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沖縄 *館

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 6年前、実際に沖縄へ行って、ひめゆりの塔にのこる第二外科壕を覗いた恐ろしさをずっと忘れらず、ふたたびひめゆりの塔へ足をむけたけれど、やはりいまもすごく恐ろしいです。ただ覗き込むだけで。
平和ボケしていても、想像力でここであったことを生々しく感じられる、ひめゆりたちの祈りの地。ゆいいつ本土決戦のあった沖縄で、戦争の悲惨な事実を知ることは特別な意味があるとおもいます。
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旅に出るまえ、一本の映画を観ました。『激動の昭和史 沖縄決戦』(1971)。岡本喜八監督、新藤兼人脚本。史実に基づいた恐ろしい映画でした。
旧海軍司令部壕は、映画で見た陸軍の壕に比べると、漆喰やコンクリートで固められた広い通路が立派におもえるけれど、実際ここには4000人の兵士がいて、立って寝ていたとおもうと信じられません。
し尿や膿の悪臭、狭い医務室、追い詰められて玉砕した壁の痕.....残されているものから想像する壮絶さは、映画の記憶と相まってたまりませんでした。
戦争を知らない子どもたちは、ひどく恐ろしいこの場所をどう見るのだろう。みせてあげたい。


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*館のくくりで、那覇の桜坂劇場。ここはブログを通じて知り合った方が、いつも通ってらっしゃる映画館なのでずっと気になっていた映画館。
複合的な施設らしく、わたしが行った日は休映していて、なにかお祭りのようなものが開かれていました。
ホールにはいいかんじの古書スペース、焼き物など味のある雑貨、CDやパンフレットなど、気になるものがたんまり。
いろいろ迷いましたが、とりあえず記念にと、伊江島のベーグルと、カミュの『最初の人間』文庫本を購入。(ベーグルは帰りの飛行機でいただきました)
なにか観よう、と期待していたので残念ではあったけれど、こうして遠くの単館系映画館へ足をむけるのは、すごくわくわくします。
旅に出ると、地元の良さが見えてくるもので、自宅や行きつけのミニシアターが、なんだか愛おしく懐かしくなって帰宅しました。
by haru733 | 2013-02-26 22:45 | | Comments(2)

沖縄 *食

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 *食、と題して沖縄でいただいた料理も残しておこう。
一日目の夜、行き当たりばったりで入った食堂の、最初の沖縄そば。
このあと、セットで注文しては、3回くらい沖縄そばをいただくことになりましたが、わたしはこの味がすきです。

国頭村(くにがみそん)の道の駅でいただいたのはイノブタのお料理。このあたりの名物です。
イノブタ入りのそばは、野菜てんこ盛りでボリューミー、平らげるのに苦労しました。
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ゆいいつ、事前に予約していったのは、名護市の焼肉店『満味』さん。店内には有名人のサインがいっぱい。お客もいっぱい。地物のお肉と野菜がとっても美味しかった。
沖縄の料理は海藻が豊富に使われていて、味付けは薄めで、いかにも健康に良さそう。どれも口に合うのでした。
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ただ、海の幸だけはビミョウ。はじめて食べるお魚はドキドキします。(ちなみに上は海ぶどうのちらし)
写真はないけれど、一番の衝撃は、海鮮ちらしが盛られた大きな鮨桶の四分の三が、キャベツの千切りと生野菜だったことでしょうか....(ドレッシングもついてきた)
北海道の海の幸がいかに魅力か、離れると気づくのですねえ。なんだか無性に食べたくなって、帰宅後、近所の回転寿司屋へ行きましたよ。
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とりあえずタコライスもいただいておいた。こちらは国際通りのお店。観光客の一度は食べておきたい沖縄名物が全部揃っています。

ディナーショーの会食という日もあり、朝食はバイキング。写真にのこした料理はこのくらいかな。
ぜんたいを思い返すと、野菜や海藻類が豊富で薄味、長寿の秘訣をみたようなおいしい旅のご飯でした。
by haru733 | 2013-02-26 17:54 | 旅行 | Comments(0)

