ジェーン・エア (2011年) 運命に妬まれた、魂で結ばれた愛 

d0235336_21475779.jpg

 これまで幾度となく映像化されてきた、ヴィクトリア期の女流作家シャーロット・ブロンテによる長編『ジェーン・エア』。小説は未読のまま、関連作に触れるのもこれがはじめてです。
19世紀半ばには、自由恋愛、男女平等意識、反骨精神、女性からの告白、そのすべてが社会常識外だったのだそう。
ミア・ワシコウスカの清廉で凛とした姿が、物語の雰囲気にぴったり。コルセットに締め付けられた洋服や、きっちり編みこんだ長い髪、部屋の調度に至るまで、憧れる古き良きイギリスがここにはあります。密かに感じた彼女への物足りなさは、円熟したマイケル・ファスベンダーの男っぷりが良すぎるせいです。

由緒正しいロチェスター家の家庭教師となった孤児のジェーンは、気難しいロチェスター氏の前でも素直に振る舞う媚びない実直さ。その意思の強さで、やがて孤独なロチェスター氏の心を動かし、いつしか身分を越えて互いに愛しあうのでしたが・・・・結婚式の日、ロチェスターには既に気の狂った妻がいて幽閉されていることが明らかになり、ジェーンはそのまま屋敷を飛び出すのでした。
d0235336_11114731.jpg

曲がったことを嫌い、心に正直に、人を憎まず妬まず、敬虔であるジェーンの生き方は、おなじ女として時代を越えていいなとおもえるのでした。強くて自立した女と、破天荒だった貴族との真剣な愛のかたち。
ただし回想シーンがわかりにくいのは玉に瑕。

時同じくして観た、邦画の『金色夜叉』(清水宏監督)は、欧米に比べ遅れている明治時代の日本が舞台で対照的な作品でした。
結婚を間近にして、突如、富豪のところへ嫁いでいった元婚約者・お宮を憎むあまり、高利貸しになり守銭奴の道を歩む貫一、ふたりの長きにわたる愛憎を描いた、尾崎紅葉原作の映画化。

親のために裏切りの末の愛のない結婚をして、本音を黙し耐え忍ぶお宮に、自立した女性像はどこにもない。典型的なひと昔前の恋愛と、頑なにすぎるふたりの愛の結末が、『ジェーン』を前にしてとてももどかしかった。清水監督の語り口はなめらかだけれど、甘美とまではいかず。
原作を読んでみたいとおもわせるのは、俄然、『ジェーン・エア』のほうでした。

 
[PR]
by haru733 | 2013-04-19 00:00 | イギリス映画 | Comments(2)
Commented by あぶく at 2013-04-24 01:44 x
こんばんは。
中学時代に出会った小説『ジェーン・エア』は当時、『嵐が丘』よりも断然好きでした(爆笑)
恥ずかしいくらい昔の話で、すっかり忘れてました(汗)
予告で観たこの作品も気になっていて、でもキャスティングに違和感があり迷っているところでした。
今、拝読してすっかり観た気になれました。ありがとうございます♪

>円熟したマイケル・ファスベンダーの男っぷりが良すぎるせい

私まで想像できる気までして来ました…(;^_^A
haruさんの的確な指摘に重ね重ね感謝です。
Commented by haru733 at 2013-04-24 18:09
こんにちは、あぶくさん。
『ジェーン・エア』も『嵐が丘』も中学生で読んだのですか!長編なのにすごい、おとな。わたしは未だにどちらも未読です、笑。

>キャスティングに違和感

わかりますー。 ワシコウスカちゃんの評判良さに、ちょっとだけ首をかしげたり。。ふつうに似合っていましたがファスベンダー氏の男っぷりを前にしては小娘感たっぷりで、ロチェスターを揺るがす展開に密かに物足らなさをかんじてしまったのでした。
共感してもらえてうれしい!


映画,読書,山,古物をめぐる―日々のきろく


by haru733

S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

カテゴリ

全体
日常



旅行
おでかけ
雑貨
鑑賞
映画index
ポーランド映画
スペイン映画
フランス映画
イギリス映画
イタリア映画
ドイツ映画
トルコ映画
ブルガリア映画
アメリカ映画
日本映画
多国合作映画
韓国映画
中国映画
香港映画
ノルウェー映画
フィンランド映画
デンマーク映画
スウェーデン映画
ロシア・ソ連映画
オーストリア映画
カナダ映画
オランダ映画
ベルギー映画
キルギス映画
ギリシャ映画
スイス映画
アルバニア映画
セルビア映画
南アフリカ映画
インド映画
インドネシア映画
イラン映画
メキシコ映画
ウルグアイ映画
ニュージーランド映画
ポルトガル映画
アイルランド映画
ボスニア=ヘルツェゴビナ映画
ルーマニア映画
モノローグ
脱原発

記録

タグ

(172)
(109)
(82)
(69)
(68)
(59)
(56)
(54)
(46)
(28)
(28)
(26)
(23)
(23)
(22)
(22)
(16)
(16)
(14)
(13)

最新の記事

『記憶の絵』 森 茉莉
at 2015-03-16 22:05
悪魔憑き考 『汚れなき祈り』..
at 2015-03-07 13:16
U Want Me 2 Ki..
at 2015-03-07 09:55
わたしはロランス (2012..
at 2015-03-06 12:41
アメリカン・スナイパー (2..
at 2015-03-06 09:53
市民ケーン (1941年) ..
at 2015-02-23 09:49
ゆうばり国際ファンタスティッ..
at 2015-02-22 21:41
『麦ふみクーツェ』 いしいしんじ
at 2015-02-22 16:00
藻岩山 *冬
at 2015-02-19 18:00
ありがとう
at 2015-02-15 22:08

最新のコメント

はじめまして 映画に詳..
by ミキ at 18:11
このごろの暖かさ、いつか..
by haru733 at 21:04
昨日は穏やかな良い天気で..
by kanae at 17:04
あのシチュエーションで飛..
by haru733 at 21:24
おかえりなさいませ。 ..
by kanae at 19:51
あけましておめでとうござ..
by haru733 at 22:07
あけましておめでとうござ..
by kanae at 08:01
Merry X'mas☆..
by haru733 at 22:22
merry christ..
by kanae at 23:46
こんばんは。手放しにおも..
by haru733 at 21:35

ブログパーツ

以前の記事

2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
more...

フォロー中のブログ

はなももの別館
ジャックの談話室
salvage anti...
古本とビール アダノンキ
手製本工房 O塾  
Собака и Кошка
やぁやぁ。
OSOに恋をして

ライフログ


麦ふみクーツェ


掏摸(スリ) (河出文庫)


話を聞かない男、地図が読めない女


図書館の神様


爪と目