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この自由な世界で (2007年) ロンドン、不法移民を利用してのし上がるシングルマザーをシニカルに描く

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 ケン・ローチ監督ははじめて。さいきん手に取った本のコラムに、ダニー・ボイルが『トレインスポッティング』で英国労働者映画のプチブームを生んで、このジャンルの大御所ケン・ローチの人気を結果的に底上げした―というのがあった。
社会派の向きある作品を撮りつづけているローチ作品は、『麦の穂をゆらす風』が好きになれたら、ほかにもいろいろ観てみたいなとおもう。

(あらすじ) 職業紹介所を突然クビにされたシングルマザーのアンジーは、ルームメイトを誘って、自ら職業斡旋のビジネスに乗り出した。一人息子のジェイミーを両親に預け、朝から晩まで働きづめの彼女だったが、必死さゆえに次第にモラルを踏み外していく―――。
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アンジーという女性像はおなじ女として痛々しい。大切なものを見失って、野心に燃えて、空回りして傷ついて、それでもなお変われない。変わろうとしない。
ロンドンの不法移民問題や労働者問題を背景に、犯罪に片足を突っ込んだシングルマザーの、虚しい生き様を垣間見る。向けられた範囲はごく小さく、移民や低所得者しか登場しない。少ない製作費の小品であるのに目を逸らすことができなかった。暗い気持ちになりながらも、最後までアンジーの常軌を逸して行く姿を見届けてしまう。

いつか観たマイク・リー監督の『人生は、時々晴れ』も舞台はロンドンだった。荒んだ日常にある虚無や侘しさや貧しさゆえのダラしのなさは、とても嵌まりたくないものだった。
移民たちがこの国に逃れてきた理由とおなじように、低所得者階級に暮らす人々にも、なんらかの理由があるのだろうか。それは簡単には解決できない、なにか大きな社会の仕組みのせいなのだろうか。それとも嵌まらないにはまったく自己の問題なのだろうか。愛する人に必要とされ続けたい、切にそう思った。


 監督  ケン・ローチ
 脚本  ポール・ラヴァーティ
 撮影  ナイジェル・ウィロウビー
 音楽  ジョージ・フェントン
 出演  カーストン・ウェアリング  ジュリエット・エリス

 (96min/イギリス=イタリア=ドイツ=スペイン)
by haru733 | 2011-11-30 00:00 | 多国合作映画 | Comments(0)

BANFF MOUNTAIN FILM FESTIVAL 2011

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札幌会場、道新ホールにて。Aプログラムを観てきました。
アウトドアフリークの集う、一種独特な雰囲気でいっぱい。
ロン毛の男性多し、洋服からしてもう違うよね。いかにもな場で、多少浮きつつ、映画祭をたのしんできました。

感想はこちら(←クリック)。
映画ブログのほうにジャンプします。
by haru733 | 2011-11-13 22:02 | 鑑賞 | Comments(0)

BANFF 2011

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 ひさしぶりに、目覚ましいらずの朝。
8時半まで眠って、手抜きの朝食。
外出は近所の古本屋と図書館へ。
予約してあった本のなかから、ジャック・ロンドンの『火を熾す』を、さっそく読んでいます。

映画も観ました。『ハリーポッターと死の秘宝』前篇。すごくいいところで終わったもんです。
モヤモヤっとしたまま後編のDVDが出るの待ちます。

こんなゆったりな土曜ですが、明日は『バンフ・マウンテン・フィルム・フェスティバル』です。
パタゴニアが主催するアウトドアのドキュメンタリー・フィルムのお祭り。
全国を巡回していて、札幌のあとは福岡が最終上映地。
山登りが趣味の友人のご主人が教えてくれた「BANFF」。わたしは存在すら知らなかった。
時間的にAプログラムだけ観ることなるけれど、いつもと違った雰囲気で映画が楽しめそうで、
とても楽しみなのでした。
by haru733 | 2011-11-13 00:07 | 多国合作映画 | Comments(0)

ラビット・ホール (2010年)

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 「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」が大好きだった、ジョン・キャメロン・ミッチェルによる最新作。
ふだんは舞台と映画は別物という意識がつよいのだけれど、あのミッチェル氏が監督と知ってあっさり飛びついてしまった。

 (あらすじ) 閑静な住宅街に暮らす夫婦ベッカとハウイーは、8か月前に最愛の一人息子ダニーを交通事故で亡くしている。以来、夫婦は同じ喪失感を抱きながらも、悲しみとの向き合い方は対照的で、互いの溝は深まっていくばかり。そんなある日、彼女は息子を轢いた少年を偶然見かけ、思わず彼を尾行してしまうのだったが――。