沖縄 

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 氷点下のつづく札幌から、沖縄へ旅に出ました。ひさしぶりの沖縄です。
お決まりの観光コース、きっと行っておきたかった戦跡、ひとりで歩いた一日。時間軸バラバラ、記憶曖昧の旅のきろくです。

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斎場御嶽 せーふぁうたき

琉球王国の聖地と言われる観光地。スピリチュアルな場所らしく、若い女の子たちがたくさんいました。
眺めているあいだに、冬とはおもえない時刻、やっと日が暮れてきました。あたりが心地良い。
鶯が鳴いて、半月がぽっかりと見える18時。
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沖縄の岩石は柔らかく、だからキレイに浸食した景色がいたるところにあります。いつか見た鍾乳洞も美しかった、熱帯性カルスト地形というそうです。


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古宇利島はもうほんとうに言葉もないくらい青い海が両サイドにキレイなのだけれど、大橋の手前に生えていた、北国目線では珍しいふしぎな潅木に惹かれました。
ここには写っていないけれど、カラスが群れていて素敵に不気味だった場所。
ブルーシールのアイスクリームを食べながら、貝など拾って、渚あそび。
穏やかな水面に、名前の知らない魚の稚魚が泳いでいました。北国の春のような陽気です。
 

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沖縄最北端、辺戸岬へ北上する途中、立ち寄った道の駅にて。会えたら幸せヤンバルクイナ・グッズを、ここでいろいろ買いました。やんばるくいなトートバッグ、やんばるくいなキッチンタオル、ヤンバルクイナ置物、やんばるくいなステッカー。
この時点では、会えるのでは...と淡い期待を抱いていたのでしたが、このあと、稀少動物ゆえ県民さえめったに見ることができないと知ることになります。 
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露天のお店では新鮮な野菜がいっぱい。価格もかなりお手頃。
遠くから目を引いた大根は、写真ではわかりにくいけれどオレンジ色。赤土大根というそうです。
別の日に購ったタンカンは、見た目はぶちゃいくだけれど中身はとても美味しくて、たくさん土産に持って帰りました。
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ヤンバルクイナ、イノブタ、ヤシガニ、カメ、農耕車....飛び出し注意標識がいちいちおもしろい。

 
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さすがに観光客のまばらとなった、沖縄最北の地、辺戸岬。対岸の山肌には巨大なヤンバルクイナ(のハリボテ)が生息しています。
近づいてみると驚きの大きさ。展望台になっていますが、どうやら崩壊しているようで立ち入り禁止...下から眺めておしまい。
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希少すぎて、対面は剥製ということになりました。
ここは保護施設ですが、車でも迷うほど目立たない場所に、パークゴルフ場と併存。無言の管理人さんがひとりだけ常駐のようす。
帰り際、販売しているヤンバルクイナの保護ステッカーがとても気になったけれど、なにぶん無関心な管理人さんに尋ねることをせず、施設をあとにしました。

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有名な観光名所、万座毛にいたのはイソヒヨドリ。
さすがに冬なので昆虫や蝶はいないけれど、カラフルな鳥はあちこちにいます。


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浅瀬の広がる海中道路を渡って、平安座島、宮城島、浜比嘉島、伊計島まで足をのばしてみた日。
ちょっとのつもりが見るものぜんぶおもしろくて、ひとりで何時間もの長居。
最初、遠くから、大きな鳥かとおもったのは、人間よりも大きなカイトでした。なんというのだろう。


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まったくガジュマルってやつは...なんていいたくなるくらい無数の巨木が生える琉球神話の杜。
戦後の復興でも、石に絡みつくガジュマルは厄介で、伐採を免れたのだそうです。よかった。
雨のパラついてきたなか、ゆっくり、ソテツと奇岩に溢れた山道を歩きました。
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生まれ変わりの石は3度くぐると生まれ変われるというので、ぐるりと3周。くぐるまえに撮ったこの写真には、真ん中に明かりみたいのが写っています。そんなものはなかったのに....ちょっと怖い。

