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インターステラー (2014年) 新しい地平へ

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 『2001年宇宙の旅』以来の革新的な世界観。宇宙物理学を駆使した内容は、コンパクトに表現することさえ私には難しい。いつかお気に入りだったN○Kの科学番組を思い出しつつ、未知の観念と圧倒的なビジュアルに興奮する3時間。
砂嵐が町を襲う、終焉間近の冒頭から、もうずっと目を逸らせない。家族の未来を救うため、宇宙船の乗組員となった元パイロットのクーパー(マシュー・マコノヒー)は、いつ帰還できるともしれない旅に出る。
時は重力の影響下、クルーに流れる時間は、地球のものとは違う。愛する家族は、残り時間わずかな地球で、ただただ任務の成功を願い、失望し、祈り、信じることしかできない―

NASAの登場、宇宙空間の静寂、巨大ブラックホール”ガルガンチュア”の造形、5次元空間。あらゆる展開とビジュアルが目を見張るおもしろさ。
SF映画の金字塔『2001年宇宙の旅』は神で、2001年を越す作品はとうてい出ないとしても、本編がすばらしいのは、フィルム撮影にこだわり、CGを極力廃して作り上げた見事なリアリティ。同時に秀逸な人間ドラマまで描きながら、エンタテイメント大作である万能ぶり。
画面の中心は壮大な宇宙空間で、人も宇宙船も、端っこに頼りなくちっぽけに存在させる、ミクロでありマクロである、人と愛の有り様を巧みに描きとる。
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 穏やかな夜に身を任せるな
 日暮れに老いても、燃やせ
 消え行く光に向かって 怒れ、怒れ


イギリスの詩人ディラン・マーレイス・トマスの詩の一遍が印象的。
21世紀になっても、宇宙にある物質で解明されているのは、全体のわずか5パーセントにすぎない。それでも私たちは、宇宙への情熱を忘れ、夜空を見上げるより進化した手元のスマホばかりを見ている、とノーラン監督は言う。主人公クーパーも言っていた。「昔の人はもっと空を見上げていたものだ」と。
アメリカの月面着陸は捏造―そんな黒歴史まで動員して、ノーラン監督が描きたかったのは、意識を外へ外へ、未知なる宇宙に向かって人類は進化していかなければならない、ということなのだそうだ。

時空を越える作品にロマンはつき物。伏線の多用されたドラマチックな不可思議ストーリーと、立派な科学者へ成長する娘との確執と絆に涙した。
これまで、『インセプション』も『ダークナイト』も、熱狂するほどではなく、ここに感想を認めることさえしてこなかったのに、クリストファー・ノーラン監督はやはりすごかった。と同時に、いかにキューブリックの『2001年宇宙の旅』がずーっと先をいっていたか、ひれ伏したいおもい。しかし、HALという恐るべき人工知能もさることながら、本編の変形式モノリス形ロボは、最高に使えて、最高にシュールに動く。

 劇的な環境変化によって、寿命が尽きかけている未来の地球。新たに発見された宇宙のワームホールを利用し、居住可能な新たな惑星を探すという、生きて帰れるかわからない重大な使命を担う壮大な旅に、まだ幼い子供を持つ元エンジニアの男(マシュー・マコノヒー)と、数少ないクルーが選ばれる。人類の限界を超え、不可能にも思える史上最大のミッションのため、前人未到の未開の地へ旅立った一行は、自らの使命を全うし、愛する家族の元へと生還することができるのか……。 (goo映画より) 

 (169min)
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by haru733 | 2014-12-02 18:08 | アメリカ映画 | Comments(2)

蟻パニック! 『黒い絨毯』『フェイズIV 戦慄!昆虫パニック』

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  近未来SFの『フェイズⅣ戦慄!昆虫パニック』と、南米アマゾンを舞台にした替え玉夫婦のメロメロドラマ『黒い絨毯』をみる。似て非なる、蟻映画ふたつ。
アーティスティックな怪作なら前者。うじゃうじゃの蟻にリアルな戦慄を覚えたいなら後者をおすすめ。


