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独立愚連隊 (1959年)

d0235336_2213649.gif (あらすじ) 北支戦線の真っただ中、従軍記者と名乗る荒木は、各隊からのクズばかり集めた“独立愚連隊”がいる前線にやってくる。じつは荒木は、中国人慰安婦と心中したという見習士官だった弟の死の真相を探るため、病院を抜け出してきた大久保元軍曹なのだが――。

シリーズ7作まで続いたという、西部劇ふう戦争アクションの第一作目。古さを感じさせない戦争ものらしからぬ快作でとてもおもしろかった。
とにもかくにも、佐藤允の日本人離れしたアバンギャルドな主役ぶりがいい。男気溢れるキレ者でひょうきん、やんちゃな笑顔が憎めない。身ひとつで“独立愚連隊”に飛び込んだ大久保が、弟の死の真相を探っていく件はサスペンスチック。小気味よい笑いとユーモアまである。
観ていて気持がいいのは、敵国の中国兵や馬賊まで悪者として描かれていないところだとおもう。弟を殺した犯人は味方のなかにいて、上官は悪人であるというオチ。
慰安婦たちさえ気丈に明るいというのは、さすがに男気映画ゆえのご都合主義かもしれないが、大久保や死んだ弟が愛した恋人は彼女たち慰安婦で、生き生きと描かれていてとても可哀想には思えないのだった。
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いかにも西部劇風ドンパチを、日本の戦争もので、しかも娯楽に仕上げた斬新さは、いまだに新鮮な驚き。ラストシーンの大久保と悪徳上官が撃ち合う場面なんかはまさしく決闘で、ウェスタンファンにはたのしい演出となっている。
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ちなみに、主演の佐藤允氏のその後が気になって検索してみると、先日の『転校生』で尾美としのりの父を演じてらした方だった。さすがにもうギラギラしていないのが残念。当然と言えば当然。
監督の岡本喜八さんの出演していた比較的あたらしい作品で『独立少年合唱団』(緒方明監督)というのがあるのだけれど、もしかしたらあれは岡本氏へのリスペクトを込めて、タイトルに“独立”がついていたのかもしれないなーとこの度思う。
地味に良い『独立少年合唱団』がもう一度見たくなった。

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『独立少年合唱団』


(監督・脚本 岡本喜八/109min)
by haru733 | 2012-07-16 00:00 | 日本映画 | Comments(0)

麦の穂をゆらす風 (2006年)

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  1920年。長きにわたりイギリスの支配を受けてきたアイルランドでは、疲弊した人々の間に独立の気運が高まっていた。南部の町コークに住む青年デミアン(キリアン・マーフィ)は、志していた医師の道を捨て、兄テディ(ポードリック・ディレーニー)と共に武器を取り、アイルランド独立を目指す戦いに身を投じる決意をする。
激しい戦いの末、ついにイギリスとの間で講和条約が締結される。しかし、完全な独立からは程遠い内容に、アイルランド人同士の間に対立が生まれ、ついには内戦へと発展してしまうのだった―。
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社会派のケン・ローチ監督が、カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した話題作。以前観た『この自由な世界で』とおなじに、この地味さがローチ監督の滋味なのだろう。そっけないほどタイトな画面に、派手さや誇張はなくて、あるのはただ真摯な国民目線の苦悩とリアリティだった。
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カリスマ的存在の兄テディと誠実な弟デミアンは、対照的だが互いに信頼しあってきた。それが条約締結後には、内戦で敵味方となってしまう不条理。混乱の国に生きた一組の兄弟の悲劇は、殺し合う人間の醜さのなかで、より一層不毛な虚しさを残して幕を閉じる。
ちなみに、タイトルの『麦の穂をゆらす風』は、本編の葬式シーンでおばあさんが歌っていたアイルランド民謡の歌詞による。
   

(126min/イギリス=アイルランド=ドイツ=イタリア=スペイン合作)

by haru733 | 2012-07-09 00:00 | 多国合作映画 | Comments(2)

ククーシュカ ラップランドの妖精 (2002年)

d0235336_1535249.jpg 第二次大戦末期の1944年、北欧フィンランドの最北部に位置するラップランド。フィンランド軍はかつて奪われた土地を奪還するため、ドイツ軍と同盟を組みロシア軍と戦っていた。ある時、互いに戦争状態にあったフィンランド兵とロシア兵が、先住民族のサーミ人女性に助けられ、言葉の通じない3人の奇妙な共同生活がはじまる――。

