実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち) (2007年) 革命戦士たちがいた頃

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 1960年から約10年間に及ぶ学生運動とはいったいなんだったのだろう―。当時を知らない世代にはわかりにくい事件の本質を、雲が晴れるように教えてくれる。
いまを、無気力に暮らす若者たちがいて、かたやイスラム国で戦い死にたいと計画する学生がいて....
肉体に宿る情熱の熱量は、きっといつの時代も変わらないけれど、どこへ向かってなにを放出させるかは、その人次第。学生運動の盛んだった当時の外向きのエネルギーは、だからあまりにも激しくて驚いてしまう。世界全体が変動するうねりのなかで起こったこだと、わかってはじめて腑に落ちるような。
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ベトナム戦争にはじまり、パリの5月革命、中国の文化大革命、そして日米安保反対闘争へと繋がって、日本の学生たちは社会変革を目指し勢いづいた。
そのなかで、1971年に結成された”連合赤軍”は、新左翼党派の内部対立によって組織された”赤軍派”と、文化大革命に同調する組織から分離した”革命左派”が統合してできた集団だった。

理想とする社会にむかって、当然のように運動は激化していく。警戒を強める政府や警察からの弾圧は免れず、武装し逃亡を繰りかえし、追い詰められる立場の厳しさはやがて内部へと向かっていくのだった。
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エリート集団であるがゆえ、ストイックな厳しさが他人に向くとどうなるか、、極寒の山岳地方で、総括を求められる怖さは、いつ見ても震え上がりそう。
個々が立派な一革命戦士になるため、士気を乱す者、自己批判を貫徹できない者は容赦なく処刑されていく、リンチへと至る心理状況やエスカレートしていく暴力がほんとうに恐ろしい。

無名の役者さんを多く起用して、緊迫した状況下の、長回しに耐える演技を積み重ねた本編はすごい。当時の写真や映像を挿入しながら、原田芳雄さんによるナレーションに合わせて、学生たちのギリギリの焦燥ぶりを忠実に描き出す本編は、近年の『突入せよ!「あさま山荘」事件』や『光の雨』とは比較にならない良さを感じた。
ちなみに、リンチの犠牲となる女戦士を演じた、坂井真紀さんの熱演は圧巻。すさまじい女優根性を見た気がする。俳優としての活躍がすきな井浦新(ARATA)氏も、山荘でドン詰まるまでの姿がいい。
映画には、人間の裸体が必要な場面というのが絶対にあって、そこで男優・女優を脱がせることができる監督の貴重さを実感した作品でもあった。ピンク映画出身の若松孝二監督作は、どちらかといえば苦手だったけれど、骨のある本編に出会ってみると、いまさらながら過去の作品を手にとってみたくなった。

(190min)
by haru733 | 2014-10-13 12:25 | 日本映画 | Comments(0)


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