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遅い日の出。ホテルからの朝焼け。
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もう桜が咲いていました。桜といえば、念願だった桜坂劇場へ足を運ぶことができたのでした。
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この日は、劇場をイベントで使っていたらしく上映はなし。映画を観ることはできなかったけれど、芸術や文化の集う独特な雰囲気があってステキな場所でした。劇場については後日あらためて書けたらとおもっています。

そして、歩行者天国となった国際通りからすこし外れた公設市場へ。
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みんな死んで食べられるのに、しあわせそうに見えてしまうからおかしい。


ふたたびコートを着て、寒い北国へと帰ってきました。南の風を満喫したたのしい旅でした。
まったりしていて、異国のようでトロピカルな沖縄は、だけど米軍と戦争を抜きでは語れない土地であることをあらためて痛感しました。オスプレイも飛んでいました。みてきた戦跡への感想はあらためて別の日に。
by haru733 | 2013-02-25 23:19 | 旅行 | Comments(0)

SHAME -シェイム- (2011年) 愛なら、毎晩ティッシュにくるんで捨てている

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  ニューヨーク、高級マンションに暮らす独身男性のブランドンには、誰にも言えない秘密があった。平穏な生活を送る陰で、極度のセックス依存症だったのだ。そんな彼の元に、恋人にフラれた妹のシシーが転がり込んできて、これまで踏みとどまっていた彼の日常は徐々にバランスを崩しはじめていく―。

これはおもしろい。R18指定、SHAME=恥という赤裸々なタイトルで、セックス依存症の主人公の孤独な闇に切り込んでいく異色作。
兄妹になにがあったのかは、最後までわからない。ただ幼い頃、酷な環境のなかで育ったらしいふたりは、大人になってもどこか欠けていて、歪で、ブランドンのセックス依存症も、シシーの疲れきった暮らしぶりも、過去が暗い影を落としていることだけはたしか。
愛情に恵まれなかった子供は性に目覚めるのが早く、じぶんのセックスを大切にできない。早く結婚してしまう場合もおおくあるけれど、ブランドンは愛や家庭というものを、はなから信じても求めてもいない。普段は真面目な好人物で、会社での信頼も篤いが、昼夜を問わず欲求を抑えきれなくなると、自慰や合法的な手段で処理する毎日だ。
そんな彼の日常を脅かすのが、おなじ過去をもった妹のシシーだった―。
異常なほど潔癖に保たれたブランドンの高級マンションも、若いはずなのにだらしなくくたびれたシシーの頽廃も、寒々とした孤独に満ちていて、セックスを切り口にした奥深い兄妹のドラマがそこにはあった。
貪れば貪るほど虚しい切なさだけが残る....なかなか得られることのない、類稀な後味。

主演のマイケル・ファスベンダーは、泰然とした冒頭からぐんぐん均衡を崩していく見事な変貌ぶりがとてもいい。先日、観たいリストに追加された『フィッシュタンク~ミア、15歳の物語』にもぐうぜん出演しているので、楽しみになった。シシー役のキャリー・マリガンも、気になる作品に多々出演するステキな女優さん。
ちなみに、監督はスティーヴ・マックィーン、と聞いてやや驚く。そう、名優マックィーンはすでに天国、このスティーヴ・マックィーン氏はイギリスの新鋭なのだった。 (100min)
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by haru733 | 2013-02-17 22:39 | イギリス映画 | Comments(2)

塔の上のラプンツェル (2010年) お姫様物語ここに極めり

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 ディズニー長編アニメーションの記念すべき50作目は、髪長姫の名で知られるグリム童話の“ラプンツェル”。
魔法の長い髪を持ち、18年間一度も外へ出たことのない少女ラプンツェルが、お尋ね者の大泥棒フリンと共に、未知なる外の世界へと飛び出していく冒険ファンタジー。

ウォルトディズニーのアニメーションを観なくなったのはいつからだろう。劇場へ足を運んだのは『ノートルダムの鐘』がさいごだから、ずいぶん時が経ってしまった。珠玉の『白雪姫』から、脈々とつづく歴代の作品たちも、『アラジン』以降、CGの普及やクオリティの低下で、あまり楽しめなくなって久しい。
けれど、本編の評判だけはなぜか見過ごせなかった。お姫様物語初の3D....だからではなく、純粋に面白い―という感想をたくさん目に耳にしたから。

