『リリイ・シュシュのすべて』考 岩井俊二監督トーク

d0235336_6323232.jpg ひさしぶりに『リリイ・シュシュのすべて』を観ました。
敬愛する岩井俊二作品のなかで私的鬼門だった本作は、当時、監督に欠かせない暗黒面と知りながら好きになれず、それどころか苦手で、ツライのがわかっているだけに再見する勇気がおきずに10年。
このたび、シアターキノでのリバイバル上映と岩井監督のトークショーを機(ダシ)にして、やっと観ることができました。

2001年の作品なのに、ぜんぜん古くなっていない、ほかの作品も、それが岩井監督のすごいところを表すひとつとおもっています。ひさしぶりに観た『リリイ・シュシュ』はすごくすごくよかった、心臓が痛んでも確実に中学時代の本質、いじめの本質を切り取っていました。
おなじ中学時代を描いたライトサイドの『Love Letter』は、もう何遍も観ているほど大好きだけど、かたやダークサイドを描いた『リリイ』の存在は、遠ざけていても大きかった。再見を機に細部まで惚れ直したこれからは、ちゃんと人と語り合えるのでちょっと嬉しいな。

上映後の監督の話のなかで、シナリオとしてはいまひとつ弱かった『リリイ』が、いかにして一本の映画へと育ったかの解説があって、それがとても興味深かったので書いておきます。
日常が、突然一瞬にして変わってしまう青春時代の儚なく鋭利な側面。その変化を予感させる重要な場面となった主人公たちの沖縄旅行―、この“沖縄ロケ”を先行敢行してみたことが、映画化の確かなシナリオの手応えとなったんだそう。
“沖縄”という土地は岩井氏にもなんらかのインスピレーションを与えていたらしい。

当然ながら、俳優陣がみんな若いです。市原隼人君は初々しく、大沢たかお氏は濃いぃ。忘れられないのは、青猫の狂気と、目立った主演作はあまりない伊藤歩ちゃんの肝が据わった本物の演技でしょうか。
中学生って、十代って、大変な時期なんだね。いじめに関わっているならなおさら、生き抜いてくだけで苦しい。
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by haru733 | 2013-04-07 19:22 | 日本映画 | Comments(2)
Commented by あぶく at 2013-04-13 17:59 x
あまりに嬉しい記事を発見して、自分の処は放ったままで、お邪魔します(^^ゞ
公開当時『スワロウテイル』に惚れ込んだものの、この作品は私も近年になってやっと鑑賞しました。
感想も書かず終いなので“ちゃんと語り合える”訳ではない私がコメントさせて頂いて心苦しいですが…(;^_^A
見ていて息苦しい程の絶望や苦しみと共に、思わず深呼吸したくなる程の清涼な景色(特に空)が印象に残っています。

>ぜんぜん古くなっていない
>岩井監督のすごいところを表すひとつ

なるほど!と思います。時代や環境は移り変わっても人間の心底は変わらず、それを描いてくれる監督の作品であればなおさらでしょうか。
haruさんの記事を拝読して、感想を文字にしていなかった頃の『スワロウテイル』もちゃんと書いて置きたいと思えました。
それにしてもこれほど嬉しい企画をしてくれるシアターキノさん、素敵!
またそれを逃さないharuさんは映画ファンの鑑です♪
Commented by haru733 at 2013-04-15 10:11
あぶくさん

どれも好きな岩井作品のなかで、『リリイ』だけはずっと苦手意識があったのです。再見する気力が出ないまま10年。じぶんが大人になったせいでしょうか、ちゃんと受け入れることができましたし、好きだといえる作品になったことが嬉しいです。
あぶくさんのおっしゃるとおり、ファンになるきっかけをくれた『スワロウテイル』を今度は言葉にしてみたくなりますねー。原点回帰でしょうか、笑。

岩井監督のこのような企画は、ほかのミニシアターでも行われているみたいですよ。HPで時折見かけます。
シアターキノでは3作連続上映でしたが、ぜんぶ観るくらいのガッツはありませんでした、笑。
最終回だと、『四月物語』上映あと、監督とパーティー型ワークショップがあったのですよー。でも『リリイ』を選んだのでした。



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