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地獄でなぜ悪い (2012年) 史上最も命がけの映画クランクイン

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 構想から15年、新たに加筆して完成された園子温監督によるコミカルな極道アクション。
「なぜ悪い」ではなく、「なにが悪い!!」と聞こえてきそうな、血飛沫、肉片が乱舞する、ハチャメチャすぎる内容。しかし、映画愛を前面に出す事すことで批判は回避。どんな映画でも撮らせてもらえる、大物ぶりが窺える一本。

ヤクザの武藤組組長・武藤(國村隼)は、娘のミツコ(二階堂ふみ)を主演にした映画製作を決意する。組を守るため殺人を犯し刑務所に入った妻しずえ(友近)の夢を叶えるためだ。映画の神様を信じるうだつのあがらない映画青年(長谷川博己)と仲間たち、拉致してきた青年(星野源)を監督に迎え、スタッフ&キャストは全員ヤクザで構成。対立する池上組(堤真一、他)を巻き込んで、事態はとんでもない方向に展開してゆく―。

ハミガキ粉のCMで子役デビューした過去を持つミツコ。「ギリギリ歯軋りLet´s go♪」とかいう、キテレツなCMソングが脳裏に焼きつく。二階堂ふみちゃんの極道娘っぷりがカッコよくもセクシー。
池田組の城に乗りこんだ武藤組は、己を貫く映画バカたちと協力し合い、生涯最高で最後の傑作を撮る。皆殺しの大殺戮の大盛宴と化していく。すべては、出所間近の愛する極妻・しずえのために―。

これまでほとんど出演作を観ていない長谷川博己という役者さんの弾けっぷりに驚く。舞台で培ったらしい、発声と滑舌をフルに使い、台詞をまくし立てる。育ちのよさそうなこの人は、お父上が著名な建築家で大学教授なのだそうだ。
どこに出ていたかわからない岩下志麻さんなど、キャスティングは豪華絢爛。
遊びすぎているといえ、近頃はク○映画ばかりだぜ!そんなメッセージの色濃いパワフルな園様映画だった。

 (130min)
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by haru733 | 2015-02-01 17:42 | 日本映画 | Comments(0)

天才スピヴェット (2014年) 泣き方だけがわからない

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 敬愛するジャン=ピエール・ジュネ監督最新作。キッチュで手作り感たっぷりなジュネ・ワールドに陶酔あるのみ。そろそろダークサイドが恋しくなるけれど、文句なしに楽しかった。シアターキノでは2Dにて上映ちゅう。

アメリカ北西部のモンタナ。牧場を営む父(カラム・キース・レニー)、昆虫博士の母(ヘレナ・ボナム=カーター)、アイドルを夢見る姉(ニーアム・ウィルソン)に囲まれ暮らすスピヴェット(カイル・キャトレット)は、10歳にして天才科学者だ。双子の弟が死んで以来、家族それぞれの心にはぽっかり穴があいていた。
ある日、スミソニアン学術協会から、最も優れた発明に贈られる賞を獲得したスピヴェットは、ひとりワシントンDCで開かれる授賞式に向かうため家出を決意する。大陸横断の冒険の中で、スピヴェットは様々な人と出会いながら本当に大切なものに気付いていく―。

喪失感を扱いつつも、劇場に笑いがこぼれるユーモアいっぱいのロード・ムービ。ジュネ作品に、広大な北アメリカ大陸の景観が、こんなにもよく似合うとは。
往年のジュネ・ファミリー、ドミニク・ピノンの登場に頬を緩めつつ、昆虫標本に囲まれたヘレナ・ボナム=カーターの部屋など垂涎もので、色使い、言葉遣い、モンタージュの画面、どこを切り取ってもワクワクするアイテムに満ち満ちた世界。
古いヘレナ・ファンとしては、ふつうの顔色でこんなに愛ある立派なお母さんを演じているとうれしくてたまらない。

両親の愛を確信できず、弟の死を自分のせいと思い込んでいる、スピヴェット少年の流す涙はあまりに純粋。ついつい貰い泣いたり。
新人のカイル・キャトレット少年の品のある愛らしさは、確実に、『ホーム・アローン』で絶頂期のマコーレー・カルキン少年を越えていた。 

 (フランス=カナダ合作/105min)
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by haru733 | 2015-01-18 17:10 | フランス映画 | Comments(0)