いや、これは、ほんとうに楽しくて切ない。CGのリアルさに驚き、絶妙なユーモアに笑い、スリリングかつ感動的な、ある意味、お姫様物語もうひとつの到達点といっても過言ではないファンタジー。
CGの醍醐味を目一杯駆使した細部の美しさに魅了されつつ、舞台劇を観ているかのような振り付けは、良い意味でアニメーションであることを忘れさせてくれる。ミュージカルを観ている感覚。

18年もの間、外の世界を知らない悲劇。毎年、誕生日になると空を飛ぶ“灯り”の秘密。髪の魔力を独り占めするため、幼いラプンツェルを拐って高い塔のてっぺんに閉じ込めた継母との、母娘として育ってしまったがゆえの葛藤.....子供騙しではない深い物語性も魅力。
王子様ならぬお尋ね者のフリン、擬人化された白馬マキシマス、恐ろしい継母のゴーテルなど、キャラクターそれぞれがみんないい味を出していた。

しかし、本編で一等輝いていたのは、何を隠そう日本語吹き替え版でラプンツェルを演じていたしょこたん、こと中川翔子ちゃんではないだろうか。さすがに歌パートは小此木麻里さんによる吹き替えだったそうけれど、アニメオタクなしょこたんは、観客が求めているものを隈なく察知して、望んでいるとおりの声音で、さいごまで泣き笑い驚き楽しませてくれた。

 (監督 ネイサン・グレノ、バイロン・ハワード /101分)
by haru733 | 2013-02-16 18:31 | アメリカ映画 | Comments(0)

孤島の王 (2010年) 人は誰でも王になれる

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 1900年から1970年までノルウェーの孤島“バストイ”に実在した少年矯正施設を舞台に、矯正という名の非人道的な虐待の実態と、極限の状況下で繰り広げられる少年たちの心の葛藤、そして脱走計画の顛末を、力強い映像でサスペンスフルに描く―。 (allcinema)

極寒の孤島、1915年に実際に起こったという命懸けの反乱と脱走は、観客をも凍えさせて、ドキドキと息をつかせなかった。
“バストイ”に新たに送られてきた札付きの悪エーリングは、その日からC-19と呼ばれる。室長としてエーリングをサポートするのは、出所目前の優等生オーラヴ/C-1だ。ふたりの間には徐々に友情とよべるものが芽生えていくのだが....。

エーリングは島に来てすぐ当たり前に脱出を考えている。暴力と罰を恐れてすっかり飼い慣らされた施設の面々とは、一線を画す強靭さ。とばっちりを恐れるオーラヴは、自分が出所するまで決行を待つよう頼むのだが.....かくも男の友情はあっさり裏切ってしまえるドライさが魅力なわけで、エーリングもまたさっさと脱走を成功させて孤島に大波乱を巻き起こすのだった。
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物語は、逃げたエーリングが捕えられ、再び島に戻されてから際立つ。少年たちは彼のガッツに触発される形で、体制に反発しはじめ、最悪の結果へとひた走っていく。
理不尽な暴力にも過度な罰則にも立ち向かう、エーリングという反骨分子が投入された孤島の集団は、数では優に勝る勢いで、院長以下非人道的な寮長らをじわじわと追い詰めていくのだった。

おもしろいのは、はじめから無骨で問題児のエーリングが、生来誠実な男であると分かりはじめることと、同時に、優等生オーラヴが、恵まれない家庭環境で育った底知れない闇と、良心に裏打ちされた怒りを発露する件かもしれない。
オーラヴがどうしても許せなかったのは、寮長ブローテンによる新入りC5への性的虐待の事実だった。エーリングとの出会いで、無事島を出て行くことしか考えられなくなっていた自分の卑怯さに気づくオーラヴだったが、意を決しての告発は、院長に脅され握りつぶされてしまう....ここから彼の理性は一気に揺らぎ、鬼気迫る報復の化身となっていく。

