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北広山 *晩春

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 休日。きのうからの強い風は、陽が高くなるにつれ止みました。札幌近郊の小ぶりな北広山へ。
駐車場の車は、みんな山菜採り目的だったようで、途中だれともすれ違わずに、一時間で頂上もどき。

平日の地味な山は閑散として、熊が出ないかと、やはり怖いものです。そればかりか、麓には自衛隊の演習場が広がっていて、時おりドォーン!と砲撃の音が空気を震わせます。

なるほど、駐車場であいさつを交わした方々が、山に登るの?と怪訝そうだったわけです。
味気ない山頂に別れを告げて、一目散に下山しました。
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途中、足元にシマリスを見つけましたが、写真を撮るまえに逃げちゃった。ジメジメした水辺には、なにかいそうで、なにもみつからず。
by haru733 | 2014-05-27 22:28 | | Comments(2)

カルテット!人生のオペラハウス (2012年) 名優陣と名音楽家たちの豪華共演

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 先進国のいたる国で、老いをテーマにした作品が次々と作られている昨今。若い頃、アメリカン・ニューシネマで光り輝いていたダスティン・ホフマンも歳をとり、初監督作のテーマが、ズバリ”老い”であることに、一抹の淋しさと感慨を覚えます。
こどものころ、老年期には必ず諦めの境地に入ると信じて疑わなかったのに。幾つになっても、ひとは人生に迷い、苦しみ、恋をすることを、これだけ多くみせられると、神妙な気持ちになってくる。
自分らしいより良き人生を求めて、あがき続けるのが幸福か。宮沢賢治じゃないけれど、欲はなくけして怒らずいつも静かに笑って波風の立たない人生が幸福か。わたしは後者のように老いたいと、願うのだけどな。

引退した音楽家たちが暮らす”ビーチャム・ハウス”には、カルテット仲間であるレジー(トム・コートネイ)、シシー(ポーリーン・コリンズ)、ウィルフ(ビリー・コノリー)が暮らしている。そこへもう一人の仲間である、レジーの元妻・ジーン(マギー・スミス)が新たな入居者としてやってきた。彼女はかつて仲間たちを裏切り、傷つけ、今は大スターになっていた。そんな中、”ビーチャム・ハウス”が閉鎖の危機を迎える。存続の条件はただひとつ、コンサートを成功させること。しかしジーンは過去の栄光に縛られ、歌を封印してしまっていた―。  (allcinemaより〉

たくさんの音楽家たちが奏でる音の数々。場面転換ごと挿入される音楽が小気味よい。
輝かしい経歴を誇る表現者たちの共演と、音楽の妙味。これがあるから、凡庸な作品になるのをまぬがれている、そんな一本だとおもいます。

『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』につづいて、マギー・スミスが、あまり魅力的に映らないのはなぜだろう。マクゴナガル先生のころから、徐々に大きくなってきたせいかも。

 (99min)
by haru733 | 2014-05-27 22:19 | イギリス映画 | Comments(0)

イチャンコッペ山 *晩春

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 週末は、支笏湖畔のイチャンコッペ山へ。登山口はヘアピンカーブのすぐ脇、入山ボックスが目印になっています。
登りはじめてすぐの急登がすごく苦しかった。脆い心臓はすでにバクバク。それでも支笏湖がみえてくる辺りからはなだらかになって、あとはトラバースを繰り返していきます。木々の生えない笹原は景色がよく、稜線歩きのある気持ちのいい山でした。
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遠くにみえてきた山の全貌。あれが頂上かしらとおもいきや、偽ピークであることを、あとで知ることになります。とちゅう見つけた残雪はわずか50センチ四方。その上に、自然が描いた落ち葉と木の実のデザイン。

花のすくないお山では、時おり見かける青い花、深山菫や白根葵にホッとしながら。
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ここまで来ると、いつか登ってきた山たちが一堂に会しているのでした。左から紋別岳、風不死岳、恵庭岳。
どのてっぺんからも互いが望めて、それぞれの登山が懐かしい。