天使の分け前 (2012年) 人生の大逆転

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 このごろ、”スコットランド”という名をよく耳にする。独立反対で幕を下ろした国民総選挙、ミュージカル映画『サンシャイン 歌声が響く街』、今週はじまった朝ドラの『マッサン』など。社会派ケン・ローチ監督が、不況のスコットランドを舞台に描いた本編はとってもおもしろかった。
ウイスキーとの出会いをきっかけに成長していく若者たちの姿を描くヒューマン・コメディ。

主人公のロビー(ポール・ブラニガン)は、もうすぐ父親になるというのに、トラブルばかり繰り返しているゴロツキ。逮捕され社会奉仕活動を言い渡された彼は、そこで立派な指導者のハリーと出会い、ウイスキーの奥深さを知ることになる。次第にテイスティングの才能を目覚めさせていったロビーは、ある時、北ハイランドで樽入り最高級ウイスキーが見つかり高値でオークションにかけられることを知る。自らの人生を変えるチャンスをものにするため、作業仲間とともに入念な計画を練って乗り込んでいくのだが……。
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こんなにもユーモアのあるローチ作品ははじめて。小気味良く風刺する、視線の温かさにほっとする、いままでにない良さをかんじる。
主演のポール・ブラニガンは演技未経験。自らもグラスゴーで生まれ育った、憎めない、だけど近づき難い繊細なあぶなさが印象的な、小柄でやんちゃな存在がなんといっても魅力だ。彼は、スコットランドを舞台にしたミュージカル『サンシャイン 歌声が響く街』にも出演していて、本編のエンディング曲も、その『サンシャイン』で使われたプロクレイマーズによる楽曲だった。
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一発逆転、一億円を越すお宝スコッチ樽の中身をちょっとだけ手に入れるべく、キルトに身を包んだ前科ものたちの運命はいかに―
さらなる犯罪に手を染めていく構図は『この自由な世界で』とおなじなのに、あのやりきれない痛切さは皆無。始終笑いがあり、愛がある。
スマート犯罪の戦利品は、親身になって社会復帰を支えてくれたハリーの元へもちゃんと届く。ほろ酔いのように体がポッと赤く篤くなる、こころ温まる再生のドラマだった。

(101min/イギリス= フランス= ベルギー= イタリア合作)
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by haru733 | 2014-09-30 10:15 | 多国合作映画 | Comments(0)

しあわせの雨傘 (2010年) 人生の雨降りだって晴れに変えちゃう

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 『シェルブールの雨傘』から50年、老年となったカトリーヌ・ドヌーヴ主演のコメディタッチな家族ドラマ。
原題の『POTICHE』(飾り壺)とは、アイデンティティのないブルジョワ主婦の母を”飾り壺”に例えた娘(ジュディット・ゴドレーシュ)の台詞から。むかしの名画に引っ掛けた邦題が良い。

工場ストライキをきかっけに心臓発作を起こした夫(ファブリス・ルキーニ)に代わって、突然、雨傘工場の経営を引き継ぐはめになった社長夫人のスザンヌ。ブルジョワお気楽主婦の彼女は、ずっと軽んじられてきたのだが、大らかな人柄はいつしか労働者たちの心を掴み、やがて経営者として頭角を現していく。

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カラフルで小洒落た70年代のファッションは、いかにも独自の美学を持ち続けるフランソワ・オゾン作風。
秘書と不倫を続ける夫はともかく、貞淑なスザンヌさえ、むかしは幾度もの浮気を繰り返してきたという、あっけらかんとしたフランスの、男と女と家族が描かれる。

女性が元気な映画は、観ていてたのしい。社会進出してゆく姿は、いまでこそ珍しくないが、時代設定を70年代にしたことでジェンダー意識にさらりと近づく。十八番のサスペンスも、いまいち悪い後味もなく、シニックなファミリードラマに留まっていた。いい意味で綺麗事な小ざっぱりしたコメディ。

 (103min)
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by haru733 | 2014-08-27 00:00 | フランス映画 | Comments(0)

恋はデジャ・ヴ (1993年) 時間の迷宮で恋の迷路に迷い込む

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  傲慢なお天気キャスターが、聖燭祭で毎年訪れるペンシルベニア州のパンクサトーニーで、同じ日を延々と繰り返す時の迷宮に迷い込んでしまった!
来る日も来る日も2月2日を繰り返す主人公のフィルを、若き日のビル・マーレイが小気味よく演じる。フィルの心境の変化と、それによって変わっていく周囲の人々や恋模様を、事細かに描いた見事な脚本が文句なしにおもしろかった。

