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100,000年後の安全 (2009年)

100,000年後の安全 (2009年)_d0235336_1640335.jpg せんじつ泊原発3号機が停止して、42年ぶりに国内で稼働している原発がゼロになった。
3.11の震災あと北海道では、いっ時節電ムードになったものの、北電による安定した電気供給が続けられて、物理的な弊害は微塵もなかった。後ろめたい気持ちがあるばかり。
このたび、泊原発の停止で、はじめて電力不足を身近なものとして感じているいま、このドキュメンタリーを知っていてよかったなとおもう。
原発のこと、自分の意志をはっきりさせるためにも。

フィンランドのオルキルオトは、放射性廃棄物を地下深くに埋め立て処理する"オンカロ"がある島。花崗岩の岩盤に建設された処理施設は、廃棄物で満杯になる約100年後、入口を完全に閉ざして密封されるのだという。安全なレベルに達するまで10万年。それは人類がこれまで歩んできたのとほぼ同じ歳月。
10万年のスパンで未来をみたとき、人類がこのまま何事もなく文明を育てているとは到底おもえない。
100,000年後の安全 (2009年)_d0235336_16383057.jpg

第4次世界大戦の勃発、巨大な隕石の衝突、氷河期突入、正体不明のウィルス、天変地異・・・・・宇宙戦争だってなきにしもあらず。
そうして、再び原始時代がはじまって、新しい文明が誕生したとき、果たしてそのニュー人類は"オンカロ"をどう思うだろう―そう本作は疑問を投げかける。キケンな匂いはさらにヒトを惹きつけないか、宝でも埋蔵してあると勘違いはしないか、安全なんてどこにあるのだろう。

最低限のルールとして、親は子にいう。じぶんで始末できないことはするんじゃないよ。原発に置き換えてもおなじことがいえないと嘘だ。いろんな問題はあるけれど、それぜんぶ合わせても、汚染物質を背負った未来よりはずっとましだとおもった。


監督  ミカエル・マドセン
(79min/デンマーク=フィンランド=スウェーデン=イタリア合作)

by haru733 | 2012-05-13 16:36 | 多国合作映画 | Comments(4)
Commented by 荻々亭主人 at 2012-05-15 00:03 x
日本でも動燃が中心となって放射性廃棄物の地層処理の計画が進んでいたように記憶しています。20年ほど前に再利用しようのない高レベル放射性廃棄物(いわゆる「死の灰」)のガラス固化に成功したというニュースがあり、その状態で30年ほど冷やして、それから地下深く埋めてしまう、という計画だったような。だから、あと10年もすると、地層処理が始まるのではないかと思います。場所は六ヶ所村だったかな‥‥。

軍事利用であろうと平和利用であろうと、原子力利用の究極的な問題点は最後の最後にどうにも使いようのない高レベル放射性廃棄物が残り、その処分・管理には地球外に放出廃棄しない限りは、地球上で何万年もの歳月が必要になるところにあります。

かなり要約して言ってしまうと、原子力発電は電気とともに「死の灰」も生産しているとも言えるわけです。本当はその点も含めてエネルギー供給の有り方を国民的レベルで議論すべきだったのでしょう。「手遅れ」感は否めません。しかし、まだギリギリ間に合うかも、という感じもなきにしもあらず‥‥。ううむ。

(*^ー゜)vPEACE!!!
Commented by haru733 at 2012-05-15 21:04
>六ヶ所村

ほんとうだ。日本でも実際にはじまっていたんですね、、しらなかったです。 すでに搬入が進んでいるとは。
安全レベルまでの300年を段階的に管理するとwikiにあるけれど、フィンランドの10万年とはずいぶんな開きですねえ。300年て緩すぎる数値な気がします。
これ以上死の灰が増えなければ、ギリ間に合うのかな。子どものころは宇宙に飛ばせば・・・なんてノー天気に考えたものですが、失敗したらどうなるって話ですよね(笑) 一番おそろしいのは知らないってことなのに、まだ知らないことだらけです。
Commented by リラ at 2012-05-19 14:38 x
こんにちは。

300年と聞いた時に唖然としたのですが、10万年とは…。いや、仰るとおり、随分と開きがあります。
作る時に処分の方法をもっと事細かに考えなかったものでしょうか。今となっては遅いですが、あまりに便利なもの、便利なものへと人が向かっていってしまった結果なのでしょうね。
一体、未来はどうなって行くのでしょうか…
Commented by haru733 at 2012-05-21 11:12
こんにちは。

堂々と10万年を断言するフィンランドと、300年と言ってしまう日本、違いに呆然としてしまいますね。
泊原発ができるときの北海道の騒ぎは子ども心に良く覚えていますが、42年間ぶりの原発ゼロだなんて知らずとても驚きました。
長いこと頼ってきたのですねぇ。。

未来のことを考えて、no moreとなればいいのですけれど・・・
ほんとうに人類はどこへ向かっているのでしょう。


映画,読書,山,古物をめぐる―日々のきろく


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