“バストイ”にいる彼らはもちろん理由あってここにいる、この反乱はたしかに行き過ぎなのかもしれない。
それでも、投入された軍隊の追っ手を振り切って、ゆいいつ島から逃れたエーリングとオーラヴが迎える悲劇的な結末だけは、苦しくて助けてあげたくて仕方がなかった。
これが南国の出来事ならまたちがう。逃げる=死と直結した大地、ノルウェーの孤島という極地で起こっていることに意味がある。
たとえばアキ・カウリスマキ作品はだいすきだけれど、主人公たちの、なにも持たない着の身着のままの人生が素晴らしくおもえるのは、やはり極寒の地にあってこそ。うららかな南国で身一つなのとは大いにちがう。北国の映画が好きなワケはそんなところにもある。

身も凍る寒さと凛とした美しさのなかで繰り広げられる暴動の顛末は、たしかなカタルシス。エンディングには当時の“バストイ”を撮影したモノクロフィルムがながれる。事実は重たい。

(監督 マリウス・ホルスト /117min /ノルウェー=フランス=スウェーデン=ポーランド合作)
by haru733 | 2013-02-12 00:00 | ノルウェー映画 | Comments(0)

トト・ザ・ヒーロー (1991年) トマ老人の愛おしくも滑稽な一生

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 ベルギーの寡作の監督、ジャコ・ヴァン・ドルマル氏による出色のファンタジー。
ストーリーはややこしい。赤ん坊のころ、病院でお隣の息子アルフレッドととり違えられたと信じるトマが、間違った人生を送ることになったのは彼のせいだと思い込み、養老院を抜け出して復讐を企てるところから物語ははじまる。
トマ最後の行動と並行するように、少年期の思い出や、生涯愛し続けた姉の記憶が交錯して描かれていく一風変わった復讐劇。
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現実と回想と空想が入り混じりながら、一度きりの人生をフイにしてしまうような、運命の恋を縦軸に。それは近親相姦的であってもちっともかまわない、大好きなキェシロフスキの『ふたりのベロニカ』を思い出すような。
飛行士だった陽気なパパが死に、最愛のアリスも目の前で事故で亡くなり.....失意のトマはますます思い込みの激しい内向的な大人に育っていった。生涯アリスの面影を追いながら、ほんとうは自分はお隣の子供だと信じて、いつまでも幼馴染のアルフレッドを憎んできた。
そんな二人は人生の節々で再会を繰り返す。青年期のトマが愛するのは、アリスの面影を見た人妻で、彼女の夫はアルフレッドで.....なんとも宿命的な再会を。

ファンタジック、ノスタルジック、絡まり合うディテール、見事なデッドエンド。とにかく回想シーンが珠玉。
陽気なパパがアリスのラッパに合わせて歌うシャンソンの『ブン』はしばらく忘れられそうにない。
またひとつ、お気に入りの作品が増えた。

     


(92min/ベルギー=フランス=ドイツ合作)
by haru733 | 2013-02-11 21:55 | ベルギー映画 | Comments(0)

ちまちま人形のせかい トークショー

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 チラシをチラつかせながら「行きたいのう...」とおもっていた高山美香さんのちまちま人形のせかい展。
ひしさぶりに家族がそろう貴重な祝日、ここは単独行動を慎むがよかろうと諦めていたのでしたが、
外食終えた昼下がり、ちまちま行こう!と家人を誘い、ふたりで足を運ぶことになりました。
50名先着の予約制、キャンセルが出たところに滑り込みセーフで。

イラストレーターの高山さんは、繊細な粘土細工から想像していたのとはちょっとちがう、豪快に笑うたのしい方でした。抜群のユーモアセンスで、制作秘話や子どもの頃のはなし、デビューに至るまでの歴史、苦難の時代など、たくさん語ってくださいました。
モチーフとなる人物像一体を完成させるのに、何十冊もの文献に目を通し、一月がかりの没頭期間を経ているのだとか。すごい仕事です。
遊び心たっぷりの人形と解説文には、たくさんのファンがいることを会場へいってみて改めてかんじました。
やはりちまちま人形は愛されていた!