『フェイズⅣ戦慄!昆虫パニック』 (1974年)

 宇宙の怪現象で高度な知能を得た蟻たちと、科学者たちの人類存亡をかけた戦いを描く。
グラフィックデザイナーのソウル・バス監督、劇場未公開作品。
時代特有のローテンポと、派手さのまったくない地味さを補うには足りないアーティスティックな画面。
驚くべきことに、蟻が演技しているらしい。人類との死闘に敗れた仲間たちの遺骸をキレイに並べて弔う蟻。
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緻密に攻撃を仕掛けてくる知能を持った蟻の恐怖が、じんわりと迫る。
砂漠の真ん中、登場人物はほぼ、研究施設の科学者ふたりと、生き残った地元の美しい少女だけ。
緩くて緩すぎてうとうとしてるうち、いつしか『2001年宇宙の旅』を彷彿する、モノリスモドキ、日の出と共に、新人類の幕開けがやってくる。
むずむずする蟻への恐怖はないけれど、異色のビジュアリSFだった。


『黒い絨毯』 (1954年)
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 『フェイズ』に期待したおぞましさを求めて、ずいぶん久しぶりに再見。バイロン・ハスキン監督。
南米アマゾンの上流を開拓しカカオ農園を経営しているクリストファー(チャールトン・ヘストン)の元に、替え玉結婚をして以来、はじめて顔を合わせる妻ジョアンナ(エレノア・パーカー)がやってくる。
しかし男気溢れる俺様男クリストファーは、美貌の持ち主で気位が高いジョアンナになかなか心を開こうとしない。しかも、彼女の結婚が2度目であることを知ると、アメリカに帰るよう一方的に命じるのだが―。

中年童貞夫のこじれっぷりに1時間。蟻パニックは残りの30分だったとは!記憶になくて驚いたけれど、これがどうして、どちらもおもしろい。d0235336_11133872.jpg
もどかしい恋愛模様にじれじれしているうち、アマゾンには数十年ぶりかで、すべてを食い尽くす軍隊蟻マラブンタの大群が黒い絨毯をなして迫り来る。農場を守るべく屋敷に立てこもったクリストファーと、彼と共に闘うと誓ったジョアンナは、夥しい数の蟻との死闘を繰り広げる。
人間さえあっという間に白骨と化す、知能を持ち、川さえ渡る。蟻パニック!『フェイズ』のような高度さはないけれど、大群をなすものはやはり怖い。これだけの蟻さん総出演版で『フェイズ』がリメイクされたときには、是非観てみたい。
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by haru733 | 2014-11-17 23:36 | アメリカ映画 | Comments(0)

『新千歳空港国際アニメーション映画祭2014』/ファンタスティック・プラネット(1973年) 爆音上映

d0235336_1554653.jpg 新千歳空港の映画館”じゃがポックルシアター”では、国際アニメーション映画祭2014が開催されています。
ラインナップに『ファンタスティック・プラネット』を見つけて、本日一回きりの上映を観てきました。しかも、北海道初上陸の爆音上映版。大音響で映画を観るというのは初めてです。もうひとつの爆音プログラムには、よりコンセプトに似合いそうな『AKIRA』。


(あらすじ) 青い体に赤い目の巨人ドラーグ族の支配する惑星で、小さなオム族は虫ケラのように扱われていた。オム族の孤児テールは、ドラーグの娘に拾われ愛玩動物として飼われていたが、やがて逃げ出し、知識を学習した彼は、仲間と共にドラーグに反乱を起こしていく―。原作はステファン・ウルのSF小説「オム族がいっぱい」。

グロテスクでシュールで、ものすごく残酷で、高次元的な愛すべき世界が広がる。虫けら同然に排斥されているオム族は、人類だといっていい。種族間争いの背景には、哲学や宗教が潜んでいるようで、休日の居間にずっと垂れ流しておきたい、気色悪くも蠱惑的なビジュアルと合わせて奥深い。宮崎駿氏が、例えてヒエロニムス・ボスの悪魔的な絵画と言ったことが頷けるものです。