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出発して一時間半。とっても見晴らしのいい丘に到着。もしかして、ここを登りきれば頂上かと、にわかな期待を抱いて足を早めて。その先に見えたのは目指す山の頂でした。
なんだかすごく遠くに見える。もうふた山越えるみたい。だけど稜線は気持ちがよくて、清々しくて、最高のロケーションだからがんばるのだ。
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ぶじ2時間で頂上につきました。イチャンコッペ山、828.9m。
先客のカップルが下山して、しばし頂き独り占めでおむすびを頬張っていると、団体さんが賑やかに登ってきました。ひとりの登山はお気楽だけれど、喜びを分かち合っている団体さんたちをみていると、やっぱり仲間と登るのもいいなーとおもいます。
みなさん缶ビールをプッシュー!と開けて乾杯モードへ。山頂で酒盛り、強者。だけど、これも、仲間と一缶分けっこするならありかもしれない。ぜったい美味しい、山頂で乾杯ビール。
さっき、「おひとりでどちらから?」と話しかけてくれたおじ様が、もしかしたら「お少しいかがですか?」と声でもかけてくださるかと妄想しましたが、、そんなことは起こらず。大人しく、食後の缶コーヒーを飲み下して、下山の途につきました。
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行きより霞がとれて、湖が青い。絶景を見ながらの下りは楽で、1時間10分ほど。

”北海道を歩こう”のイベントが開催されていた、この日、札幌市内から支笏湖まで、R453はとても賑やかでした。ゼッケンこそないものの、リュック背負ったまま違和感なく集団に紛れ、駐車した恵庭岳登山口まで歩いたのでした。
by haru733 | 2014-05-27 10:10 | | Comments(0)

嘆きのピエタ (2012年) 慈悲深き母は息子たちのために命を捧ぐ

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 これはすごい。文句なしにおもしろい、私的五つ星作品。数年山に篭っていたというキム・ギドク監督は、まるで仙人のごとく、善良な笑で凄まじい映画を撮る。

十字架から降ろされたイエス・キリストを抱く聖母マリア像“ピエタ”をモチーフに、心を失った天涯孤独の取り立て屋・イ・ガンド(イ・ジョンジン)と、その母親を名乗る謎の女・ミソン(チョ・ミンス)との、慟哭の末路を綴る―。

主演ふたりがとんでもなくいい顔してる。エグみたっぷり、極限を演出するあくどささえ許せてしまう、計算しつくされた心象の変化に脱帽だった。
親の愛を知らず孤独に生きてきたガンドが、憎しみつつも抑え様なく、母と名乗るミソンに耽溺していく様。涙を流しながら捨てたことを詫びては、無償の愛を注ぎ続ける母。明かされていく真実に気づきながら、それでも驚きは耐えず、ミソン最後のセリフに驚愕するばかり。

「ガンドが、かわいそう・・・・」

嗚呼、すごい。これがわずか10日間で撮影されたとは、とても信じられない。意図的な色遣いと衣装がいい。このての韓国映画に、どうしても邦画は敵わない気がする。複雑な役どころを完璧に体現する役者さんの層の厚さも。
チョ・ミンス演じる母から、計り知れず滲み出る包容力。死んだ魚のようなガンドの目に引かれたアイラインがじつに蠱惑的だった。

 (104min)
by haru733 | 2014-05-25 21:12 | 韓国映画 | Comments(0)