ただでさえうんざりな聖燭祭を、延々繰り返すことになってしまったフィルが気の毒。毎朝、グラウンドホッグデーのリポートをやっつけ仕事的にこなして、あとは暴言吐いたり、ずるく立ち回ったり、暴れたり、、さらには自暴自棄になったり。いつしか、ロケに同行する美人プロデューサーのリタ(アンディ・マクダウェル)に心惹かれるのだが、偏屈な性格から、素直に思いを伝えることはなかなかできないのだった。

こんな迷宮に嵌れば、だれしもそうなってしてしまうのか?自棄を起こしたあとは、ありとあらゆる自殺の方法で2月2日の終りを試みる。しかし、目が覚めればリセット。2月3日は訪れてはくれない。
やがて居丈高だったフィルが辿り着く心の佳境は、ステキな人助けの精神、それによってフィル自身が救われていくのだった―。

ひとは変わる。その変わっていく姿が、コミカルな中にとても見事で、どうして優しくなれるのか、どうして人柄はじぶんを助けるのか、とてもよくわかる。
傲慢ちきなままで、心優しいリタはぜったいに愛してくれない。繰り返す時間のなかに、本を読み、ピアノを習い、身につけられた教養や嗜みは、フィルを豊かにする。他者と関わってだれかの為になにかすれば人望が篤くなり、人脈をつくればそのぶんだけ奥行やのりしろが広がる。中身を磨く方法をしる教科書がここにはある。
果てしのない長期戦の果てにたどり着く、彼女への究極の言葉が素敵だ。

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毎回一本の映画を取り上げて哲学する『哲子の部屋』というバラエティがある。本編は、前回取り上げられていた作品で、人気ラブコメを題材に迫ったのは、20世紀最大の哲学者ジル・ドゥルーズ哲学だった。
”なぜひとは学ぶのか”―あたらしい概念がとてもクリアに浸み入る番組。「映画を使って」というところがなにより魅力。
哲学者・國分功一郎さんの語り口はソフトで、人生を楽しくする哲学をいつもやさしく教えてくれる。
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by haru733 | 2014-08-26 21:10 | アメリカ映画 | Comments(0)

グランド・ブダペスト・ホテル (2013年) 究極のおもてなしとミステリーへようこそ

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 ウェス・アンダーソン監督の最新作は豪華キャストを迎えて贈る群像ミステリー・コメディ。
 1932年、ヨーロッパの一流ホテル"グランド・ブダペスト・ホテル”のとある常連客をめぐる殺人事件。その遺産争いに巻き込まれた伝説のコンシェルジュ、グスタヴ・H(レイフ・ファインズ)は、忠実なるベルボーイ、ゼロ・ムスタファ(トニー・レヴォロリ)と共に、自らの誇りとホテルの威信を懸けて事件を解明すべく繰り広げる大冒険の行方をユーモラスに描く。
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評判のすこぶる良いウェス・アンダーソン作品の過去作を辿りたくなる面白さ。
見た目に可愛らしいホテルᰮでの室内劇にはじまり、投獄・脱獄・追跡・逃亡と、めまぐるしく展開する、『ダージリン急行』を彷彿するロードムービー。色彩豊かな手作り感あふれる、底抜けに明るいキッチュな世界観。ミニチュア撮影などまさしく、ミシェル・ゴンドリーやロイ・アンダーソンの、あの敬愛する雰囲気に似ているのだけれど、、なぜだろう、心底楽しむ気分には至らなかった。それはきっと、陰気あっての陽気さが好きだから、根っから陽気なだけは物足りないのかも。
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アンダーソン作品を辿っていくと、壮年になってますます魅力的なビル・マーレイ氏が、毎度キャスティングされている。何年も前からマーレイ氏の魅力に気づいていたのだなあ。ジェイソン・シュワルツマンをはじめ、コッポラ一族へと繋がる、素敵なトライアングルが形成されていて、本編の豪華顔ぶれと合わせて豊かな人脈が垣間見えるよう。
ちなみに、ミニチュア撮影を使った、痛快なスキー追跡シーンは噂通りの可笑しさ。だいすきなロマン・ポランスキーfilm『吸血鬼』の素敵な滑降シーンを思い出した。

(100min/イギリス=ドイツ合作)
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by haru733 | 2014-06-16 23:58 | イギリス映画 | Comments(0)