神妙なテーマであるのに、けしてなくさないユーモア。監督曰く、「ユーモアは生活に必須なもので、生き抜くためのひとつのツール」――この言葉、すばらしいと思う。
「岩のように大きな悲しみも、いつかポケットの石ころに変わる」 ――かつておなじ喪失を経験したベッカの母の台詞には、たくさんが詰っている。

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これまで幾度となく描かれてきた、喪失をめぐる物語。ここにしかないものといえば。
さりげないユーモアであったり、ニコール・キッドマンをはじめとした出演陣の好演であったり、夫婦の深い愛の姿であったり。
それから、妻の実家家族や、加害者少年の呵責など、夫婦の周りの人々を、わずか90分の作品とは思えないほどしっかり描いているところもいい。
ジョン・キャメロン・ミッチェル氏の審美眼は、本編中のイラストに効果的なスパイスとなって表れて、稀有な良作を形成する。

愛し合いながらも、悲しみの癒し方の異なる夫婦は見ていて切ない、、、それでもふたりは想像を絶する深い悲しみから抜け出す糸口を探りあてた。コミュニケーションの莫大な力というものに心震える、いい作品だった。




  監督  ジョン・キャメロン・ミッチェル
  原作戯曲・脚本  デヴィッド・リンゼイ=アベアー
  出演  ニコール・キッドマン  アーロン・エッカート  ダイアン・ウィースト

   (RABBIT HOLE/92min)
by haru733 | 2011-11-09 23:23 | アメリカ映画 | Comments(0)

北海道立文学館

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 館つながりで、こちらにも。北海道立文学館
気になっていながら、はじめて足を向けた館です。

常設展示や館の雰囲気は、残念ながら、あまり好みではありませんでした。北海道の作家のなかに、敬愛する佐々木丸美さんが取上げられていず、、すこしさびしい。
文学館なら、小樽文学館が好きです。古いステキな建物で、幾度となく足を運んでいる館。
道立文学館はリピート率低いかも、、企画展で魅力的なものがあれば、別ですが。

ほんじつは、『林 静一展』が開催されていました。

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儚げな女性たちの美しさに見惚れますねー。
現代の竹久夢二と呼ばれるのになっとく。頬や耳のほんのりと赤い、正面よりも横顔が映える日本画の美人さんたち。日本画の画風で現代を捉えるという、むずかしいテーマにも挑んでらして、それがまたわびさびがあって物悲しく美しかった。
映像となっている『赤色エレジー』が気になる。


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秋の写真。たくさん歩いた今日は、護国神社などにも立ち寄りました。

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銀杏の黄があまりに美しく、空気は澄んで、なんてすばらしい休日。
by haru733 | 2011-11-06 17:23 | | Comments(0)

豊平館

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 博物館、美術館、図書館、資料館・・・・・と名のつく場所が好きです。
というわけで、札幌市中央区、中島公園内にある重要文化財豊平館に足を運びました。
"とよひら"とよばず"ほうへい"とよびます。

明治13年に建てられた洋風ホテル。明治天皇が北海道行幸の際、宿泊されたのだとか。
中島公園に移築されてからは、結婚式場としても利用されていています。

一階部分にある会食所は、ふだんはレストランとして営業していて、お昼をここでいただきました。
ずっしり佇む館の片隅、落ち着いた調度に囲まれ、しぜんと背筋の伸びる食事。
スモークサーモンとクリームチーズのパスタ。家人はビーフのカレー。
どちらも美味しゅうございました。

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ここは中島公園。ついでに、ゆっくりじっくり公園内を巡りましたよ。
日本庭園を巡り<八窓庵>を見学、コンサートホールKitara、そして紅葉。
園内はどこもかしこも、落ち葉の鮮やかな色彩でにぎわっていて、秋のいい匂いがしました。
by haru733 | 2011-11-06 17:12 | | Comments(0)

旭川

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 文化の日。
文化に触れるよりも
動物に触れるように
旭山動物園へ足を
のばす。
旭山動物園は、
ペンギン館ができたころから
幾度となく通い続けた
愛着おおい場所。
札幌に越して、いまでは年に
一、ニ度しか行けないけれど
その度に、楽しんで帰ることが
できる、大好きな動物園です。


ランチは、Zooよりほど近くにある「カフェ Good Life」にて。
池のある広い敷地は、きれいに整備されていて、カフェには自由に歩き回る看板犬がいる。新鮮な食材とハーブを豊富に使った料理がロハス気分で味わえる店。
焼きたてパンが美味しかった。
この3週間ほど、ずっとカゼをこじらしているわたしは、止まらない咳と痛む喉にパンが刺さって、ほとんどハンバーグとサラダしか食すことができなかったのだけれど。
食後のコーヒーがまたとても美味でした。