伝説のアニメーション映画は1973年製作。積年のノイズとシンセサイザーの効果音が、爆音に映えておもしろかった。映画と音の蜜月関係を楽しむには、この上映方法はありだとおもえる。来春には、札幌でも爆音上映が計画されているそうです。
それにしても、ものすごく観たかった映画だというのに、デカイ音だというのに、うとうとしてしまうのはなぜだろう、、ところどころ記憶がありません。

”じゃがポックルシアター”に足を踏み入れたのは、この日はじめて。3スクリーンあるなかで、一番大きな229席のスクリーン1は、ほぼ満員でした。 
(フランス=チェコスロバキア合作/72min)
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by haru733 | 2014-11-02 17:53 | フランス映画 | Comments(0)

トータル・リコール (1990年) 火星に呼ばれた男

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 子どもの頃、最も心奪われた近未来SFといえば『ターミネーター』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でしょうか。
それぞれの第2作目、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』(1989年)、『ターミネーター2』(1991年)の登場は、いまでも忘れられない。次々現れる見たこともない世界観にわくわくして、映画好きを加速させていったものでした。
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SF映画の金字塔が立て続けに誕生した当時は、SFXの進化がどこまでいくのか楽しみでしかたなかったし、いつか飽和状態がきて、ハリウッドのネタは尽きて、3D時代がやってくるなんてことを思ってもいなかった。
そんななか、なぜか何度地上波放送されても、決して食指が動かなかったのが、この『トータル・リコール』という作品でした。
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「死ぬまでに観たい映画1001本」にも選ばれている有名作は、しかし、こんなにもおもしろかった!
フィリップ・K・ディックの短編小説『追憶売ります』を基にした内容は、まったく古くなっていず、2012年のリメイク化も頷けてしまう。

(あらすじ) 西暦2084年。火星の夢にとりつかれた一人の技師が、夢による疑似体験を受けようとした事から何者かに命を狙われ始める。今の記憶が植え付けられた物である事を知った男は本当の自分を探すため火星へと飛び立つのだった―。

こうして選んだスチールだけ眺めても、いかにグロくて残酷シーンが多いかがわかるというもの。それもそのはず、ポール・ヴァーホーヴェン氏は、あの影のダーク映画大国、オランダが生んだ監督さん。
大好きなテレビ映画の時間に、『ロボコップ』『トータルリコール』『氷の微笑』と総拒絶していたタイトルがすべてヴァーホーヴェン作品なのがおもしろい。
ちょっと大人になって『ショーガール』と『インビジブル』のころからは、なんじゃこりゃーと悪態つきながら観はじめたことから、子どもにはちょっとドギツくエロかったのだな。いまではすっかりウェルカムになりましたが。

なんもといえない安っぽさのある近未来、火星で出会うキッチュな奇形の人々や、血糊の惨状がいまでもすごい。シュワちゃん演じる主人公が好人物だし、記憶とアイデンティティを求め探す旅から、やがてレジスタンスたちと共に、火星の支配者と闘う壮大なサスペンスアクションへと展開していく脚本がおもしろかった。
『ブレードランナー』の世界観といい、模造記憶を売る<リコール社>の存在といい、原作者ディック氏が生んだプロットが、のちのSF作品に脈々と受け継がれてることを知ると、より映画を見るのが楽しくなります。

 (113min)
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by haru733 | 2014-08-21 15:22 | アメリカ映画 | Comments(0)

荒巻義雄の世界 ―都市型宇宙船ニュー・ユートピア・シティーにむかって

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 岩井俊二監督が脚本を手がけるドラマ『なぞの転校生』がはじまってからというもの、SFチックなものに惹かれて、週末、道立文学館で最終日となった特別展示をみてきました。

札幌で創作を続ける荒巻義雄さんは小樽生まれのSF作家。SF小説に疎いわたしはお名前さえ存じ上げず、著作の装丁も読んでみたい気持ちにはちょっとなれないのだけど。

180冊におよぶ著書の領域はSF評論のほか伝奇小説、美術評論、詩にまでわたります。本展では、その幅広い表現世界を一堂に紹介するとともに、未完の『ビッグ・ウォーズ』シリーズを完成に導く、「ニュー・ユートピア・シティー」構想をシミュレーション体験いただきます。 
(文学館HPより)