HK/変態仮面 (2013年) 俺の闘う姿をどうか見ないでほしい

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 ドMの父とドSの女王様の母から受け継いだヘンタイの血が流れる高校生の色丞狂介は、ある事件をきっかけに、パンティを被ると”変態仮面”に変身してしまう自分に気づく。じぶんはノーマルなのに!正義の味方”変態仮面”に変身してしまう....。アイデンティティの崩壊に苦しみながらも、変態である自分こそが自己の一部であることを認めて大人になっていく、高校生の悶々たる純愛と葛藤を、突き抜けたビジュアルで描いた笑撃作。原作はあんど慶周によるマンガ『HENTAI KAMEN』。
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好きすぎて変態行動をとる恋愛映画を偏愛している者には、愛おしいド変態作品。(わたしのことです)
転校生の姫野愛子(清水富美加)に一目惚れした狂介(鈴木亮平)は、銀行強盗に巻き込まれた彼女を救いたいがためにとった行動で、偶然、変態遺伝子を覚醒させてからというもの、”変態仮面”へとメタモルフォーゼを繰り返し、持ち前の優しさで困っている人々を助ける日々だ。しかし、自らが、両親とおなじく変態であることを認めたくない純真な狂介は、悩み苦しみ、苦しみながらもパンティを被り続ける。メタモルフォーゼするために...。
そんな彼の前に現れたのは、学校を乗っ取ろうと企む大金持ちの空手部主将、大金玉男(ムロツヨシ)だった。玉男は、邪魔な変態仮面を倒そうと次々に刺客を送り込むのだが、さらに追い討ちをかけるように、産休に入った教師の代わりに赴任してきた数学教師・戸渡(安田顕)が愛子に接近。2人だけの補習授業を繰り返すのだった。彼の狙いは果たして……?
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筋肉フリークには堪らない鈴木亮平氏の肉体美に、はにかんだ表情のギャップ、はたまたメタモルフォーゼ後のはじけっぷりと渋い声音がたまりません。エセ変態仮面として、貧弱な肉体を惜しみなく披露する安田顕さんも最高。おなじ道民として誇らしいくらい、他のTEAM NACSメンバーを圧倒するすば抜けたヘンタイぶりが流石の貫禄。

いつだったか、一本の映画で哲学する『哲子の部屋』という特番があって、『ファイトクラブ』のつぎに選ばれて哲学されていたのが本編でした。”変態”というと、片仮名の似合う”ヘンタイ”をおもってしまうが、この作品は”変態”といって”メタモルフォーゼ”の変身でもあるのだと。ひとりの青年が悩み苦しむアイデンティティの問題や、そのままの自分を認めて受けいれていくビルドゥングスロマンとして観ればおもしろさ倍増間違いなし。
いかにも敬遠されそうなビジュアルとはいえ、すごくおバカで際どいながらも侮れない良作だとおもいます。

(監督 福田雄一/105min)
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by haru733 | 2014-04-20 13:18 | 日本映画 | Comments(2)

きっと、うまくいく (2009年) 大学時代の親友3人が織り成す至高の人生エンタテイメント

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 いま、3時間の長尺をなんの衒いもなく見せる映画があるとすれば、わたしにとってそれはおおかたボリウッド映画だとおもう。笑いあり涙あり、歌にダンスに恋愛にミステリーに、あらゆる要素を詰め込んだ長丁場を飽きさせないパワーは、いつかほんとうにハリウッドを席巻してしまうかもしれない。

 (あらすじ) 超難関の名門工科大ICEに入学したファランとラージューは、そこで超天才の自由人ランチョー(アーミル・カーン)と出会う。彼らは、一緒にバカ騒ぎを繰り返しては鬼学長の怒りを買い、いつしか“3バカ”として札付きの問題学生となっていく。そんな中、ランチョーは天敵である学長の娘ピアと恋に落ちるが…。時は流れ、3人が卒業してから10年後。ファランとラージューは、卒業後すぐに行方知れずとなったランチョーの消息を知っているという、かつての同級生と再会する。彼らはランチョーを探す旅に出るのだが―。

突然消えてしまった自由人ランチョーの消息を尋ね、苦楽を共にした旧友たちが車に乗り込みドタバタな珍道中を繰り広げるロード・ムービ。大半が、彼らの出会った大学での喜怒哀楽のエピソードでできていて瑞々しい。機転のきいた、賢くて優しいランチョーが、じつに魅力的だ。

親の期待を背負って名門大学にやってきた生徒たちは、勉強につまづき、周りの圧力に追い詰められていく。そんななかで、だれより気ままに過ごして見えるランチョーは、いつだって成績トップだった。彼がなぜ、勉学を愛し、卒業後すぐに姿を消さなければならなかったのか、、じょじょに過去の真実が明らされていく―