登場人物ほぼ三人。それがまったく互いの言葉を解さない、一方的な会話をするものだからおかしくて仕方がない。
フィンランド軍の狙撃兵ヴェイッコは、反戦的態度が問題でドイツの軍服を着せられ置き去りに。一方、反体制という濡れ衣で秘密警察に逮捕されたロシア軍大尉イワンは、護送中に味方の誤爆に遭い、負傷したところを先住民の女性・アンニに助けられる。
ドイツの軍服が生む誤解、味方による誤爆、奇妙な勘違いの連鎖は広がり、思いもよらないほどシニカルで滑稽なドラマが生まれる。

しかも、夫が戦場へ出たまま4年も戻らないアンニは、突然現われた2人の男にすっかり欲情してしまい、色目を使いまくるという・・・・(笑)。当然、若い狙撃兵ヴェイッコが選ばれて、残されたイワンはヤキモチ。更なるヤキモチが生む悲劇、その後の奇蹟など、辛辣でありながらユーモラスな寓話のような反戦映画だった。
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終盤に、撃たれて倒れたヴェイッコを、アンニが不思議な魔術で黄泉の国から呼び戻す場面など、かなり幻想チック。寓話だから伝えられる反戦メッセージというのもあるのだ。このての語り口は、何度観てもいい。


監督・脚本  アレクサンドル・ロゴシュキン
出演  アンニ=クリスティーナ・ユーソ  ヴィッレ・ハーパサロ  ヴィクトル・ブィチコフ、他

(104min)
by haru733 | 2012-04-05 16:27 | ロシア・ソ連映画 | Comments(0)

4月の涙 (2009年)

d0235336_15435343.jpg  1918年4月、内戦末期のフィンランド。敗走を続ける赤衛軍の女性部隊は、捕らえられたあと、ほとんどが犯されて殺された。ただ一人生き延びた隊のリーダーのミーナは、公平な裁判を受けさせようとする理想主義の准士官アーロによって、裁判所へと護送される途中、逃げ出そうと舟から飛び降り、アーロもろとも無人島に漂着してしまう。やがて互いに特別な感情が芽生えた頃、助け出された二人は、人文主義者で有名なエーミル判事のもとに辿り着くのだったが――。

『ククーシュカ』に引き続き、フィンランドを舞台とする戦争もの。時代背景と語り口はまったく違うけれど、こちらもとても好きだ。
使われている音楽の魅力。大好きな『ヘヴン』を思い出す、過酷な状況下での純愛。
信念を貫く女兵士ミーナの生き様が潔いのだが、それ以上に、愛してしまった敵兵ミーナを、情欲を乗り越えて、ひたすらに献身的に救おうと奔走するひとりの若き准士官アーロの居住いに心打たれてしまう。
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戦場ではまともな精神を保つことさえ難しく、見識ある者として知られたエーミル判事さえ、例外ではなかった。有罪判決を下しては処刑を繰り返す毎日に、人間性は崩壊寸前だ。
ところが、アーロとミーナが現れてからというもの、判事はアーロに対して密かに男色家としての思いを募らせ、彼のためにミーナを生かしたまま拘束しておこうとする。
戦場にあっては、肉体を穢されるのは常に女であったけれど(実際前半はそういう展開だった)、本作では、愛する人の命を救うため、アーロが自ら判事に身を任せるという逆転した発想によって、新しい視点が生まれているように思う。異色な究極の愛の形――。それがたとえ、残酷な運命で幕を閉じるとしても・・・・。

フィンランド内戦を伝える良作。見ごたえあるラブストーリーとしても、とてもおすすめです。


 監督  アク・ロウヒミエス
 出演  サムリ・ヴァウラモ、ピヒラ・ヴィータラ、他
 (114min/フィンランド=ドイツ=ギリシャ合作)
by haru733 | 2012-03-25 23:06 | フィンランド映画 | Comments(0)

キャタピラー (2010年)

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 四肢をなくし、顔は焼けただれ、耳も言葉も不自由となって戻ってきた夫を、献身的に世話するよりほかない妻の苦しみと、軍神とされたばかりに、己の醜さとの狭間で苦悶する夫の姿を描く――。