にわかSFファンにとっては、荒巻氏の読書遍歴と称して、ずらり並べられた愛読書の数々がたのしい。すてきな古書がたくさんあるなかに、ちょうどいま読んでいる『家畜人ヤプー』を発見。
ガラスケースに大切に保管されたお気に入りグッズのなかには、クラインの壺やベルリンの壁の石など、シュールに並んでいるのでした。
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by haru733 | 2014-03-27 23:20 | 鑑賞 | Comments(0)

人類存亡をかけた人型ロボットVS巨大怪獣の死闘 『パシフィック・リム』

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 ハリウッド大作への無感動がすすむ、今日この頃。すこぶる評判のよかった本編は、『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロ監督ということでちょっと期待したのだけれどな、、。
これはもう、メカ、ロボ、怪獣を敬愛するファンにとっては堪えられない映画で、かつて『トランスフォーマー』が誕生したとき以上の感動と興奮が味わえるのに違いないけれど、いかんせん思い入れないと萌えることもありません。
それにしても、日本の特撮やアニメーションが好きなデル・トロ監督がリスペクトを込めて作った世界観はやはりすごくて、日本人俳優陣が起用されたことは(菊地凛子、芦田愛菜),素直に誇らしかった。
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(あらすじ) ある日、太平洋の深海から突如巨大な生命体が出現した。“KAIJU”と名付けられた彼らは、容赦ない破壊を繰り返し、人類は滅亡の危機を迎える。そこで人類は世界中の英知を結集し、人型巨大兵器“イェーガー”を開発する。その操縦は2人のパイロットによって行われるが、イェーガーの能力を引き出すためには、パイロット同士の心を高い次元でシンクロさせる必要があった。当初は優勢を誇ったイェーガーだったが、出現するたびにパワーを増していくKAIJUたちの前に次第に苦戦を強いられていく―。
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どうみても怪人28号似のイェーガーに、菊地凛子とチャーリー・ハナムが乗り込む。互いの記憶をシンクロさせるところ、ふたりのウブな恋模様がくすぐったい。

 (2013年/131min)
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by haru733 | 2014-03-26 21:36 | アメリカ映画 | Comments(0)

ゼロ・グラビティ (2013年) 想像を超えた体感

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 映画の3D化を心許なく眺めているわたしでも、宇宙ものとなるとちょっとちがう。初めて体験した
『HUBBLE 3D ハッブル宇宙望遠鏡』は、気に入ってリピーターになったし、久しぶりのこの度もやはり宇宙ものなのでした。このジャンルばかりは3Dで観ないわけにはいかないかんじ。

地上600kmの上空。作業員たちはハッブル望遠鏡の修理にあたっていた。その時、ロシアが自国の人工衛星を爆破したことが原因で、大量の破片が軌道上に散乱し猛烈な勢いで彼らを襲う。今回が初めてのミッションとなるストーン博士(サンドラ・ブロック)は、ベテラン宇宙飛行士コワルスキー(ジョージ・クルーニー)と2人だけ生き残るのだが、漆黒の宇宙へと放り出された彼らを繋ぐのは、わずかにロープ一本。絶望的な状況の中、奇跡を信じて決死の帰還を試みるのだが―。
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そこは深海のように息ができず、極地よりも寒く、静寂が支配する。人はとても生きていかれない暗闇。これまでどんなSF映画にもないリアリティで、えも言われぬ恐怖感に突き落とされて、過呼吸になりそう。
スペースシャトルは大破。90分で軌道を周回して再び襲うはずの猛烈な破片の恐怖に怯えながら、唯一の希望、近くの人工衛星を目指して遊泳する。酸素はわずかしかない。こんなハラハラは久しぶり。生きた心地ゼロ。
完璧な静寂が支配する無音の演出に鳥肌が立ちます。宇宙はあまりにも美しくて、あまりにも厳しい。だからこそ、生命に溢れた地球の大地で生きることがずっと尊くなってきて、主人公といっしょに生きて還りたいと手に汗握り続ける。

