は廃れたけれど、ハリウッドからジェット・リー主演の本格派アクションが出てきて、懐かしさから夢中で観ていた時期があった。
そして、いま、その息吹を感じられる作品がここに誕生。フランスが生んだ新生カンフー映画だ。
小物を巧みに使い、エンドロールはNGシーン(一作目)、いたる所にオマージュをかんじる、ユーモアと神業で王道を往く快作シリーズ。
d0235336_21255444.jpg

白黒はっきりした前作に比べて、味方の登場人物が増してごちゃごちゃした感のある続編だけれど、あの強靭でキュートだったレイトの妹がいないことだけが残念..彼女はいて欲しかった。
作中で流れるラップとの相性が抜群で、気がつけば、跳び跳ね廻るキレキレのアクションを見ながら、にわかにノリノリでエンディングを迎えているのだった。

前作でレイトを脱獄させたダミアンが、今度はレイトの手によって脱獄させられる、小気味よい脚本を書いているのは、あのリュック・ベッソン氏。流石というべきか遊び心がある。
副題は”マッスル・ネバー・ダイ”。なんて素敵。

 前作で、無法地域の隔離開放を約束して終わったバンリュー13地区は、3年経ったいまも、状況に変化はない。治安はむしろ悪化の一途を辿っていた。この地区に生まれ育ったレイト(ダヴィッド・ベル)は、街を守ろうと孤軍奮闘を続けているが、政府による地区の一掃政策に陰謀の匂いを嗅ぎつける。そのころ潜入捜査官のダミアン(シリル・ラファエリ)は、何者かに濡れ衣をきせられ投獄されてしまう。ダミアンはかつてタッグを組んだレイトに脱獄の手助けを要請するのだが―。

(101min)
[PR]
by haru733 | 2014-11-02 23:03 | フランス映画 | Comments(0)

アルティメット (2004年) 究極の無重力アクション

d0235336_2165982.jpg

 すごく面白かった。昨秋に観た『ザ・レイド』以来のアクション・ムービーの私的ヒット。
”アクション映画の新たなる伝説”とまでいわれた『ザ・レイド』は、マレー発祥の伝統武術”シラッド”を駆使した快作だった。こちらはフランス発祥の”パルクール”を取り入れたノンストップ・アクション。
どちらも、CGを使わず、ド派手な爆破シーンもないかわり、見事な肉体技にアドレナリン大放出の男気映画となっている。いままで知らずにいたことを激しく後悔。
d0235336_217525.jpg

2010年の近未来、パリ(すでに未来ではないけれど)。無法地帯と化した郊外の“バンリュー13”地区で育ったレイト(ダヴィッド・ベル)は、ギャングのボスにたった一人で立ち向かうが、警察署が閉鎖を理由にタハの受け取りを拒否したために、タハはレイトの大事な妹ローラを誘拐したまま野放しに、レイトは投獄されてしまう。
6ヵ月後のある日、パリ市内では緊急事態が発生する。政府の作った時限爆弾がタハ一味に盗まれ、13地区へ運ばれたというのだ。エリート潜入捜査官ダミアン(シリル・ラファエリ)は、24時間後に迫った爆発を阻止するため、13地区のすべてを知り尽くしたレイトの手を借りるため彼を脱獄させ、未知の無法地帯へ踏み込むのだった―。
d0235336_2182356.jpg

塀に囲まれスラムと化した13地区は至近未来的な混沌にある。悪に立ち向かうレイトとローラの強靭な兄妹っぷり、スキンヘッドなダミアンの好人物ぶりが、最高に後味の良いカタルシスを演出する。
バネのように飛んだり跳ねたり、脅威の身体能力を見せつける”パルクール”のテンポが癖になりそう。
時限装置が起動したタイムリミット迫る中、浚われたローラを救うためにも、カッコいい男気メンたちの死闘は息つくまもなく繰り広げられ、お決まりの展開で安心してオチを楽しむことができた。
続編も観なければ。

ちなみに『ザ・レイド』の続編『ザ・レイド GOKUDO』は来月公開予定。日本からヤクザの役に遠藤憲一氏、松田龍平氏、北村一輝氏が出演しているというから見逃せない。

(監督 ピエール・モレル/85min)
[PR]
by haru733 | 2014-10-10 23:01 | フランス映画 | Comments(0)