盛り沢山な内容をコミカルにもシリアスにも描き、思い出したように歌い踊るのだから、3時間あって然るべき。気がづけばハッピーな気持ちになっている、麻薬のようなボリウッド・テンションおそるべし。
発展の陰でいまだ過酷さの混在するインドで映画がこれほど国民に愛されるのは、ドーパミン大量放出でいやなことを忘れられる、一種のカタルシスなのかもしれないな。
No problem!がインド人の口癖。大問題がおきたって No problem!
タイトル”うーまーくーいーくー。なんとかなるさー”、そんな根拠のない言葉ももっとも似合ってしまうインド映画が、わけのわからない強い説得力でこころをふっと軽くしてくれる。

ランチョーの正体がわかるとき、驚きと感動の再会は、参りました!とついぞ唸ってしまうような小気味良い幕切れで最高だった。

 (170min/監督。脚本 ラージクマール・ヒラニ)
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by haru733 | 2014-04-12 10:25 | インド映画 | Comments(0)

笑って、笑って、笑いぬく  『昨日・今日・明日』

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  ネオリアリスモの巨匠ヴィットリオ・デ・シーカは、こんなにも愛おしいコメディ映画を撮っていたのだな。
  刑を逃れるために年中妊娠している妻、若者と浮気する有閑マダム、お隣の神学生を誘惑する娼婦―
イタリア人女性のバイタリティ溢れる艶笑譚3話からなるオムニバス。

別人のように変化する3役のソフィア・ローレンが美しい。振り回される男たちがとても不幸には見えなくて、それどころか、そろってメロメロになる姿が微笑ましい。子作りに励まされてフラフラの夫も、犬のように道端に捨てられてしまう若いツバメも、純朴な神学生も。みんなが、生き生きとしたソフィア・ローレンを中心に廻り、恋し、泣き、笑い、愛し合っている。
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どの国にも似ていない、あけっぴろげな欲望のある風景。マシンガントークで生命力に溢れていた、古き良きイタリア映画の一時代をおもう。その時代をいまに引き継ぐところに、ロベルト・ベニーニ氏を偏愛するわけがあるのかもしれない。
マルチェロ・マストロヤンニとの黄金コンビが人生のささやかな幸福に気づかせてくれる本編は、デ・シーカ往年の名作『自転車泥棒』『靴みがき』『ひまわり』などとは一味違った趣ある好編だった。
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いつもイタリア映画をみると、情熱的な愛の姿は違うのに、根にある母性の猛烈な強さが日本とよく似ているなあと思わされる。母の強さと、もうひとつ敗戦国の苦しみという点でも類似していて、映画の雰囲気が心地いい。
ヴェネチア国際映画祭では邦画のウケが良い―とは到底いえないまでも、大島渚監督や我らが塚本晋也監督が審査委員を務めたり、最近では染谷将太くんと二階堂ふみちゃん(『ヒミズ』)によるマルチェロ・マストロヤンニ賞の受賞も、まだ記憶に新しい。

(119min/イタリア=アメリカ)
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by haru733 | 2014-04-02 00:00 | イタリア映画 | Comments(0)

生きてるものはいないのか (2011年) 終焉が道をやってくる

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 冒頭、わけもわからぬまま、すでに始まっていたらしい登場人物たちの、死へのカウントダウン。
都市伝説、パンデミック、これはパロディー? ドライな末後の先に哲学は見えなくて、ひさしぶりに覚える退屈。
病院に併設された大学のキャンパス。静かに謎の感染は広がり、次々に倒れていく人々。誰も助からないと悟ったとき、滑稽な死に様を演じる面々はじつに乾いている。オフビートでアンニュイな群像不条理劇。
舞台設定から、若手俳優陣がたくさんキャスティングされているけれど、やはり良かったのはお目当てだった染谷将太くんで、相変わらず損をさせない佇まい。そして近頃気になる村上淳氏が光ってます。
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原作は演劇界の若手、前田司郎氏の戯曲だと知って、ちょっとなるほど。舞台の上でならきっと、このドタバタシュールは面白いにちがいない。演劇と映画は似て非なるものである、そんな持論がのっぺりした映画化に出会うごと深まっていきます。
石井岳龍監督作品を観るのはこれが初めて。

 (113min)
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by haru733 | 2013-11-18 20:43 | 日本映画 | Comments(0)


映画,読書,山,古物をめぐる―日々のきろく


by haru733

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