ほぼ一人芝居をしているサンドラ・ブロックの熱演、ジョージ・クルーニーの飄々とした演技がすばらしかった。監督は『天国の口、終りの楽園。 』のアルフォンソ・キュアロン氏。『天国の口―』はやや苦手だったけれど、ハリー・ポッター第3弾、『アズカバンの囚人』 は、シリーズ内では一等面白かったとおもってます。

 (91min)
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by haru733 | 2013-12-18 00:00 | アメリカ映画 | Comments(2)

クラウド アトラス (2012年) メビウスの帯、クラインの壺

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 これはー興奮至極。だいすきなトム・ティクヴァ監督が、『マトリックス』のウォシャウスキー姉弟とともに撮りあげた一大叙事詩。
大航海時代から、2321年の文明の崩壊した未来まで、6つの時代、6つの国々に生きる人々の、時空を超えて繋がりあった数奇な運命を複雑に交錯させて描く。
1849年、2144年、2321年の物語をウォシャウスキー姉弟が、1936年、1973年、2012年の物語をティクヴァ監督が担当しています。
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彗星型の痣がある、それぞれの時代に生きる主人公たちの配役には、トム・ハンクス、ペ・ドゥナ、ジム・ブロードベント、ハル・ベリー、ベン・ウィショー、ジム・スタージェス。お気に入り監督の作品には、往々にしてお気に入り俳優が起用されてうれしい。
ハル・ベリーもベン・ウィショーもジム・スタージェスも、ほかのみなさんも、いままで観たことのない表情や、怪演・好演の連鎖がすばらしかった。人種や性別を越えて、多い人で6つもの役柄を演じ分けた役者陣の意気込みと変容ぶりが見もの。いつもは濃いぃトム・ハンクスも、6分の1の主演では絶妙な存在感だし、ネオ・ソウルのクローン人間を演じたペ・ドゥナは、もう言葉もいらないくらい良いです。
21世紀になっても映画は良い方に進化を遂げられる―そんな鳥肌の立つ幸せな映画との出会いは、映画ファンにとって年間とおしても数本あるかないかだとおもうけれど、本編はまさしくそんな数少ないなかの一本でした。
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雲のように、この地球全体を覆っているもの。連綿と続く因果と応報、良心と邪心、過ち、革命と反乱、救済となるもの―。かくじつに東洋思想に染められた、めくるめく世界観に見惚れる。
一度では理解できないほど複雑に絡まりあった編集はこなれていて、どのシーンもこだわりに満ちた充実の長編でした。
 (172min)
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by haru733 | 2013-11-04 15:42 | アメリカ映画 | Comments(4)

エリジウム (2013年) 極限まで二極化した世界の運命

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 処女作『第9地区』がとても面白かった、南アフリカ出身のニール・ブロンカンプ監督による最新作。
前作のヒットで資金面が豊になったのか、ハリウッドの有名スターを起用しているこちらは、贅を尽くしたCG効果と、戦争映画ばりの戦闘アクション、ドラマチックなドラマに、シニカルな視点。前作のあのカタルシスには到底及ばないけれど、荒廃したスラムや近未来の世界観はおなじでわくわくします。
なにより、楽しんで作っている感じが伝わってきていいのです。ツッコミどころ満載な脚本を、とことんド派手な映像で補う、その心意気がすきです。
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2154年。人口増加と環境破壊で荒廃が進む地球。一握りの富裕層は、400キロ上空に浮かぶスペース・コロニー“エリジウム”で、何不自由ない暮らしを送っていた。そんなエリジウムを頭上に臨みながら、地上で暮らすマックス(マット・デイモン)は、ロボットの組み立て工場で過酷な労働に従事していた。
ある時、マックスは工場で大量の放射線を浴び、余命5日と宣告されてしまう。生き延びるにはエリジウムで治療する以外ない彼は、レジスタンス組織のクーデターに加担する形で、決死のエリジウム潜入を図るのだが―。

