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ニューヨーク、アイラブユー (2008年)

  子どものころ、アメリカは憧れの国だった。いつか移り住みたいとうそぶいていたニューヨークへの憧れも夢も、いつしか色褪せ破れてしまったけれど、活気に満ち満ちたこの街の魅力はいまも昔もちっとも変わらない。アイラブ、ニューヨーク!と声をあげて叫びたくなるような素敵な作品だ。
パリ、ジュテーム」のプロデューサーによる、都市をテーマにしたオムニバスの第2弾で、日本からは、敬愛する岩井俊二監督が参加している。ほかにはチアン・ウェン、ミーラー・ナーイル、イヴァン・アタル、ブレット・ラトナー、アレン・ヒューズ、シェカール・カプール、ナタリー・ポートマン、ファティ・アキン、ジョシュア・マーストン。半分知ってて半分知らない。

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『チャイナタウン』  チアン・ウェンfilm

前作が18編だったのにたいして、こちらは10編。尺が伸びた分ドラマが一気に膨らんだ。短編同士を繋ぐシーンを挟んで(ランディ・バルスマイヤー監督による)、まるで一本の群像劇を観たような充足感。お気に入りに順番をつけるのが無意味とおもえるほど、どれもみんなおもしろかった。

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『アッパー・ウェスト・サイド』  岩井俊二film

岩井作品にはオーランド・ブルームとクリスティナ・リッチ出演というからすごいのだ。風邪をこじらしているブルームに『Love Letter』の“藤井樹”を重ねつつ、背景にはジャパニメーションの代表格ジブリの「ゲド戦記」が流れているなか、まるで音楽を聴くように軽快に、ふたりの恋の始まりが描かれていく。まさに岩井監督の十八番という感じでたのしかった。

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『アッパー・イースト・サイド』  シェーカル・カプールfilm

若いころ逗留したホテルを訪れた元オペラ歌手と、足の不自由なホテルマンの青年との短い交情を描いた『アッパー・イースト・サイド』。淡くもミステリアスで古疵が疼くような好編。シャイア・ラブーフ(右)の居住いがいい。 

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『ブライトン・ビーチ』  ジョシュア・マーストンfilm

老夫婦の愛とユーモアあふれる会話劇は最終話として収録。ジョシュア・マーストン作品は初めて。ほのぼのした本作からは想像できない前作『そして、ひと粒のひかり』を、過酷そうだけれどぜひ見ておきたくなった。

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『チャイナタウン』  ファティ・アキンfilm

ムダがなくてカッコイイ、「ソウル・キッチン」のファティ・アキン監督作品、。孤独な画家が惚れ込んだのは、お茶屋の中国人店員の娘。絵のモデルになって欲しいと唐突なお願いをするのだが、すでに病に蝕まれていた画家は、彼女がアトリエを訪れた時には絶命している。あとに遺されたのは、彼女自身も気づいていなかった凛とした美の捉えられたスケッチだった―。仄かな希望が灯るラストがドラマチック。

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『セントラル・パーク』  ナタリー・ポートマンfilm

ここ数年でメキメキ素敵になったような気がするナタリー・ポートマンの監督デビュー作。賢くて美人で才女の彼女は、ミーラー・ナーイル監督の「ダイヤモンド街」でユダヤ人女性役も演じている。
公園をいかにも楽しげに散歩する無邪気な少女と黒人男性。夕刻、お金持ちの両親が少女を迎えにやってくる―。男は少女のシッター役で、本職はバレエダンサーだ。ニューヨークの象徴ともいえる共働きの裕福な家庭の娘は、好奇心旺盛なかわいい子。しかし彼女の感受性を育んでいるのは、紛れもなく黒人ダンサーの彼なのだった。
バレエをテーマに持ってくるところがポートマンらしいといえる。シッターを演じたのはダンサーのカルロス・アコスタ氏。



オムニバス映画はたくさんあれど、ここまで短編同士が相乗効果で一体となった作品はそう多くないとおもう。たとえば大好きなジム・ジャームッシュの「ナイト・オン・ザ・プラネット」や「コーヒー&シガレッツ」にあった満足感に似てる。なかなか得難いハッピーな後味。
by haru733 | 2012-09-14 00:00 | アメリカ映画 | Comments(0)


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