海と大陸 (2011年) 現代イタリアの光と闇

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 イタリアの南部、地中海の小島リノーサ。夏の間は観光客でにぎわうこの島も、オフシーズンは閑散とし、主要産業の漁業も衰退の一途を辿っていた。そんな中、2年前に父を海で亡くした20歳の青年フィリッポは、漁師の生活に誇りを持つ祖父と、島を捨て本土で新生活を送りたいと願う母の間で揺れ動く日々。生活に困った母は、夏の間だけ、自宅を観光客向けペンションにして、自分たちはガレージに住まうことを決意する。
ある日、いつものように祖父とともに漁に出たフィリッポは、アフリカから危険を冒して海を渡ってきた難民と遭遇し、妊娠中の女性サラとその息子をガレージに匿うのだったが―。 (allcinemaより)
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生活に困窮はしても、祖父と母とフィリッポ3人は、助け合い愛し合い幸せだった。逃げ道はいくらでもあった、いま思えば。
突然の異物に、生活を脅かされていくフィリッポ一家の、葛藤の末のこころの変化を、目映いばかりの海の青、くすんだ廃船の鉛色で対照的に画面に描きあげる好編。これはおもしろい。

すこしだけ頭の弱いフィリッポが、この夏経験したことは多大だ。真っ黒な肌の移民たち、淡い性への目覚め、じぶんを苦しめてきた子どもっぽい自我を捨て去るとき。彼の突然の英断が、あまりにも潔く力強く、描かれない船出のその先に、希望を願わずにはいれなかった。

とにかく陰と陽のバランスが絶妙な本編。日々の暮らしに困窮する島人たちがいて、かたやバカンスで島を訪れる陽気な旅行者がいる。そこにさらに密告に怯える命懸けの移民たちが島の漁師たちの暮らしを脅かす―。
漁業離れや移民問題といった重い現代イタリア暗部をテーマにしながら、驚く程陽気に、バカンスのリズムが陰気をぶち壊したりする。青い海もまた美しすぎる―。多面的な魅力に溢れた良い作品だった。
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フィリッポの気持ちだけじゃなく、祖父も、母も、移民の女性サラやその息子まで、葛藤を抱えた人々のこころの機微に触れた、サスペンスフルなストーリーがすごくいい。
最大の異物として、一家が明け渡したペンションに滞在する、本土からの3人の若者だけが、何事をも理解しないまま島を離れていくラストが印象的。

(監督 エマヌエーレ・クリアレーゼ/93min/イタリア=フランス合作)
by haru733 | 2014-05-24 12:00 | イタリア映画 | Comments(0)

ワレサ 連帯の男 (2013年) 反体制のシンボルとなった男

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 1926生まれ、御年88歳になるポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ作品が好きです。ここにきて、やや微笑ましい場面ある作品に出逢えて、うれしかった。母国の歴史を描き続けてきたワイダ監督が緩むとき、次回作がたのしみ。

本編は、東欧諸国の民主化運動で大きな役割を果たした、ポーランドの労組“連帯”の初代委員長にして、伝説的政治指導者レフ・ワレサ(ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ)の、激動の半生を映画化した伝記ドラマ。 (allcinema)
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物語はイタリア人女性ジャーナリストがワレサの自宅を訪れるところからはじまる。インタビューを介した回想形式で、時間軸を行き来して物語は展開する。
度重なる拘留と、多忙極まる活動を支えたのは、最愛の妻ダヌタ(アグニェシュカ・グロホウスカ)だった。幾度も仕事をクビにされては貧しい暮らしに、子沢山だった夫婦の、深い絆のエピソードがゆいいつ明るい。ほとんど女手ひとつで家庭を守り続けたダヌタの気丈な強さをみていると、女としてなんだか勇気づけられた気がする。
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労働者の立場から、インテリたちを巻き込んで社会を変えていったカリスマ的指導者。ワレサはのちに、ポーランド共和国、第三共和制初の大統領となり、ノーベル平和賞を受賞したという―。

日本には、アンジェイ・ワイダ氏のような映画監督はすくない。老境にはいり戦争作品を手がける巨匠はいるけれど、生涯とおして自国の歴史を見つめているワイダ監督みたいなひとは、尊敬せずにいれない。それは、大好きな映画をとおして知る、遠い国の歴史なのだけれど。
実際の記録映像を交えた本編は、ポーランド映画の、新たな社会派作品の佳作ではないでしょうか。