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余命5日、弱った体を保護するため、肉体に強化骨格を埋め込んだマックスは、レジスタンスの命令で手に入れたエリジウムの最高機密データーを体内にコピーしたことで、生きてスペース・コロニーへと護送されていく。
待ち受けるエリジウムの防衛庁長官役にジョディ・フォスター。マックスの働いていたロボット工場の社長にウィリアム・フィクトナー。悪役がお似合いの二人が揃ってあっさり殺されるという...ありがちを打破した小粋な展開がおもしろい。さらにおもしろいのは、長官に雇われた殺し屋クルーガー(シャールト・コプリー)が、ここぞとばかりに、一人大暴走しはじめてから。
『第9地区』で主役を務めたコプリー氏のアクの強い存在感は、マット・デイモンを凌ぐほどの勢い。対するマットも、気がつけばヴィン・ディーゼルか!ブルース・ウィリスか!と見紛うほどマッチョのスキンヘッドになっていて、互いに改造された肉体で死闘を繰り広げる。

荒廃した地球から見た、空に浮かぶ理想郷・エリジウム。エリジウム側から見た青い地球―。スクリーンに映し出された二つの対比はたくさんを孕みながらも、視覚的に美しい。
どんな医療も受けられる富裕層と、病気を治すすべを持たない貧困層と、広がり続ける格差に思い切りの皮肉を込めた本作は、南アフリカ出身のニール・ブロンカンプ監督ならではです。
ちなみに、スラムの撮影場所はメキシコシティなのだそう。主人公の朋輩役にディエゴ・ルナも出演しています。

 (109min)
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by haru733 | 2013-10-10 23:45 | アメリカ映画 | Comments(0)

トワイライトゾーン/超次元の体験 (1983年) 嗚呼、昔日の海外ドラマ

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 子どものころ夢中になった『世にも不思議なアメージング・ストーリー』の前衛ドラマ、『ミステリー・ゾーン』『トワイライト・ゾーン』はどんなだったのだろう。先日創刊されたアシェット社「ミステリーゾーンDVDコレクション」のCMが魅惑的で、うっかり欲しくなる今日この頃。しかし創刊号以降全84巻は割とお高い...クワバラ、クワバラ。とりあえず大人しく復刻映画版の『トワイライトゾーン』を観ておこう。

監督陣は、のちに『世にも不思議なアメージング・ストーリー』を手がけることとなるスピルバーグをはじめ、ジョン・ランディス、ジョー・ダンテ、ジョージ・ミラー。何気に豪華な出演者にはダン・エイクロイド、ヴィク・モロー、ジョン・リスゴーなど。
オープニングに次いで、4話を収録。人種差別主義者の男が時空を越えて差別を体験する第1話(ジョン・ランディスfilm)。少年の日々に戻る老人たちを描いたファンタジックな第2話(スピルバーグfilm)。恐怖の超能力少年を漫画チックなSFで描いた第3話(ジョー・ダンテfilm)。
そして一等おもしろい第4話は、旧シリーズのエピソードをリメイクしたジョージ・ミラーfilm。翼に怪物の姿を見つけて大パニックを起こす飛行機恐怖症の男の話は、演じるジョン・リスゴーの怪演と、真新しい当時のCG進化がたのしい好編でした。
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いまでこそ、すっかり観なくなった海外ドラマも昔のは好きだった。
『シャーロック・ホームズの冒険』、『特攻野郎Aチーム』、『冒険野郎マクガイバー』、『ナイトライダー』、『大草原の小さな家』.....
とくに『シャーロック・ホームズの冒険』は心酔していたと言っていいほどよく観ました。(ただいまBSで再放送中)
石畳を走る馬車の音、猥雑な路地裏、阿片窟―丁寧に再現された20世紀初頭のロンドンに、重厚な事件の数々。
なによりホームズ役のジェレミー・ブレットと、露口茂さんの吹き替えが格別に渋くて忘れられないのでした。
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by haru733 | 2013-10-05 00:00 | アメリカ映画 | Comments(0)


映画,読書,山,古物をめぐる―日々のきろく


by haru733

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