人類存亡をかけた人型ロボットVS巨大怪獣の死闘 『パシフィック・リム』

d0235336_20425429.jpg

 ハリウッド大作への無感動がすすむ、今日この頃。すこぶる評判のよかった本編は、『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロ監督ということでちょっと期待したのだけれどな、、。
これはもう、メカ、ロボ、怪獣を敬愛するファンにとっては堪えられない映画で、かつて『トランスフォーマー』が誕生したとき以上の感動と興奮が味わえるのに違いないけれど、いかんせん思い入れないと萌えることもありません。
それにしても、日本の特撮やアニメーションが好きなデル・トロ監督がリスペクトを込めて作った世界観はやはりすごくて、日本人俳優陣が起用されたことは(菊地凛子、芦田愛菜),素直に誇らしかった。
d0235336_20431184.jpg

d0235336_20445889.jpg

(あらすじ) ある日、太平洋の深海から突如巨大な生命体が出現した。“KAIJU”と名付けられた彼らは、容赦ない破壊を繰り返し、人類は滅亡の危機を迎える。そこで人類は世界中の英知を結集し、人型巨大兵器“イェーガー”を開発する。その操縦は2人のパイロットによって行われるが、イェーガーの能力を引き出すためには、パイロット同士の心を高い次元でシンクロさせる必要があった。当初は優勢を誇ったイェーガーだったが、出現するたびにパワーを増していくKAIJUたちの前に次第に苦戦を強いられていく―。
d0235336_2045595.jpg

どうみても怪人28号似のイェーガーに、菊地凛子とチャーリー・ハナムが乗り込む。互いの記憶をシンクロさせるところ、ふたりのウブな恋模様がくすぐったい。

 (2013年/131min)
[PR]
by haru733 | 2014-03-26 21:36 | アメリカ映画 | Comments(0)

エリジウム (2013年) 極限まで二極化した世界の運命

d0235336_20454056.jpg

 処女作『第9地区』がとても面白かった、南アフリカ出身のニール・ブロンカンプ監督による最新作。
前作のヒットで資金面が豊になったのか、ハリウッドの有名スターを起用しているこちらは、贅を尽くしたCG効果と、戦争映画ばりの戦闘アクション、ドラマチックなドラマに、シニカルな視点。前作のあのカタルシスには到底及ばないけれど、荒廃したスラムや近未来の世界観はおなじでわくわくします。
なにより、楽しんで作っている感じが伝わってきていいのです。ツッコミどころ満載な脚本を、とことんド派手な映像で補う、その心意気がすきです。
d0235336_20461184.jpg

2154年。人口増加と環境破壊で荒廃が進む地球。一握りの富裕層は、400キロ上空に浮かぶスペース・コロニー“エリジウム”で、何不自由ない暮らしを送っていた。そんなエリジウムを頭上に臨みながら、地上で暮らすマックス(マット・デイモン)は、ロボットの組み立て工場で過酷な労働に従事していた。
ある時、マックスは工場で大量の放射線を浴び、余命5日と宣告されてしまう。生き延びるにはエリジウムで治療する以外ない彼は、レジスタンス組織のクーデターに加担する形で、決死のエリジウム潜入を図るのだが―。

d0235336_20465867.jpg
d0235336_20473636.jpg

余命5日、弱った体を保護するため、肉体に強化骨格を埋め込んだマックスは、レジスタンスの命令で手に入れたエリジウムの最高機密データーを体内にコピーしたことで、生きてスペース・コロニーへと護送されていく。
待ち受けるエリジウムの防衛庁長官役にジョディ・フォスター。マックスの働いていたロボット工場の社長にウィリアム・フィクトナー。悪役がお似合いの二人が揃ってあっさり殺されるという...ありがちを打破した小粋な展開がおもしろい。さらにおもしろいのは、長官に雇われた殺し屋クルーガー(シャールト・コプリー)が、ここぞとばかりに、一人大暴走しはじめてから。
『第9地区』で主役を務めたコプリー氏のアクの強い存在感は、マット・デイモンを凌ぐほどの勢い。対するマットも、気がつけばヴィン・ディーゼルか!ブルース・ウィリスか!と見紛うほどマッチョのスキンヘッドになっていて、互いに改造された肉体で死闘を繰り広げる。

荒廃した地球から見た、空に浮かぶ理想郷・エリジウム。エリジウム側から見た青い地球―。スクリーンに映し出された二つの対比はたくさんを孕みながらも、視覚的に美しい。
どんな医療も受けられる富裕層と、病気を治すすべを持たない貧困層と、広がり続ける格差に思い切りの皮肉を込めた本作は、南アフリカ出身のニール・ブロンカンプ監督ならではです。
ちなみに、スラムの撮影場所はメキシコシティなのだそう。主人公の朋輩役にディエゴ・ルナも出演しています。