(124min)
by haru733 | 2014-05-24 00:00 | ポーランド映画 | Comments(0)

映画館でみたアメリカ映画2本

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『8月の家族たち』 (監督 ジョン・ウェルズ/121min/2013)

 傑作舞台劇を、実力派キャストの競演で映画化した群像コメディ・ドラマ。劇場でみたのは随分前になりますが、一言残しておきたい小粒な良作。
濃密な愛憎劇に顔を揃えるのは、メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ、ユアン・マクレガー、クリス・クーパー、ベネディクト・カンバーバッチ、ジュリエット・ルイス、他。とても豪華。

父親の突然の失踪をきっかけに、オクラホマの実家で久々に顔を揃えた母親と三姉妹が、それぞれの家族と互いに衝突しながら愛と憎しみの人間模様を繰り広げる。

ストーリー的には目新しいところはなく、ただ手放しで怒涛の壮絶演技合戦を眺めたい。欧米、とくにアメリカ人の美点だと映る、個と個の徹底したぶつかり合いは、潔く気持ち良い。なかなかそのように振る舞えない日本人からすれば胸のすくような思い。
ガンで闘病中の毒吐くメリル・ストリープが、とにかくすごくて、性別超えて邦人俳優にたとえようものなら、香川照之さんしかいない。他を圧倒する存在感がすべてをかっさらう。
懐かしいのは、蓮っ葉な役がいつまでも似合うニューハーフ・チックなジュリエット・ルイス。ステキなのは、薄ぼんやりの従兄弟(カンバーバッチ)と三女の仄かな恋。お気に入りは、メリルの妹の亭主(クリス・クーパー)の素朴な存在感。中身より、大物競演の妙味をじっくり味わいたい、そんな作品。


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『チョコレートドーナツ』 (監督 トラヴィス・ファイン/97min/2012)

 こちらでは、シアターキノ22周年記念作品として大ヒットロングラン上映を続けている『チョコレートドーナツ』。正直にいうと、触れ込みほどは期待していなかったのですが、ほんとに良かった。素直に泣きました。

1970年代のアメリカ。ショーダンサーとして働くゲイのルディ(アラン・カミング)と、検事局員のポール(ギャレット・ディラハント)は、出会ってすぐに恋に落ちる。翌日、ルディはアパートの隣に暮らす親子の母親が、ダウン症の少年マルコを置いて薬物所持で逮捕されたことを知る。ルディは、マルコを引き取り面倒を見はじめるのだが.....。
一組のゲイ・カップルが、世間の無理解と偏見に苦しみながらも、親に見放された少年と家庭を築いていく先に起こる悲劇とは―。

実話を元にしている真摯なドラマ。ゲイに対する差別根強い時代、偏見に傷つき苦しみながらも、ダウン症の少年の親として、深い愛情を持って生きる、ひと組のゲイカップルの闘いが切実にこころに響いた。
世間から拒絶された2人に、誰にも顧みられることのないマルコの命が、そっと明かりを灯す。だから、初めて家族の温かさを知った3人が辿る悲しみの結末が、辛い。
ひっそりと消え入る命には、平等な重さはないの。黒人やゲイに対する蔑視は負の連鎖を引き寄せるだけ。
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なんといっても、本編のアラン・カミングの歌声が圧巻。親権とかモラルとか、小難しいことはすべて飛び越えて、魂に響く、人を愛する気持ち。こんなにも誰かを求めたことが、わたしに最近あっただろうか。
自分らしくあることがどんなに困難でも、逃げないルディのしなやかな強さ、ポールの優しさと正義感に感動する。
by haru733 | 2014-05-23 23:58 | アメリカ映画 | Comments(0)

