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桃(タオ)さんのしあわせ (2011年)

桃(タオ)さんのしあわせ (2011年)_d0235336_2104797.jpg

 中国の女流監督アン・ホイによる感動のドラマ。香港の映画プロデューサー、ロジャー・リーの実体験を基に、彼と彼の家族に仕えてきた老家政婦の桃(タオ)さんとの心の絆を描く。

さいきん殊に、豊かな食風景のある、ハートフルな暮らしを描いた作品が増えている。その都度、一食一食の食事を大切にいただいていこうと決めるのだけど、いつの間にかまた、なあなあになる。
“食べることは生きること”
桃さん(ディニー・イップ)が脳卒中で倒れて、ロジャー(アンディ・ラウ)の家を去ってはじめて、いかに彼女が大切な存在であったか、美味しい食事が感謝すべきものであったかをロジャーは知る。家庭で料理する習慣がない香港で、手料理が待っている幸せ―というのも本編を観るときのキーワードなのかもしれない。
彼は、桃さんの望みどおり老人ホームを探し、実の息子のように献身的に面倒をみるのだったが・・・・。
桃(タオ)さんのしあわせ (2011年)_d0235336_2105698.jpg

ロジャーの家は代々裕福で、桃さんは少女のころから親子3世代に渡って仕えてきた。いまはみんな海外で暮らしていて、家にはロジャーと桃さんだけ。
未婚の桃さんに、身寄りはおらず、身の回りの世話は独り身のロジャーが看ることになるのが自然のながれのようだった。
家族みたいに暮らしたひとを放っておかないのは、きっと主人公でなくたって、誰もがしたい選択で、それでも、すべての人がロジャー家族のように、ホームからお葬式まですべてをサポートしてあげることは現実的にむずかしい。余裕があるからこそできたんでもある。
香港は合理主義が徹底しているそうなので、日本人の感覚よりはその行為が美談に映るのかもしれないなと、ちょっとおもってしまった。

満員状態の老人ホームに入所して、桃さんの暮らしから、豊かさやおいしい料理は消えてしまう・・・・。それでも、ロジャーが会いにきてくれて、外へ連れ出しては、想い出ばなしや笑いの絶えない会話ができて、桃さんの晩年は幸せだ。
得難いのはロジャーの男気もそうだけれど、忙しい合間を縫ってでも会いに出かけるその優しさこそで、誰にもしてあげられることなのに、なかなかできないということなのだった。

高齢化社会のすすんだいま、ホーム内での悲喜交々な出来事には考えさせられてしまうかも。実話ゆえか、あざとさはなく淡々としたラストがいい。
ひさしぶりに主演作で見たアンディ・ラウは、壮年の年頃とは思えない若々しさで、人間味のある好人物がとても似合う。


 (119min/中国=香港)
by haru733 | 2012-12-22 00:00 | 中国映画 | Comments(2)
Commented by ヤスカイ at 2012-12-24 13:41 x
こんにちは。

アンディ・ラウは良い役者になりましたね・・・・
好きです。
アクションものももちろんですが、こういったドラマでも深みのある表情が「なんともオトコ・・」な感じで、同性が惹かれるタイプかと・・・

などと言っても、彼の作品をたくさん観ているわけではありませんけどね
『墨攻』、『三国志』は、そういったオトコくさいドラマを魅せてくれて、とても好い印象でした。映画の質とかは別ですが・・・。

あちらの俳優さんでは、トニー・レオンも好きです。有名どころでベタなひとばかりですけど、みんな「いいオトコ」でしょう?

ところでクリスマスですね☆
はるさんはいかがお過ごしでしょうか?
我が家は仕事の妻はじめ、子供たちもそれぞれおでかけ・・・ひとりで家で留守番です。
久々にクリスマスらしい『アドヴェント・カレンダー』を読もうかと書棚から引っ張り出してみたところです。以前ブログで取り上げたヨースタイン・ゴルデルの著作です。
二日で読みきれるかなぁ・・・・

Commented by haru733 at 2012-12-24 21:37
ヤスカイさん、こんばんは。

『墨攻』『三国志』ともに観ていず、アンディ・ラウ作品はひさしぶりでした。
ほんと、素敵に歳を重ねているかんじでした。私的にはトニー・レオン派ですが(笑) 
レオン氏のセクシーなオールバック姿が大好きなのだけど、『レッド・クリフ』では、若干ふっくらしたようでしたね。

>クリスマスイブ

らしからぬ一日です。
先日、家族が揃った日に、家人がローストビーフを作ってくれてご馳走食べたので、本日はイタリアンレストランで子どもたちと3人でランチしたくらい。今年から我が家にもサンタさんはいないので、直接ほしいものをプレゼントして・・・・なにもおもしろいことはありません(笑)
お正月のほうが楽しみです。

>ヨースタイン・ゴルデル『アドヴェント・カレンダー』 

これは覚えていますよー。今日一日でどれくらい進みましたか。
クリスマスらしいといえば、私は映画で『ブルークリスマス』観てました。
・・・・いまでこそあれですが・・・出演陣は豪華でびっくりです。
世界中を巻き込んだユダヤ人迫害のプロセスを、地球外生命体の驚異に置き換えて描いたお話で、脚本は倉本聰氏でした。


映画,読書,山,古物をめぐる―日々のきろく


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