 (109min)
[PR]
by haru733 | 2013-10-10 23:45 | アメリカ映画 | Comments(0)

ザ・レイド (2011年) アクション映画の新たなる伝説

d0235336_2163761.jpg

 いま、札幌のミニシアター蠍座さんでは、第一回“極端映画祭”開催中(!)
シリアス部門に『ファニー・ゲーム』、アクション部門に『ザ・レイド』、アニメーション部門に『燃える仏像人間』の、三作品がノミネート。次は『燃える仏像人間』がものすごく気になっています。

インドネシア映画を観るのは、たぶんこれが初めて。10年に1本のアクション映画と銘打たれ、劇場公開当時から世界で絶賛されたインドネシア発、シラッドによるノンストップ・バトル・アクション。“シラッド”とはインドネシアを中心とするマレー文化圏発祥の伝統武術なのだそう。主演イコ・ウワイスが強くてかっこいい。
(あらすじ)
麻薬王が支配する30階建て高層アパートに強制捜査(レイド)に入ったSWAT隊と、各階で待ち受ける無数のギャングとの壮絶な死闘を、容赦のないバイオレンス描写で描く。

10年前、タイのムエタイによる「マッハ!!!!」が大ヒットしたあたりから、アクション映画もアジアの時代がきているのかもしれない。凄惨を極め尽くしたハリウッドでは生まれないエグさが、確かな伝統の盾に守られて観客の度肝を抜いてくれる。ハリウッドのアクションは食傷気味でも、ムエタイやシラッドには、劇場へ足を運ばせる魅力があります。
d0235336_217080.jpg

状況説明も手短に(映画においてこれはすごく大事)、本題に突入。麻薬王リヤディによって完全な監視下にある、悪の巣窟30階建てアパートへ、いざレイド!目も背けたくなるような壮絶な死闘がはじまる。
嵌められる形でたった20人しかいないSWAT隊員をあれよという間に確実に仕留めていく下っ端住民たちが本気で怖い。彼らは減る気配もなく湧き出してきて、隊員の逃げ道を断っていく。完全なる密室のなかで、おどろくべきスピードで、SWAT隊員を片手ほどの数にしてしまう.....。

銃撃戦、剣斬戦、肉弾戦へと息つくまもなく、あらゆる要素が詰まっています。残忍すぎて薄目を開けて凌ぐこと無数回。主演イコ・ウワイスと、敵の頭脳派アンディ(ドニー・アラムシャー)に隠された秘密など、オチに及ぶすべてにおいて、おもしろかったです。語り草となりそうなマッド・ドッグ(ヤヤン・ルヒアン)の最強な名悪役ぶりがすばらしー。

監督・脚本はイギリス人のギャレス・エヴァンス。すでに続編も作られていて、なんと日本から松田龍平、北村一輝、遠藤憲一さんが出演するそう。 これは!観たい。

(102min)
[PR]
by haru733 | 2013-09-14 00:00 | インドネシア映画 | Comments(0)

グランド・マスター (2013年) 時代に翻弄された宗師たちの斜陽

d0235336_1815632.jpg

 香港映画に新たな風をもたらしたウォン・カーウァイ監督がカンフー・ムービーを撮るなんて、だれが予測できたでしょう。1930年代から日中戦争のころを舞台に、時代に翻弄される中国拳法のグランド・マスターたちの生き様を描いた本編は、スタイリッシュな映像美に貫かれたアクション映画であり、大人たちの秘めた恋慕の情までたのしめる意欲作。

中国拳法の各流派は南北に分かれてそれぞれに各秘掌を代々受け継いできた。北の八卦掌の宗師ゴン・パオセン(ワン・チンシアン)は、生涯をかけた南北統一の使命を託すべく、南の詠春拳の宗師イップ・マン(トニー・レオン)に白羽の矢を立てる。しかし、一番弟子のマーサン(マックス・チャン)や娘のゴン・ルオメイ(チャン・ツィイー)はそれに納得できず反撥を募らせていく。そんなとき、日本による中国への侵攻がはじまり南北統一の夢は海の藻屑に...。時代に翻弄されながら、宗師たちはそれぞれ新たな人生を歩んでいくのだが。
d0235336_1824712.jpg