メモ

 図書館
 古道具
 文章
 映画
 古書店
 草花



 
 休日の少なかったこの頃。アイフォンのメモ欄には、つぎの休みにすることが
無意識で箇条書きにされているのでした。
つぎのお休みとは、今日なのです。

図書館で借りたもの。E.H.ゴンブリッチ、『美術の物語』。
観た映画。『海と大陸』『嘆きのピエタ』。
古道具店で見つけたもの。あぶれた文庫本用に最適な古い本棚。
植えた植物。ピーマン、青紫蘇、ローズマリー。ブルーベリーに追肥。
文章とは、このブログを書く事。『ロッキー』について。

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by haru733 | 2014-05-22 16:54 | 日常 | Comments(2)

ロッキー (1976年) 愛するための闘い

  2006年に『ロッキー』、2008年に『ランボー』と、次々完結編が撮られた両シリーズで健在ぶりをアピールしたシルヴェスター・スタローン氏は、いまも変わらず肉体派アクションムービーを製作し出演し続けている。
すでに遠い記憶となった『オーバー・ザ・トップ』が好きだったころは、拳闘映画『ロッキー』がまだ苦手で、『ランボー』派か?『ロッキー』派か?と問われれば、迷わず『ランボー』と答えたものでしたが。シリーズ完結編『最後の戦場』は、終わりの勇姿とはいえ、ありがちな脚本でがっかり感は否めなかった。
この度、久しぶりに観た『ロッキー』が予想以上におもしろくって、スタローン男気シリーズの見方がちょっとだけ変わったかもしれない。もしかしたら、スタローン氏が最も輝いていたのは、このシリーズ、完結編まで見届けるべきは『ロッキー』だったのかもしれない。

拳闘映画の金字塔『ロッキー』は、モハメッド・アリの試合に感動したイタリア系移民のシルヴェスター・スタローンが、三日間で脚本を書き上げ、自身主演で売り込んだ大ヒット・シリーズ。2006年の『ロッキー・ザ・ファイナル』を合わせると、全6作品に及ぶ。
薄汚れた下町、うらぶれたボクサーの主人公が、最愛の女性と出会い一念発起して、無敵のチャンピオンに挑む姿を感動的に綴った名作。
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なんといってもテーマ曲が、いまだにテンション上がる高揚と栄光のメロディラインで最高。ラッパが吹けたらきっと吹くね。汚れたスウェットに身を包み、冬の早朝、白い息を吐きながら走り込むロッキーが、フィラデルフィア美術館の階段を登り、朝日を浴びてガッツポーズ決めるシーンは、無条件で胸が高鳴る。
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イタリアンスタイルなのか、黒の革ジャンに中折れ帽という、さりげなく洒落たロッキー。スタローン氏が常にランニング姿のような気がしているのは、私の大いなる偏見で、私服姿がかっこいい。
フォックスシェイプのド近眼メガネを掛けたエイドリアンも、みるみるうちに恋をして美しい素顔を見せていくところは、見所のひとつ。
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意外にも、ふたりのキスシーンはステキで、なかなか侮れない。密かなモテ男ランボーとは対照的に、禁欲的なロッキーが素敵だ。スポコン以上に、恋愛映画としての魅力もじゅうぶん。
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ロッキーの時代からすでにあったらしい、無骨な男が物言わぬ動植物を愛でるの図。この構図に、わたしは弱い。たとえば『ケイゾク』の真山さんの金魚、寡黙な男『レオン』が慈しむ観葉植物、『FRIED DRAGON FISH THOMAS EARWING'S AROWANA』でナツローが飼う大量の熱帯魚など。最近では、『嘆きのピエタ』でも、冷徹な主人公が食用鰻を水槽に入れて愛でていたっけ。ルーツはいったいどこにあるのだろう。

久しぶりの『ロッキー』は素直に心ふるえた良い作品でした。不器用で心優しいロッキーが、愛した女性のために、生まれ変わることを決意して挑んだ負け戦。ボコボコになりながら、なんど倒されても、最終ラウンドまで立ち上がり続けるロッキーに、闘う男のカッコよさだけじゃなく、強い意志と信念を見る。時を経てなお熱い魂のこもった名作でした。
by haru733 | 2014-05-22 10:02 | アメリカ映画 | Comments(0)