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終了後、あらためて人形たちのところへ行き、しばし人ごみのなかを眺めました。
きょうのお気に入りは太宰治と中原中也。ふたりは俯きがちで、下から覗き込まないと表情を見ることができません。中原中也の前傾姿勢がぜつみょう。

d0235336_17435182.jpgちなみに太宰さんの下駄の歯には、遊び心で小石が詰まっているのだそうです。

文豪消しゴムはんこカードは来場者へのプレゼント。
6種類のなかから、啄木(わたし)と与謝野晶子(家人)を選びました。そっくり。
栞にしてもいいかもしれません。

「知っているというのは好むのには及ばない。好むというのは楽しむのには及ばない」
先日の論語で好きだった一文。
それがなんであれ、好きなことに夢中で没頭してみたくなった一日でした。
by haru733 | 2013-02-11 21:05 | 鑑賞 | Comments(2)

銀河鉄道の夜 宮澤賢治の世界展

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 幌内鉄道130年企画展 『銀河鉄道の夜 宮澤賢治の世界展』  

 小樽文学館フリークのおねえさんに「おもしろいのやってるよ」とおしえてもらい、いざ。館裏にある鉄道跡地がメインらしく、雪像で飾られた外がいつもより賑やか。
没後80年目を迎える宮澤賢治の世界を、「銀河鉄道の夜」を中心に紹介したこじんまりの企画展。
童話をイメージした星座の写真や、ジョバンニ母子の倹しい食事模型など、ささやかに。
隅に置かれた星座儀がいちばんステキだったかも。すごくほしい。

3月には、札幌のエスタ・プラニスホールでも宮澤賢治の企画展が予定されていて、『雨ニモマケズ』の直筆手帳などくるそうなので、そちらもたのしみです。

ほどよく寂びたお気に入りの館内をウロウロしていると、いつものちまちま人形が少ないことに気づきます。
人形たちは北海道立図書館へ出張ちゅうなのでした。(せんじつぐうぜん観た)
きょうは、製作者たかやまみかさんによるトークショーが行われているはず。たのしそう。

小樽はお祭りの最中、観光客がいっぱいです。快晴の札幌とはうってかわって、わんさと雪降り。
滞在時間2時間で、そうそう帰路につきました。
 
by haru733 | 2013-02-10 09:30 | 鑑賞 | Comments(0)

レ・ミゼラブル (2012年) 威風堂々

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 文豪ヴィクトル・ユーゴーの大河小説『レ・ミゼラブル』の傑作ミュージカルを、『英国王のスピーチ』のトム・フーパー監督が映画化した超大作。
劇場であじわうため久しぶりにシネコンへ足を伸ばしました。内容は他所様におまかせして割愛。

ナポレオン1世没落直後の1815年から、復古王政時代、七月王政時代の最中の1833年まで18年間.... (wikipediaより) を描いている。
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冒頭から一気に19世紀のフランスへタイムスリップできるのは、へんな話、時代特有の穢さがしっかり描かれてあるから。安心して身を委ねられる長丁場の2時間40分。
フランス激動の時代を舞台に、波乱に満ちたバルジャンの生涯と、若者たちの命懸けの蜂起、市井の人々の必死に生きる姿が、見事な歌声と迫力ある映像で描かれていく。
胸の抉られる物語に希望を添えるのは、バルジャンの娘コゼットと、純真な共和派の青年マリウスとの純愛。アマンダ・セイフライドの天使のような歌声は、『マンマ・ミーア』同様、心を洗わせるものがあります。
ゆいいつ笑いを運んでくれた、どぎついメイクのヘレナ・ボナム=カーターとサシャ・バロン・コーエンのビザールな悪漢夫婦ぶりも、とてもキライになれない名キャラクターたち。

ヒュー・ジャックマンをはじめ、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイなど立派な演技と歌唱力にささえられた愛と勇気と希望の物語は、ダンスはなくても壮大なスケール感が見事で、リアルな19世紀フランスに浸ることのできる堂々たるミュージカルでした。

(158min)
by haru733 | 2013-02-09 00:00 | イギリス映画 | Comments(0)


映画,読書,山,古物をめぐる―日々のきろく


by haru733

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