スーパースローの絵になる画面に、降りしきる雨がいちいち美しい。アクション俳優ではない役者たちがみせるカンフー演技さえ様になってしまう映像のマジック。のちにブルース・リーの師匠となるイップ・マンを主人公に据えて、激動の時代、流派存続をかけた宗師たちの命懸けの人生を描いたカンフー映画―でありながら、ルオメイとイップ・マンのあいだに流れるのは、たしかな恋のムード。

むかしからカンフー映画がだいすきで、そういう意味でもカーウァイ作品のそれが観れたことはうれしい。
ただアクションに徹するのではなく、中国と香港の歴史を振り返りながら、じつは恋愛映画だったんじゃない?というのもありだとおもう。シルエットの美学と匂い立つムードを描かせたら、カーウァイ監督の右に出る者はないと信じます。
トニー・レオンは常套の色気を放ち、マギー・チャンの再来かというチャン・ツィイーは容姿も立ち居姿も美しい。一線天を演じたチャン・チェンは、よくわからない役どころながらセクシー。彼は『愛の神、エロス』のなかのカーウァイ作品「若き仕立屋の恋」でも色気ムンムンだったよそういえば。
なんにしても、これほどムーディーなカンフー映画は観たことがなく、完成度はあまりよくなくっても、先入観を捨ててたのしみたい大人むけ作品に仕上がっていました。

 (123min/香港=中国=フランス)
[PR]
by haru733 | 2013-06-07 00:00 | 香港映画 | Comments(2)


映画,読書,山,古物をめぐる―日々のきろく


by haru733

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

カテゴリ

全体
日常



旅行
おでかけ
雑貨
鑑賞
映画index
ポーランド映画
スペイン映画
フランス映画
イギリス映画
イタリア映画
ドイツ映画
トルコ映画
ブルガリア映画
アメリカ映画
日本映画
多国合作映画
韓国映画
中国映画
香港映画
ノルウェー映画
フィンランド映画
デンマーク映画
スウェーデン映画
ロシア・ソ連映画
オーストリア映画
カナダ映画
オランダ映画
ベルギー映画
キルギス映画
ギリシャ映画
スイス映画
アルバニア映画
セルビア映画
南アフリカ映画
インド映画
インドネシア映画
イラン映画
メキシコ映画
ウルグアイ映画
ニュージーランド映画
ポルトガル映画
アイルランド映画
ボスニア=ヘルツェゴビナ映画
ルーマニア映画
モノローグ
脱原発

記録

タグ

(172)
(109)
(82)
(69)
(68)
(59)
(56)
(54)
(46)
(28)
(28)
(26)
(23)
(23)
(22)
(22)
(16)
(16)
(14)
(13)

最新の記事

『記憶の絵』 森 茉莉
at 2015-03-16 22:05
悪魔憑き考 『汚れなき祈り』..
at 2015-03-07 13:16
U Want Me 2 Ki..
at 2015-03-07 09:55
わたしはロランス (2012..
at 2015-03-06 12:41
アメリカン・スナイパー (2..
at 2015-03-06 09:53
市民ケーン (1941年) ..
at 2015-02-23 09:49
ゆうばり国際ファンタスティッ..
at 2015-02-22 21:41
『麦ふみクーツェ』 いしいしんじ
at 2015-02-22 16:00
藻岩山 *冬
at 2015-02-19 18:00
ありがとう
at 2015-02-15 22:08

最新のコメント

はじめまして 映画に詳..
by ミキ at 18:11
このごろの暖かさ、いつか..
by haru733 at 21:04
昨日は穏やかな良い天気で..
by kanae at 17:04
あのシチュエーションで飛..
by haru733 at 21:24
おかえりなさいませ。 ..
by kanae at 19:51
あけましておめでとうござ..
by haru733 at 22:07
あけましておめでとうござ..
by kanae at 08:01
Merry X'mas☆..
by haru733 at 22:22
merry christ..
by kanae at 23:46
こんばんは。手放しにおも..
by haru733 at 21:35

ブログパーツ

以前の記事

2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
more...

フォロー中のブログ

はなももの別館
ジャックの談話室
salvage anti...
古本とビール アダノンキ
手製本工房 O塾
Собака и Кошка
やぁやぁ。
OSOに恋をして

ライフログ


麦ふみクーツェ


掏摸(スリ) (河出文庫)


話を聞かない男、地図が読めない女


図書館の神様


爪と目