札幌へ帰る道すがら、いつもそうするように、かつて住んでいた町を車で通り過ぎてみる。
あの頃の記憶がよみがえり、じぶんの変化をたしかめる。過去を辿るのは、時に大切。
よりよく変わりたい、、。もっと努力をしないといけない神楽月。
 
by haru733 | 2011-11-05 10:22 | おでかけ | Comments(0)

『森の生活 ウォールデン』 ソロー

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 むかし、バイブルのように敬愛していた映画に『いまを生きる』がある。
本編中にでてくる一編の詩が好きで、諳んじたものだった。

わたしが森に往ったわけは、わたしが慎重に生きようと欲し、人生の根本的な事実にのみ対面し、それが教えようと持っているものをわたしがまなぶことができないものかどうかを知ろうと欲し、わたしがいよいよ死ぬときに、自分は生きなかったということを発見することがないように欲したからである。 (本文より)

映画の台詞として、もっとスマートに訳されていたけれど、たしかにこの一文。なつかしい。
あれから20年、まさか「森の生活」のソローの言葉だったなんて忘れてたから・・・遅すぎる喜びの再会だった。


2年2カ月のあいだ、20代の終わりを森で暮らしたソロー。その思索のあちこちに、インド哲学が持ち出されていることがうれしかった。ウパニシャッドやヴェーダなら、親しみを感じて思考に入っていけそう。
わたしはソローのように森に長くは往けないけれど、インドへは運ばれた。衝動の出所は、たぶんきっと近しい。わたしは自然に沿って生きていきたい。人生の真髄に迫りたいし、死ぬときに<ちゃんと生きた>と思いたい。それはこの20年変わらない。

大好きな映画 『イントゥ・ザ・ワイルド』の主人公クリストファー・マッカンドレスも、ソローのような暮らしを求めて荒野へと分け入ったんだなぁ。
読後に映画を再見してみたら、主人公の心裡にもっと近づけたような気がして、改めて感動に打たれてしまった。


1854年に出版されてから、ちっとも古くなっていない、それどころか現代に生きる我々の一部が、とても必要としている読み物だとおもう。禁欲的な森での生活が、あくせく働くこと、必要以上に食べること、自然を破壊することに、疑問と警鐘を呈する。
いいタイミングで日々のわたしに反省を促してくれた。
by haru733 | 2011-11-04 21:22 | | Comments(0)

揮発性の女 (2004年)

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女性の愛とエロスをテーマに6人の監督が競作したシリーズ『ラブコレクション』のなかの一作。

 小さなガソリンスタンドを経営する未亡人・悦子の店に、ある日強盗が入る。わずかな被害で通報を諦めた矢先、さっきの強盗が舞い戻ってきて、部屋に上がり込み居座ってしまうのだが――。

ひとり侘びしく生きていた悦子の日常は、情けない強盗犯・理一によって、確実に変わっていく。
はじめは手足を縛られ軟禁状態におかれるけれど、日常に張り合いを得てしまった悦子は、隙をついて形勢逆転したあとから、けして彼を離さない。

ひとに料理を作る喜び、ひとりじゃない食卓、眠っていた夫の洋服を着てくれる男の存在・・・・
日を追うごとに艶っぽくなっていく悦子が、中年女特有のエロスを醸しだしていて圧倒されてしまう。
邦画らしい情念の物語はたしかな手応え。観てすぐ忘れてしまう小品とは、ひと味もふた味も違っている。

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ふたりの生活は、当然長くは続かない。ガソリンスタンドに押し入る前、銀行強盗未遂事件をおこして逃げている理一は、長閑な日々を享受し続けるわけにもいかず、加えて、悦子の過剰な献身が怖くもあり、抜け出さずにはいられなくなるのだ、、。
そんな理一だからこそ、悦子の即座な英断が逞しくて好きだ。長年、みずからを束縛してきたガソリンスタンドを捨てて、新たな人生へ歩み出そうと、きっぱり覚悟できる女の強さが映える。
剣呑な毎日が破られるとき、そこには期待した以上のカタルシスが待っている。

見逃していた熊切和嘉監督の『海炭市叙景』が、とてもたのしみになった。




   †          †          †


  監督  熊切和嘉
  脚本  熊切和嘉  宇治田隆史
  出演  石井苗子  澤田俊輔  星子麻衣
by haru733 | 2011-11-02 23:59 | 日本映画 | Comments(4)


映画,読書,山,古物をめぐる―日々のきろく


by haru733

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