はじまりのみち (2013年) 名匠が来た道

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 木下作品を知ったのは、この数年のことです。初めて観た『お嬢さん乾杯!』が洒脱で、そのあとすぐ、アニメ界の監督が、加瀬亮さん主演で木下監督の人生を撮ると聞いて、過去の有名どころを知っておきたいと、幾つか観漁ったのでしたが、どれもおもしろかった。
監督の原恵一さんは、『劇場版クレヨンしんちゃん』で有名なアニメーション界の実力派。そんな人が、リスペクトする名匠の人生を、なぜか”実写”で撮るというから興味ぶかく。初の実写本編が失敗か成功かは、、そこに愛があれば、たいていは肯定的に受け入れたくなるのが映画好きの弱みかもしれません。

(あらすじ) 太平洋戦争下の日本。木下惠介(加瀬亮)が身を置く映画界では、国策映画の製作が求められていた。そんな中、彼が1944年に監督した「陸軍」は、内容が女々しいと当局の不興を買い、以後の映画製作が出来なくなってしまう。夢破れた惠介は松竹に辞表を提出し、失意のうちに郷里の浜松へと戻る。最愛の母(田中裕子)は病気で倒れ、療養を続けていた。しかし戦局が悪化する中、惠介は母をより安全な山間の村へと疎開させることを決意する。彼は病身の母と身の回りの品を2台のリヤカーに乗せると、兄(ユースケ・サンタマリア)と雇った“便利屋さん”(濱田岳)と3人で力を合わせ、過酷な山越えに向かって歩みを進めるのだったが―。 <allcinema>より
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長い映画人生のなかから、戦時中のエピソードだけに焦点を絞ったことは良かったのではないでしょうか。若き木下青年がふたたびメガフォンを取ることができたのは、良き理解者であった病身の母の支えあってこそ―という。
きっと、数作品知っているだけではわからないようなオマージュが、各所に散りばめられていたのでしょう。

印象的だったのは、やはり、のちの『二十四の瞳』を彷彿させる、宮崎あおいと子どもたちの場面。それから、リヤカーを引いてゆく山道で、滝のような雨に降り篭められる場面。どちらもドラマチックで、いかにもではあっても、悪人の登場しない善良な作品は、どこまでも透明で誠実な空気が流れています。
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惜しむらくは、それらのドラマを、脈絡ごと無視するかのように多く、木下作品が引用されていることでしょうか。木下惠介の人生とはいいながら、わずか96分のなかに代表作のダイジェストを盛り込んだために、実際の本編は、さらに短く、敬愛する加瀬亮さんの見せ場もかなり少なくなっていました。

たとえば岩井俊二監督が、敬愛する市川崑監督の半生を撮ったドキュメンタリー『市川崑物語』というのがある。スタイリッシュでユーモラスで、ちょっと遊びすぎてはいるけれど、独自の構成が好きでした。
それに比べて、『陸軍』ラストの長回しを堂々通しで引用した場面はともかく、ドラマのなかで作品紹介をやってのけた本編は、やや反則技感が否めない違和感があります。
若い監督たちが、お気に入りの名匠・巨匠の人生を撮る―そんなシリーズがあったらきっと楽しいのだけど。

生誕100年記念作品として、木下作品がもっと観られていく良いきかっけになりそうな本編は、希望の瞬間を見つめた好編だっただけに、ぶつ切りになる構成だけがじつに残念でした。

 (96min)
by haru733 | 2014-05-15 21:34 | 日本映画 | Comments(0)


映画,読書,山,古物をめぐる―日々のきろく


by haru733

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掏摸(スリ) (河出文庫)


話を聞かない男、地図が読めない女


図書館の神様


爪と目