劇場公開されていたころ、わたしはミニシアターで受付ボランティアをしていて、お客の入りがよかったことと、期待に反して低評価だったことを覚えている。DVDになって自分の目で確かめた感想は、やはり良くない。寺島しのぶという女優がいなければ見られない、きっと彼女以外に演じれない、そんな作品。
軍神となって戻った夫は、食う、寝る、性欲を満たす、それだけ。妻の苦しみは募り、仕返しのように、軍服に身を包んだ夫を引き車に乗せて、外へ連れだす。通りすがりの村人たちは、"軍神様"だと彼を崇む。
神となった現実との狭間で苦しむ夫の自責の念は自業自得だ。彼は戦場で女を犯し殺した。帰還してからも、妻を性のはけ口としか見ない卑劣な男なのだ。食う、寝る、「やりたい」それだけ。自らの醜さと、戦場で犯した罪に激しく嫌悪して死を選ぶことも、行く末当然と思えるほど。

もとはポルノが専門だったらしい若松孝二監督の目の付けどころは、やはりポルノか。虚無感や不条理を描くなら、もっと別の視点がいくらでもあるなかで、人間のエグイもの見たさを利用した感のある本作は、不快な後味を持っている。
それにしても、戦争を経験した監督なのに、画をうそっぽく感じてしまったのは低予算ゆえだろうか。期待以上に揺さぶられるものがなかった。原作は江戸川乱歩の短編『芋虫』、怪奇小説を反戦映画に結びつけると多少筋が違ってしまう気がする。                                    (カラー/84min)                        

  ____________

 
 さいきんになって原作を読んだので追記を。
サディスティックでグロテスクな原作は、作家自身が言ったように反戦を意図したものではなかった。夫は、さいごまで人間性を留めたひとりの哀れな軍人で、そんな不具の夫を苛める快楽に溺れていく妻を耽美に描いたのが「芋虫」なのだった。悪趣味だけれどすばらしくおもしろかった。
食欲と情欲しかもたない映画の卑劣な夫像はここにはいない。健気な妻さえ。。これがエゲツナイ反戦映画になってしまったのだと思うと、やはりいただけない。


(2012,5,12)

by haru733 | 2011-06-19 18:17 | 日本映画 | Comments(0)

羊の啼き声 (2004年)

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 ギリシャに隣接したアルバニア初の、カンヌ上映作品。
スムーズな展開に、ユーモアを交じえたさりげない風刺、これが初監督作ではないにしても、新人監督とは思えない良質な作品でした。

パルチザンからイタリア軍、イタリア軍からナチスドイツの進攻へと、激動の時代に翻弄されるアルバニアの小さな町。イタリア軍の残した品を盗んで生計を立てる石鹸屋の一家は、各地から逃れてきた身内たちを引き受けて、皆で力を合わせて暮らしていました。
ある日、主人はドイツ軍から逃れようとしていたイタリアの負傷兵を自宅へ連れ帰ります。地下倉庫にはすでにパルチザンだった男も匿われており、人情に篤い主人は他にもユダヤ人やはみ出し者の親友など、次々と地下で面倒を見始めるのでしたが―

自分の命を掛けてでも困った人間を助けられるか。再三取り上げられているテーマに、本編はまったく恩きせがましくない主人の淡々とした態度が印象に残ります。
家族と協力し合って困難な時代を乗り切るのに、秘密が一つ増えても二つ増えてもなにも変わらないというように。そして 匿われる方も、本来なら敵同士である関係があっさりと崩れていくのでした。
たくさんいる登場人物を違和感なく存在させ展開させていくさまは見事。

ただでさえ各国、各宗教の人間が隠れて生活をしている一家の元に、突然ドイツ兵が現れる中盤。命がけで大きな秘密を抱えて、彼をもてなす家族の面々は、いつしか人の良いそのドイツ将校まで憎めなくなってくるおかしさ...
人種も宗教も関係ない。人は優しささえあれば誰にだって親しみをもって接することができるはずだ!ナチスドイツが台頭した時代は、こんなに甘いものではないのかもしれないけれど、本来人のもっている善良さを信じようではないか、こんな時代だからこそ!そんな、監督の優しい気持を感じるようでした。

(監督  ジェルジ・ジュヴァニ/アルバニア=フランス=ドイツ合作)
by haru733 | 2006-05-17 21:55 | アルバニア映画 | Comments(0)


映画,読書,山,古物をめぐる―日々のきろく


by haru733

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